初版発行日 1982年7月15日
発行出版社 新潮社
スタイル 長編
私の評価
【POINT】
十津川警部の活躍は?奇想天外なトリックの傑作鉄道ミステリー。
十津川警部の活躍は?奇想天外なトリックの傑作鉄道ミステリー。
あらすじ
行き先不明のブルートレイン「ミステリー号」が東京駅を出発したまま消息を絶ってしまった。ほどなく犯人から身代金10億円を要求する連絡が入る。速かに応じない場合は乗客の生命は保証できないという。全長250メートルに及ぶ列車を400名の乗客ごとに誘拐するという前代未聞の犯罪に、国鉄当局・警察は翻弄される。
小説の目次
- 東京駅
- 身代金
- ゆうづる13号
- 追跡
- 新たな殺人
- 赤いトランク
- 車両基地
- 六つの条件
- コンクリートの檻
- マニア
- 新たな難問
- 三人の人質
- 聞き込み
- レーダースクリーン
- ライフジャケット
- 南の空へ
冒頭の文
東京駅、午後十一時三十分(二三時三〇分)。いつもなら、9番線から、二三時二五分発の大垣行の電車が出てしまうと、東海道本線の一番八重洲口寄りのホームは、人の気配が消えてしまう。
小説に登場した舞台
- 東京駅(東京都千代田区)
- 鳥取駅(鳥取県鳥取市)
- 上野駅(東京都台東区)
- 寝台特急「ゆうづる13号」
- 水戸駅(茨城県水戸市)
- 原ノ町駅(福島県南相馬市)
- 一ノ関駅(岩手県一関市)
- 盛岡駅(岩手県盛岡市)
- 一戸駅(岩手県・一戸町)
- 八戸駅(青森県八戸市)
- 三沢駅(青森県三沢市)
- 京都駅(京都府京都市下京区)
- 梅小路蒸気機関車館(京都府京都市下京区)
- 新大阪駅(大阪府大阪市淀川区)
- 新垂井駅(岐阜県・垂井町)
- 成田空港(千葉県成田市)
- 大垣駅(岐阜県大垣市)
- 台湾桃園国際空港(台湾)
登場人物
警視庁捜査一課
- 十津川省三:
警視庁捜査一課の警部。主人公。 - 亀井定雄:
警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の相棒。 - 桜井:
警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の部下。 - 小川:
警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の部下。 - 本多時孝:
警視庁捜査一課長。十津川警部の上司。
愛知県警
- 藤代:
35歳。愛知県警の警部。 - 大久保:
愛知県警の刑事。
国鉄職員
- 木本:
国鉄総裁。 - 北野浩:
国鉄総裁秘書。 - 柴田:
国鉄の旅客局長。 - 田中:
国鉄職員。 - 青木:
東京駅の乗客係の助役。 - 阿部:
鳥取駅の助役。
大阪鉄道管理局
- 日下:
42歳。大阪鉄道管理局の営業部長。 - 島崎:
大阪鉄道管理局向日町運転所の所長。 - 池田:
大阪鉄道管理局の職員。 - 上原久仁:
32歳。大阪鉄道管理局の職員。ミステリー列車の車掌。六郷付近の多摩川で死体となって発見された。 - 岡部義夫:
大阪鉄道管理局の職員。ミステリー列車の営業部員。 - 中村正人:
大阪鉄道管理局の職員。ミステリー列車の機関士。 - 針谷三郎:
大阪鉄道管理局の職員。ミステリー列車の助手。 - 田辺哲次:
大阪鉄道管理局の職員。ミステリー列車の車掌長。 - 北原徹:
大阪鉄道管理局の職員。ミステリー列車の車掌。
ミステリー列車の乗客
- 津山研一:
月刊雑誌「旅窓」の記者。 - 西本功:
俳優。麻布に在住。 - 星野英司:
12歳。小学生。世田谷区成城に在住。 - 林杏子:
21歳。大学生。吉祥寺のマンションに在住。 - 中尾明子:
24歳。OL。港区南青山のマンションに在住。
事件関係者
- 石山清之:
太陽工業の係長。中野のマンションに在住。親睦団体「ねんにかい」の会員。自宅で死体となって発見された。 - 白石剛:
名古屋・栄にあったバス会社「白石観光」の社長。倒産した。親睦団体「ねんにかい」の会員。 - 高野正之:
新宿にある予備校の社長。親睦団体「ねんにかい」の会員。 - 梶間泰一:
35歳。元大阪鉄道管理局の職員の機関士。 - 新井幹夫:
27歳。元大阪鉄道管理局の職員の車掌。 - 福田徹:
26歳。元大阪鉄道管理局の職員の車掌。 - 久保田健:
30歳。元大阪鉄道管理局の職員の機械工。 - 山崎勇:
29歳。元K検察の社員。 - 星野英夫:
星野英司の父親。航空管制官。 - 林太一郎:
林杏子の父親。田島重工航空製造部の部長。 - 中尾隆寿:
57歳。中尾明子の父親。パイロット。
その他の登場人物
- 佐野:
田島重工航空製造部の副部長。 - 小池勇:
田島重工航空製造部の職員。 - 乗兼由紀子:
月刊雑誌「旅窓」の記者。津山研一の婚約者。 - 田口:
月刊雑誌「旅窓」の編集長。 - 太田:
55歳。医師。四谷在住。親睦団体「ねんにかい」の世話役。 - 小島:
イラストレーター。親睦団体「ねんにかい」の会員。 - 石立英夫:
21歳。大阪にある大学に通う大学生。親睦団体「ねんにかい」の会員。 - 木戸明:
「白石観光」の社長秘書をしていた男。
感想
本作は、400人を乗せたミステリー列車が突如消えてしまい、400人を人質にして身代金を要求するという大掛かりなものだった。いや、大掛かりすぎたかもしれない。
話が大きくなりすぎて、警視庁の刑事が活躍する領域を越えているし、さすがに400人という人数は無理があると思ってしまった。大きくなりすぎて収拾がつかなくなっていた気さえする。
また、これだけ大きな話だから、当然、登場人物が多くなる。登場人物が多すぎて、一人ひとりが薄まってしまっているのも気になった。誰ひとりとして印象に残った人物がいないのだ。
本作は、この400人の人質をとったミステリーが主眼なので、登場人物のキャラクターはどうでもいいのかもしれないが。
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