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十津川警部「長良川心中」感想レビュー。あらすじ、舞台、登場人物

長良川心中小説

初版発行日 2010年2月25日
発行出版社 中央公論新社
スタイル 長編

私の評価 3.0

POINT】
心中か偽装殺人か?鵜飼い屋形船から始まる死の連鎖に、十津川警部、驚愕の推理!
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あらすじ

千三百年の歴史をもつ岐阜・長良川ながらがわ鵜飼うかいの最中に、観覧屋形船で男女のカップルーエリート会社員とクラブのママが意識不明になった。二人は強力な睡眠薬を服用し、女は死亡、男は一命を取り留めた。二週間後、東京台場のホテルで、やはり男女が睡眠薬を飲み、著名なエコノミストが命を落とし、女が助かるという事件があった。生存した男女はそれぞれ「心中だった」と主張した。警察はこの「心中事件」に計画的殺人の匂いをかぐが、二件をつなぐ接点・動機が見いだせず、当事者の証言をくつがす証拠をつかめない。迷宮入りを覚悟した時、十津川警部が驚愕きょうがくの推理を披露する!

小説の目次

  1. 鵜飼いの夜
  2. マネージャーの男
  3. 心中か殺人か
  4. 睡眠薬ネルトンN
  5. 過去への旅
  6. 視点を変えて
  7. 終局への犠牲

冒頭の文

五月に入ると、長良川で、恒例の鵜飼いが始まる。

小説に登場した舞台

  • 岐阜羽島駅(岐阜県羽島市)
  • 岐阜都ホテル(岐阜県岐阜市)
  • ぎふ長良川の鵜飼(岐阜県岐阜市)
  • お台場(東京都江東区)
  • 渥美半島(愛知県田原市)
  • 柳ケ瀬通(岐阜県岐阜市)
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登場人物

警視庁捜査一課

  • 十津川省三:
    警視庁捜査一課の警部。主人公。
  • 亀井定雄:
    警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の相棒。
  • 西本明:
    警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の部下。
  • 日下淳一:
    警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の部下。
  • 北条早苗:
    警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の部下。
  • 三上刑事部長:
    刑事部長。十津川警部の上司。

事件関係者

  • 藤本智之:
    36歳。R重工の業務課長。長良川の屋形船で強力な睡眠薬を飲んだが一命を取り留めた。
  • 水島和江:
    25歳。六本木にあるクラブのママ。長良川の屋形船で強力な睡眠薬を飲み死亡する。
  • 金子真紀子:
    M製薬管理課の社員。水島和江の友人。三鷹のマンションに在住。自宅で睡眠薬を飲んで死亡した。
  • 市村茂樹:
    60歳。エコノミスト。世田谷区成城に在住。竹村首相のブレーンの一人。お台場のホテルで強力な睡眠薬を飲み死亡する。
  • 氷室晃子:
    30歳。岐阜市柳ケ瀬通にあるクラブ「あき」のママ。金町のマンション在住。お台場のホテルで強力な睡眠薬を飲んだが一命を取り留めた。
  • 足立秀成:
    R重工の副社長。
  • 木本信雄:
    雑誌「旅ロマン」の編集者。
  • 井上有紀:
    雑誌「旅ロマン」のカメラマン。

その他の登場人物

  • 田辺:
    雑誌「旅ロマン」の編集長。
  • 海島:
    長良川屋形船の船員。
  • 末永:
    岐阜中警察署の副署長。
  • 藤本涼子:
    藤本智之の妻。R重工の副社長・足立秀成の娘。
  • 前田:
    M製薬管理課の課長。
  • 本堂始:
    水島和江の店でマネージャーをしていた男。
  • 鈴木:
    新聞社「長良川新報」のデスク。
  • 市村智子:
    25歳。市村茂樹の娘。外国映画の輸入会社に勤務。四谷にあるマンションに在住。
  • 加藤健一郎:
    40歳。市村茂樹の秘書。
  • 井手:
    医師。
  • 天田敏子:
    30歳。氷室晃子の高校時代の同級生。渥美半島にある旅館「天田屋」の女将。
  • 藤本明典:
    藤本智之の父親。R重工で嘱託として働いている。
  • 藤本敬子:
    藤本智之の母親。
  • 白井:
    三鷹市内にあるN病院の医師。
  • 八代:
    竹村首相の秘書。
  • 林:
    S出版の出版部長。
  • 秋山:
    岐阜市柳ケ瀬通にあるクラブ「あき」のマネージャー兼バーテン。
  • 冬美:
    岐阜市柳ケ瀬通にあるクラブ「あき」のホステス。
  • 美奈子:
    岐阜市柳ケ瀬通にあるクラブ「あき」のホステス。
  • 楓:
    岐阜市柳ケ瀬通にあるクラブ「あき」のホステス。

印象に残った名言、名表現

■人にはふさわしい匂いがある。

たいていの人間は、その人間にふさわしい匂いというか、雰囲気を、持っているものである。政治家には、政治家の匂いがあるし、サラリーマンには、サラリーマンの、匂いというものがある。

感想

本作は、心中に見せかけた殺人事件を暴く、というストーリーであった。これが単なる心中だったら、ミステリー小説にならないので、当然だろう。

事件を難しくしたのが、心中に見せかけた男女のカップルの関係がわからなかった点である。通常、心中は恋人通しや夫婦がするものであるが、今回は、そうした男女関係がなかったからである。

だが、これは、犯人側の”作為”によって仕組まれたものであり、2件目の心中偽装は、犯人側とは別の”作為”によって起こった事件であった。

つまり、1件目の偽装事件と2件目の偽装事件は、まったく別の意思が働いていたというのが真相である。では、どんな意図があり、どんな結末を迎えるのか?

その答えは、本書を手にとって確かめてもらいたい。

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