初版発行日 2015年1月20日
発行出版社 新潮社
スタイル 長編
私の評価
【POINT】
敗戦から七十年の時を経て、太平洋戦争と現代日本を繋ぐ、恐るべき謀略に十津川警部が挑む、長編歴史トラベルミステリー。
敗戦から七十年の時を経て、太平洋戦争と現代日本を繋ぐ、恐るべき謀略に十津川警部が挑む、長編歴史トラベルミステリー。
あらすじ
太平洋戦争末期、連合国は、敗色濃い日本に降伏を迫るポツダム宣言を発表した。宣言を受け、日本政府中枢が、降伏か徹底抗戦かで真っ二つに割れる中、日本と中立国の間をしきりに飛び交う、謎の暗号「カナザワ」。この暗号の指し示すものはいったい何なのか?
小説の目次
- ポツダム宣言を知っていますか
- カネダを知っていますか
- スプルーアンスを知っていますか
- 午前九時十五分七秒を知っていますか
- 東京裁判を知っていますか
- 朝鮮戦争を知っていますか
- 恩に報いることを知っていますか
冒頭の文
太平洋戦争も終りに近づいた一九四五年(昭和二十年)七月二十六日。
小説に登場した舞台
- 帝国ホテル東京(東京都千代田区)
- 成田空港(千葉県成田市)
登場人物
警視庁捜査一課
- 十津川省三:
警視庁捜査一課の警部。主人公。歴史研究会を作り、リーダーになる。 - 亀井定雄:
警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の相棒。
事件関係者
- 阿部敬一郎:
40歳。K大学の教授。現代史が専門。歴史研究会のメンバー。 - 宮川信夫:
軍事評論家。歴史研究会のメンバー。 - 近藤富美:
戦後史の研究家。歴史研究会のメンバー。 - 高橋美里:
女子大生。日本の現代史を専攻。歴史研究会のメンバー。 - 柳井新太郎:
三鷹にある「サン商会」の社長。 - 十津川直子:
十津川警部の妻。
感想
かなり思い切ったというか、思い切りすぎた作品だったのかなと思う。
本作は、太平洋戦争時代の歴史がテーマの作品なのだが、作品の8割は太平洋戦争の時代の世界情勢や日本の話についてであった。
残り2割は”十津川警部まわり”の話なのだが、これだけの分量でミステリーをまわすのは、甚だ困難であり、ミステリーと呼べるものではなくなってしまった。
歴史の部分については、トルーマン、スターリン、チャーチル、蒋介石など、この当時の有名人が登場するので、興味深く読めると思う。
ただ、十津川警部シリーズとして出す必要があったのか?十津川警部シリーズにしたことで、歴史部分についても、フィクションという思いが強くなり、信憑性にかけてしまうのだ。
ミステリーを期待した読者にとっては残念極まりない作品であり、太平洋戦争時代のことに興味がある人は、興味深く読めるのかと思う。
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