初版発行日 1983年6月10日
発行出版社 双葉社
スタイル 長編
私の評価
【POINT】
本格的社会派推理!!
本格的社会派推理!!
あらすじ
東京で奇怪な死体消失事件が三件相次いだ。いずれも発見通報から、警察が現場へ到着する間の出来事であった。十津川警部は、妻・直子の協力を得て、事件の鍵を握ると見られる興信所員をあぶり出す。しかしその男・秋山は不審な事故死を遂げ、彼の貸金庫からは二千万円を超える預金と偽造パスポートが見つかった。一方、北海道・増毛の海岸に四人の男女の死体を乗せたゴムボートが漂着した…
小説の目次
- 死体が消えた
- 深まる謎
- 赤いスポーツカー
- 二十九日夜
- 追跡
- 選挙
- 北海道
- 衝撃波
- 復元された顔
冒頭の文
東京の調布市内で、電気店を経営している四十五歳の佐々木努は、その時、注文されたビデオデッキを、ライトバンで届けての帰りだった。
小説に登場した舞台
- 十条駅(東京都北区)
- 銀座(東京都中央区)
- 西新井橋(東京都足立区)
- 東京駅(東京都千代田区)
- 歌舞伎町(東京都新宿区)
- 増毛海岸(北海道・増毛町)
- 羽田空港(東京都大田区)
- 千歳空港(北海道千歳市)
- 札幌(北海道札幌市)
- 成田空港(千葉県成田市)
登場人物
警視庁捜査一課
- 十津川省三:
警視庁捜査一課の警部。主人公。 - 亀井定雄:
警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の相棒。 - 西本明:
警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の部下。 - 日下淳一:
警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の部下。 - 田中大輔:
警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の部下。 - 本多時孝:
警視庁捜査一課長。十津川警部の上司。 - 三上刑事部長:
刑事部長。十津川警部の上司。
警察関係者
- 柴田:
板橋区内の交番の巡査。 - 新井:
調布警察署の部長刑事。 - 水沢:
東中野派出所の巡査。 - 佐藤:
科研の技官。 - 沢木:
科研の技官。 - 小杉:
静岡県警の警部。 - 日野:
公安の警部。 - 吉田:
公安の刑事。 - 白石:
北海道警の警部。 - 三浦:
北海道警の刑事。 - 藤沼:
北海道警の本部長。 - 十津川直子:
十津川警部の妻。
事件関係者
- 佐々木努:
45歳。調布市内にある電気店の店主。 - 伊東賢二:
十条駅近くのアパートに在住。自宅で死体となって発見された。 - 伊東かおる:
伊東賢二の妻。伊東賢二に自宅で殺されたが死体が消えた。その後、顔を整形されて増毛海岸で遺体となって発見された。 - 佐藤みどり:
伊東かおるの妹。 - 佐竹真一郎:
自動車部品メーカーに勤務。調布市内のアパートに在住。多摩川で死体となって発見されたが消えてしまった。 - 秋山貢:
31歳。四谷にあるサン興信所の所員。杉並区代田橋のマンションに在住。沼津駅近くの東海道線踏切で立ち往生している間に列車が衝突して死亡した。 - 荒木田信吉:
四谷にあるサン興信所の所長。 - 村井徹:
四谷にあるサン興信所の所員。 - 原口貢太郎:
東京都知事。 - 荒垣:
代議士。幹事長。 - 仁科進:
代議士。東京都知事の立候補者。 - 戸村:
仁科進の選挙事務長。
その他の登場人物
- 三木ゆかり:
秋山貢の友人。 - 新井信光:
筆跡鑑定の専門家。 - 細川弘:
中年タレント。人生相談番組の司会。 - 徳田:
弁護士。人生相談番組のコメンテーター。 - 武田:
増毛町役場の職員。
感想
序盤は、ミステリアスな展開だった。発見された死体が3件連続で消えてしまったのだから。さらに、十津川警部の妻、直子の捜査行がはじまる。彼女の直感力と好奇心、行動力をいかして、まるで探偵のように調べていく姿は、警察捜査にはない、面白さがあった。
後半は、本作のフレコミ通り、社会派ミステリーとなっていく。一言でいえば、政治闘争である。政治的な対立の中でおこった殺人事件だったのである。相手陣営を陥れるための謀略の限りがつくされたのである。
だが、最後の終わり方は消化不良だったように思う。この終わり方には賛否両論があると思うが、私は、完全なる解決をしてほしかったと思う。
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