初版発行日 2001年3月20日
発行出版社 新潮社
スタイル 長編
私の評価
【POINT】
十津川警部、射撃の天才に挑む!
十津川警部、射撃の天才に挑む!
あらすじ
東京ー新庄間を繋ぐ山形新幹線「つばさ」121号のグリーン車に、毎回違う男と乗る、どこか陰を持った妖しい美女。彼女と一緒に「つばさ」に乗っていた男が、次々と射殺されていく。十津川警部はその鮮やかな腕前から、射撃の天才・折尾を容疑者として追う。謎の美女と射撃の天才、日本の糸が繋がったとき……。
小説の目次
- 転落
- 名手
- 背後の眼
- 五人目の男
- 附録の男
- 最後の一人
冒頭の文
平成十一年の十二月四日に、山形新幹線「つばさ」が、新庄駅まで伸びてから、すでに四ヶ月余りが過ぎた。
小説に登場した舞台
- 新庄駅(山形県新庄市)
- 福島駅(福島県福島市)
- 東京駅(東京都千代田区)
- 特急「踊り子号」
- 伊豆急下田駅(静岡県下田市)
- 新宿駅(東京都新宿区)
- 歌舞伎町(東京都新宿区)
- 初景滝(静岡県・河津町)
- 河津温泉(静岡県・河津町)
- 七滝茶屋(静岡県・河津町)
- 鳥取砂丘コナン空港(鳥取県鳥取市)
- 三朝温泉(鳥取県・三朝町)
登場人物
警視庁捜査一課
- 十津川省三:
警視庁捜査一課の警部。主人公。 - 亀井定雄:
警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の相棒。 - 西本明:
警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の部下。 - 日下淳一:
警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の部下。 - 北条早苗:
警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の部下。 - 三田村功:
警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の部下。 - 本多時孝:
警視庁捜査一課長。十津川警部の上司。 - 三上刑事部長:
刑事部長。十津川警部の上司。
警察関係者
- 森中:
群馬県警の刑事。 - 上原:
静岡県警の警部。 - 戸田:
警視庁の刑事。ライフル射撃の名手で銅メダルを取ったことがある。 - 中村:
警視庁初動捜査班の警部。 - 吉田:
警視庁初動捜査班の刑事。 - 三崎:
静岡県警の警部。 - 根本:
鳥取県警の警部。 - 井口:
長野県警の刑事。 - 橋本豊:
私立探偵。元警視庁捜査一課の刑事で、十津川警部の元部下。
事件関係者
- 立野博之:
38歳。健康食品メーカーTNCの社長。成城学園駅近くに在住。自宅近くの公園で何者かに射殺される。 - 小笠原:
50歳。JRの職員。山形新幹線つばさの専務車掌。石神井に在住。 - 田口誠:
49歳。JRの職員。山形新幹線つばさの車掌。武蔵境のマンションに在住。行方不明になり、その後、草津の近くの谷底で死体となって発見された。 - 折尾祐一郎:
35歳。山形県に住むマタギ。射撃の天才。 - 山田英介:
40歳。六本木に事務所をもつ芸能プロダクションの社長。下田の別荘で何者かに射殺された。 - 小森宏:
45歳。東京駅近くに事務所をかまえる私立探偵。元警視庁の刑事。小笠原が仕事を依頼した探偵。三鷹の自宅マンションで射殺された後火をつけられた。 - 小坂井徹:
42歳。新宿にある「小坂井建築」の社長。「JAPAN CAT CLUB」の会員。調布市つつじヶ丘に在住。初景滝で何者かに射殺された。 - 高見沢亜紀:
銀座にあるクラブ「舞花」のママ。月島のマンションに在住。山形新幹線つばさで男と乗っている美女。 - 高見沢あかね:
当時23歳。高見沢亜紀の妹。モデル。折尾祐一郎の中学生時代の同級生。2年前、旧軽井沢の別荘で首を吊って自殺した。 - 小松忠則:
42歳。無職。詐欺の前科あり。杉並区荻窪のマンションに在住。三朝温泉の名泉ホテルで何者かに射殺された。 - 海野敬:
38歳。海野運送社長の社長。佃島のマンションに在住。自宅で何者かに射殺された。
その他の登場人物
- 田口悦子:
田口誠の妻。 - 小笠原敬子:
小笠原の妻。 - 杉下:
JRの職員。小笠原の上司。 - 浅井:
JRの職員。 - 足立:
JRの職員。山形新幹線つばさの車掌。 - 小島:
JRの職員。山形新幹線つばさの車掌。 - 真木:
消防隊員。 - 海渡みどり:
26歳。モデル。 - 沼田章子:
南青山に本部がある「JAPAN CAT CLUB」の事務局長。 - 斉藤:
「小坂井建築」の営業部長。 - 春川みき:
モデル。 - 森中:
海野敬の秘書。
印象に残った名言、名表現
■危うさをもつ女。
あの女には、最初に華やかさと強さみたいなものを感じたのだが、そのあと、それとは逆の弱さとはかなさみたいなものを感じたのだ。
感想
男たちに弄ばれ無残にも殺された妹の復讐。これが今回の事件の骨子である。
山形新幹線つばさに乗っている謎の美女と一緒にいる男。しかも謎の美女は複数の男と山形新幹線に乗車していた。一緒に乗っていた男達が次々と殺されていく、という謎めいた事件だった。
実行犯と思われる男、カギを握る女は前半で明らかになっている。
十津川警部たちは、この2人の行方を追うとともに、事件の全体像を暴きだすことが捜査のテーマになる。
復讐を果たす女と男の思いが伝わってきたし、物語全体に緊張感があった。これぞ、”サスペンスフルな作品”と呼べる、秀作である。
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