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「札幌着23時25分」感想レビュー。あらすじ、舞台、登場人物

札幌着23時25分小説

初版発行日 1983年11月25日
発行出版社 角川書店
スタイル 長編

私の評価 5.0

POINT】
十津川警部が追われる!東京から札幌までの手に汗握るサスペンス!十津川警部シリーズ史上、最高傑作の一つ!

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あらすじ

十津川警部は、暴力団組長の殺人罪を立証する重要な証人を、札幌地裁に護送することになった。タイムリミットは、深夜零時!組員たちは、悪徳弁護士佐伯の指示に従い、証人の暗殺を狙う。折からの航空ストのため、東京から札幌へは、乗り継ぎが必要となる。東北新幹線、在来線、青函連絡船、車、チャーター機ー追われる側となった十津川と佐伯の虚々実々の攻防!

小説の目次

  1. タイムリミット
  2. 戦いの始まり
  3. 東北新幹線
  4. 盛岡駅ホーム
  5. 青森空港
  6. 国鉄青森駅
  7. 連絡船
  8. 函館本線
  9. 札幌地裁

小説に登場した舞台

  • 四ツ谷駅(東京都新宿区)
  • 浅草橋(東京都台東区)
  • 調布飛行場(東京都調布市)
  • 大宮駅(さいたま市大宮区)
  • 小山駅(栃木県小山市)
  • 仙台駅(仙台市青葉区)
  • 盛岡駅(岩手県盛岡市)
  • 青森駅(青森県青森市)
  • 東室蘭駅(北海道室蘭市)
  • 函館港(北海道函館市)
  • 長万部駅(北海道・長万部町)
  • 苫小牧駅(北海道苫小牧市)
  • 札幌駅(札幌市北区)
  • 札幌地方裁判所(札幌市中央区)
  • 中島公園(札幌市中央区)
  • 千歳空港(現・新千歳空港)(北海道千歳市)

登場人物

警察関係者

  • 十津川省三:
    警視庁捜査一課の警部。主人公。
  • 亀井定雄:
    警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の相棒。
  • 日下淳一:
    警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の部下。
  • 本多時孝:
    警視庁捜査一課長。十津川警部の上司。
  • 三上刑事部長:
    刑事部長。十津川警部の上司。
  • 畑中小四郎:
    北海道警の本部長。
  • 西島:
    北海道警捜査一課の警部。
  • 花井:
    警視庁捜査四課の課長。
  • 石本:
    警視庁の刑事。
  • 谷川:
    警視庁の刑事。
  • 平井:
    警視庁の刑事。
  • 阿部:
    警視庁の刑事。
  • 石原:
    警視庁の刑事。
  • 小林:
    警視庁の刑事。
  • 小田中:
    公安官。

川田組

  • 川田大造:
    川田組の組長。
  • 小池まゆみ:
    川田大造の女。定山渓温泉で殺される。
  • 三浦功:
    川田組の幹部。
  • 佐伯雄一郎:
    川田組の顧問弁護士。
  • 立花:
    川田組の幹部。
  • 平野:
    川田組の幹部。
  • 井上:
    川田組の組員。
  • 寺田五郎:
    川田組の組員。
  • 福島:
    川田組の組員。
  • 佐川:
    川田組の組員。
  • 中尾:
    川田組の組員。
  • 原田:
    川田組の組員。
  • 田中芳夫:
    川田組の組員。
  • 江木:
    川田組の組員。

その他の登場人物

  • 十津川直子:
    十津川警部の妻。
  • 清岡判事:
    札幌地裁の判事。
  • 矢野:
    代議士。
  • 加納:
    佐伯法律事務所の所員。
  • 北島早苗:
    青森の高級クラブのホステス。
  • 倉田明日香:
    札幌のクラブ「ラ・ムール」のママ。

個人的メモ

  • 電車や駅が国鉄になっている。時代を感じる。
  • 東北新幹線は1982年開業、当時は盛岡までしか走っていなかった。八戸開通が2002年、新青森開通が2010年である。そのため、東京→大宮は在来線。大宮→盛岡は新幹線。盛岡→青森は在来線。青森→函館は連絡船。函館→札幌は在来線を使えばギリギリ1日で東京から札幌に到着できる。こうした時代背景も興味深い。
  • 現在に比べて、当時の暴力団は存在感が強かった。
  • 十津川警部と佐伯弁護士の知恵比べ。心理戦。
  • 犯行グループと”本丸”のニアミス。緊迫感。
  • 普段は功利的なインテリが、土壇場になると功利的でなくなるという人間性の考察が深い。
  • まるでアクション映画のよう。
  • 刻一刻と状況が変わっていく。最後の最後まで気が抜けない逃走劇。

総評

本作のタイトル「札幌着23時25分」がすべてを凝縮した逃亡劇である。しかも、”警察の逃亡劇”である。十津川警部シリーズの中でももとりわけ異彩を放つストーリーであった。

また、東京から札幌まで、18時間もの長い間、警察が犯人側から逃亡を図るのだ。

なぜ、東京から札幌まで18時間もかかるのか?その理由は1983年という時代背景を考えると見えてくる。1980年代まで盛んだった春闘ストライキが一つ。東北新幹線の区間がもう一つだ。

東北新幹線の区間について、本書で次のように記載されている。

○【東北新幹線】大宮8:00→盛岡11:17
○【東北本線はつかり7号】盛岡11:30→青森14:05
○【青函連絡船】青森14:55→函館18:45
○【函館本線北斗7号】函館19:00→札幌23:25

1983年当時、東北新幹線は大宮から盛岡間までしか走っていなかった。そのため、東京から札幌まで飛行機以外の手段で行く場合、新幹線、在来線、連絡船を駆使して向かうことになる。東京から札幌までなんと15時間以上もかかるのだ。

しかも、今回は陽動作戦をとり、小山まで車で向かった。実に18時間の長旅である。この時代背景が今回の物語をより難しいものにし、より盛り上げたのは言うまでもない。本作は、まるでアクション映画を見ているような緊張感が続いた。

間違いなく、十津川警部シリーズ史上、最高傑作の一つである。ぜひ一読してほしい。

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