初版発行日 2020年5月15日
発行出版社 双葉ノベルズ
スタイル 長編
私の評価
【POINT】
十津川警部、戦後混乱期に漂う友愛と遺産を巡る謎を華麗に暴く!
十津川警部、戦後混乱期に漂う友愛と遺産を巡る謎を華麗に暴く!
あらすじ
警視庁捜査一課の市橋刑事は、祖父、勝之介の頼みを受け、呉と広島を写真撮影の為に訪れたが、呉の宿泊先で殺人事件に巻き込まれた。その後、勝之介が広島市内で殺害されたとの知らせを受け、十津川警部、亀井刑事と共に現地に向かった。二つの殺人事件の捜査の過程で、戦中戦後の勝之介を巡る出来事から事件は予想外の展開を…!?
小説の目次
- 祖父のための呉
- 戦争の亡霊
- 戦後の混乱
- 昭和二十年の愛の形
- 拡がる過去
- 二人の女
- 何が三人を変えたのか
- 真実の和解
冒頭の文
市橋大樹、二十八歳。警視庁捜査一課の若手の刑事である。
小説に登場した舞台
- 広島駅(広島県広島市南区)
- 呉駅(広島県呉市)
- 入船山公園(広島県呉市)
- 麗女通(広島県呉市)
- 呉中央桟橋ターミナル(広島県呉市)
- 入船山記念館(広島県呉市)
- 尾道(広島県尾道市)
- 東京駅(東京都千代田区)
- 山形駅(山形県山形市)
- 山形県庁(山形県山形市)
登場人物
警視庁捜査一課
- 十津川省三:
警視庁捜査一課の警部。主人公。 - 亀井定雄:
警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の相棒。 - 市橋大樹 :
28歳。警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の部下。 - 日下淳一:
警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の部下。 - 北条早苗:
警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の部下。 - 三田村功:
警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の部下。 - 三上刑事部長:
刑事部長。十津川警部の上司。
広島県警
- 安藤:
広島県警の警部。 - 久保:
広島県警の刑事。 - 井口:
広島県警の刑事。 - 柴田:
広島県警の刑事。
事件関係者
- 市橋勝之介:
93歳。市橋大樹刑事の祖父。現在入院中。太平洋戦争時代、海軍の予科練習生で呉にいた。広島市街で何者かに殴られて負傷した後、病院を抜け出して広島の繁華街で殺害された。 - 市橋専太郎:
58歳。市橋大樹刑事の父親。大手企業の管理部長。函館に在住。 - 市橋弓子:
54歳。市橋大樹刑事の母親。 - 小林修:
新橋に事務所をかまえる私立探偵。呉の旅館で何者かに殺害される。 - 宮本久美:
24歳。小林修探偵事務所の事務員。 - 原口健三:
尾道にあるレストランの主人。 - 原口ひろみ:
原口健三の妻。 - 太田垣隆之:
戦後、呉の闇マーケットを牛耳っていた太田垣隆史の孫。 - 近藤幸太郎:
山形にあるさくらんぼ農家のオーナー。5年前に死亡している。 - 野村:
M信託銀行の部長。 - 川田悠介:
75歳。五反田にある喫茶店「すみれ」の店主。市橋勝之介の友人。 - 木下良子:
S病院の整形外科婦長。 - 大野:
弁護士。 - 清水明生:
弁護士。
感想
太平洋戦争を語る上で広島をはずすことはできないだろう。その理由は日本人なら誰もが知っているはず。つまり、日本の歴史を語る上で広島をはずすことはできないのである。
本作は、そんな広島と呉を舞台にした殺人事件であった。近年の十津川警部シリーズと同様、太平洋戦争時代の話が数多く登場し、戦中から戦後にかけての出来事が殺人事件の根本にあるというパターンであった。
ただ、今回は、戦中から戦後にかけての恋模様が描かれており、ゴリゴリの歴史解説に比べると、情緒的だったと思う。
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