初版発行日 1997年6月5日
発行出版社 講談社
スタイル 短編集
私の評価
十津川警部の執念の捜査が事件の真相を暴く表題作ほか、全4編の傑作短編ミステリー集。
あらすじ
1.目撃者たち
短編集「北の欲望 南の殺意」に収録。下記を参照↓↓
→「北の欲望 南の殺意」
2.No.200の女
武蔵境の路上でトラックに轢かれて死亡した売れないモデル・近藤ますみ。当初は交通事故として処理されたが、その後の調べて、トラックに轢かれた時にはすでに死亡していたことが判明する。一方、晴海埠頭に沈んでいたベンツの中で、売れないタレント・片山みどりが死体となって発見される。2人の被害者は怪しい男女紹介クラブの会員だったことを発見した十津川警部は、捜査を開始する。
3.箱根を越えた死
東京・練馬のR公園にある桜の木の下で、銀座にあるクラブのホステス・岸井美矢子が死体となって発見された。死体には桜吹雪が舞っていたという。捜査を開始した十津川警部は、目撃証言や聞き込みから、ポルシェ911Sを所有し、小田原にマンションをもつ浅野猛という男が捜査線に浮上するが、鉄壁のアリバイがあった。
4.北陸の海に消えた女
北陸・山中温泉で、製薬会社の役員が、背中を刺され殺された。黒いコート姿の若い女性に、容疑がかかるが、彼女は、海岸で水死体となって発見される。所持品のバッグからは、殺された役員と同じ型の血液が付着したナイフが!
小説に登場した舞台
1.目撃者たち
短編集「北の欲望 南の殺意」に収録。下記を参照↓↓
→「北の欲望 南の殺意」
2.No.200の女
- 西新宿(東京都新宿区)
3.箱根を越えた死
- 御殿場(静岡県御殿場市)
4.北陸の海に消えた女
- 加賀温泉駅(石川県加賀市)
- 山中温泉(石川県加賀市)
登場人物
1.目撃者たち
短編集「北の欲望 南の殺意」に収録。下記を参照↓↓
→「北の欲望 南の殺意」
2.No.200の女
- 十津川省三:
警視庁捜査一課の警部。主人公。 - 亀井定雄:
警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の相棒。 - 西本明:
警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の部下。 - 日下淳一:
警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の部下。 - 北条早苗:
警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の部下。 - 三田村功:
警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の部下。 - 本多時孝:
警視庁捜査一課長。十津川警部の上司。 - 三上刑事部長:
刑事部長。十津川警部の上司。 - 近藤ますみ:
27歳。六本木にあるモデルクラブRに所属しているモデル。男女紹介クラブ「R.C」の会員。武蔵境の路上で死体となって発見された。 - 片山みどり:
25歳。売れないタレント。男女紹介クラブ「R.C」の会員。晴海埠頭に沈んでいたベンツの中で死体となって発見された。 - 井上:
武蔵野警察署交通係の巡査。 - 林:
築地警察署交通係の巡査。 - 島崎:
六本木にあるモデルクラブRのマネージャー。 - 片山良治:
30歳。片山みどりの兄。中野にある喫茶店の店主。 - 片山久美:
片山良治の妻。 - 角田圭一郎:
47歳。男女紹介クラブ「R.C」の社長。過去に詐欺の前科あり。 - 本西:
私立探偵。男女紹介クラブ「R.C」と契約している。元神奈川県警の刑事。 - 辻:
45歳。商事会社の部長。資産家の父親の息子。本多捜査一課長の大学時代の同級生。 - 吉原めぐみ:
26歳。モデルクラブWに所属しているモデル。元レースクイーン。男女紹介クラブ「R.C」の会員。 - 久保秀和:
50歳。足立区内でパチンコ店を経営。足立区の区議。男女紹介クラブ「R.C」の会員。
3.箱根を越えた死
- 十津川省三:
警視庁捜査一課の警部。主人公。 - 亀井定雄:
警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の相棒。 - 西本明:
警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の部下。 - 日下淳一:
警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の部下。 - 岸井美矢子:
27歳。銀座にあるクラブ「ダリア」のホステス。デザイナーの卵。練馬区石神井のマンションに在住。練馬のR公園にある桜の木の下で死体となって発見された。 - 浅野猛:
38歳。新宿にある「アサノ交易」の社長。四谷のマンションに在住。 - 三沢真美:
18歳。N大学に通う女子大生。 - 荒木貴子:
S電機の社員。浅野猛の愛人の一人。吉祥寺のマンションに在住。 - 宮内:
外科医。 - 安田:
「アサノ交易」の元社員。 - 広田努:
19歳。予備校生。 - 田口:
科研の技官。
4.北陸の海に消えた女
- 十津川省三:
警視庁捜査一課の警部。主人公。 - 亀井定雄:
警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の相棒。 - 西本明:
警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の部下。 - 日下淳一:
警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の部下。 - 森下:
加賀温泉のタクシー運転手。 - 井上文子:
山中温泉Kホテルの仲居。 - 入江孝男:
43歳。S製薬の役員。杉並区久我山に在住。山中温泉Kホテルで死体となって発見された。 - 入江由紀子:
入江孝男の妻。 - 三浦:
石川県警の警部。 - 増田あけみ:
26歳。K工業の部長秘書。世田谷区松原のマンションに在住。加賀の海岸で死体となって発見された。 - 斉藤義司:
S製薬の副社長。 - 関口:
42歳。山中温泉Kホテルの支配人。 - 小野:
S製薬の副社長の秘書。
印象に残った名言、名表現
■冬の北陸。
北陸の海岸は、初冬を迎えると、快晴の日は、めっきり少くなる。曇り空が多くなり、小雨になったり、それが、冷たいみぞれになったりするのだ。
感想
本作は、4つの作品が収録された短編集である。
ベンツとポルシェの乗り換えによるアリバイ偽装や、ソメイヨシノと水土野八重という桜の種類の違いによる殺人現場の特定。さらには、新薬開発に伴う賄賂が背景にある社会派ミステリーなど、それぞれ、性格が異なる作品が収録されている。
いずれも、十津川警部シリーズの短編としては、中庸だと思う。悪くはないが、良くもない。
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