〈景品表示法に基づく表記〉当サイトはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています。

「仙台駅殺人事件」感想レビュー。あらすじ、舞台、登場人物

仙台駅殺人事件小説

初版発行日 1995年9月25日
発行出版社 光文社
スタイル 長編

スポンサーリンク

あらすじ

仙台駅ホームには、毎年12月1日正午、和服姿の謎の美女が佇む。彼女は高級クラブ「綾」のママ・早坂みゆき。原宿で起きた殺人事件の容疑者で、仙台駅では1千万円もの大金をゆすられつづけていた。みゆきを追跡する十津川警部と亀井刑事は、仙台駅に網を張るが、何者かに発煙筒で妨害され、失敗。新たな殺人が……!?十津川の前に明かされる意外な真実とは?

小説の目次

  1. 1番線ホーム
  2. 松島海岸駅
  3. 伝言
  4. 先陣争い
  5. 秋保温泉
  6. 一歩前進
  7. 終章

小説に登場した舞台

  • 仙台駅(宮城県仙台市青葉区)
  • 松島海岸駅(宮城県・松島町)
  • 秋保温泉(宮城県仙台市太白区)
  • 作並温泉(宮城県仙台市青葉区)
  • 青葉城跡(宮城県仙台市青葉区)

登場人物

警視庁捜査一課

  • 十津川省三:
    警視庁捜査一課の警部。主人公。
  • 亀井定雄:
    警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の相棒。
  • 日下淳一:
    警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の部下。
  • 北条早苗:
    警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の部下。
  • 西本明:
    警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の部下。

宮城県警

  • 中田警部:
    仙台中央警察署の30代警部。細面で冷酷そうだが、頭が切れる。
  • 生田県警本部長:
    宮城県警本部長。

JR東日本

  • 原田収:
    仙台駅の助役。妻と娘の3人暮らし。
  • 片山営業主任:
    仙台駅の助役。

事件関係者

  • 早坂みゆき:
    銀座のクラブ「綾」のママ。血液型はB型。宮城県仙台市の作並出身。12月1日正午、仙台駅1番ホームに佇む謎の美女。
  • 木戸康治:
    早坂みゆきが住んでいるマンションで死体で見つかる。31歳。練馬区石神井町に住む男。
  • 久保カオル:
    25歳。三鷹市内のマンションに在住。傷害の前科がある。木戸とかつて交際していた。
  • 久保悠介:
    久保カオルの父親。51歳。元刑事。いまは盛岡で私立探偵をしている。身長173センチ、柔道三段。
  • 木下香織:
    秋保温泉の白水ホテルの雇われ女将。かつて東京で秘書をやったり銀座のクラブのママをしていた。
  • 古沢めぐみ:
    3年前、松島海岸駅で臨月の状態で救急車に運ばれる。赤ちゃんは無事生まれたが、死亡した。
  • 古沢功一郎:
    吉沢めぐみの夫。かつてマスコミ関係で働いてた。

その他の登場人物

  • 広田:
    早坂みゆきが営む銀座のクラブ「綾」のマネージャー。
  • 藤井:
    仙台新報社の営業主任。
  • 相原勇:
    ラジオ・センダイのDJ。
  • 長谷川:
    ラジオ・センダイのプロデューサー。
  • 吉田:
    仙台のタクシー運転手。
  • 井上:
    F病院の産婦人科部長。

個人的な推しポイント

  • 仙台駅が緻密でリアルに描かれている。
  • 数珠つなぎのように人から人へ繋がっていき、犯人逮捕に至る流れが美しい。
  • 運命に翻弄された一人の女性。人間ドラマがある。
  • 十津川警部が言った「駅は動かない。が、列車は動く」の深さに感銘を受ける。
本作の重要な謎は「なぜ早坂みゆきは毎年12月1日に仙台駅1番ホームに立っていたのか?」
『仙台駅殺人事件』のキーアイテムは「仙台駅1番ホーム」

総評

1990年代に一斉を風靡したCMがある。JR東海クリスマスエクスプレスのCMである。山下達郎の名曲「クリスマス・イブ」を主題歌として採用し、牧瀬里穂ら当時の人気女優を起用したことで有名になった。1990年代以前に生まれた人なら一度は見たことがあるのではないだろうか。

ときはクリスマス。駅で彼氏が到着するのを健気に待つ彼女。いつまで待っても来ない。もう来ないのかも…と諦めかけたところに彼氏が現れる。再会したふたりは喜びを爆発させて抱きしめ合う…というストーリーだ。

なぜこのCMがこれほどまでにヒットしたのか?

それは舞台が駅であったからだと思う。

駅にはドラマがある。駅は人が入り交じる人間交差点のような場所であるからだろう。

ドキドキしながら初めてのデートの待ち合わせをするカップル、就職で上京する我が子を見送る両親、久しぶりの孫の帰郷を楽しみに待つ老夫婦。

それぞれに思いがありドラマがある。

時代が変わり、連絡を取り合う手段が変わっても、駅が人々の思いをつないでいることは変わらない。

本作はそんな駅が舞台になった作品である。西村京太郎先生の真骨頂「駅シリーズ」の7作品目となった。

十津川警部【駅シリーズ】おすすめランキング!
今回は十津川警部シリーズを500作以上読んだわたしがおすすめする、駅シリーズおすすめランキングを紹介します。

この物語の冒頭は次のシーンから始まる。

「3年前から12月1日の正午になると、仙台駅1番線ホームに佇む謎の美女が現れる。」

いかにもドラマがありそうなミステリアスな冒頭である。最初のシーンだけで物語の世界に引きずり込まれてしまう。

その後の展開はここで話すことはできないが、冒頭に期待したドラマを裏切らない人間ドラマが繰り広げられる。運命に翻弄された一人の女の心の痛みが胸に響く。

そして、物語のラストシーン。ある人物が発したセリフの重さに魂が揺さぶられるのである。

コメント