初版発行日 2000年12月15日
発行出版社 中央公論新社
スタイル 長編
私の評価
【POINT】
友人夫婦を襲った最悪の事件!東奔西走する十津川警部と妻・直子。苦悩の推理行の結末は?
友人夫婦を襲った最悪の事件!東奔西走する十津川警部と妻・直子。苦悩の推理行の結末は?
あらすじ
風光明媚な温泉地由布院で、旅行中の新妻が絞殺され、アメリカ人の夫クラークに殺人容疑がかけられた。友人夫婦を襲った最悪の事態に、十津川は現地へ飛び、五年前この地で、被害者が一人の青年と恋に落ちたことを知る。が、その青年の白骨体が東京三鷹で発見され、さらにクラークの驚愕の過去が明らかになる。
小説の目次
- 友の便り
- 白骨死体
- ヒーロー像
- 猫の家
- 男を追う
- 最初の対決
- 生死の境
冒頭の文
友人のアメリカ人から、十津川に、手紙が届いた。
小説に登場した舞台
- 福岡空港(福岡県福岡市博多区)
- 博多駅(福岡県福岡市博多区)
- 特急ゆふいんの森
- 由布院駅(大分県由布市)
- 由布院温泉(大分県由布市)
- 金鱗湖(大分県由布市)
- 成田空港(千葉県成田市)
- 羽田空港(東京都大田区)
- 大分空港(大分県国東市)
- 蛍観橋(大分県由布市)
- サンフランシスコ(アメリカ合衆国)
- ユタ空港(アメリカ合衆国)
- ハワイ(アメリカ合衆国)
登場人物
警視庁捜査一課
- 十津川省三:
警視庁捜査一課の警部。主人公。 - 亀井定雄:
警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の相棒。 - 西本明:
警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の部下。 - 日下淳一:
警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の部下。 - 北条早苗:
警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の部下。 - 三田村功:
警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の部下。 - 本多時孝:
警視庁捜査一課長。十津川警部の上司。
警察関係者
- 十津川直子:
十津川警部の妻。 - 竹下:
40歳。大分県警の警部。 - 橋本豊:
私立探偵。元警視庁捜査一課の刑事で、十津川警部の元部下。 - 谷川:
大分拘置所の所長。
事件関係者
- ロナルド・E・クラーク:
30歳。アメリカ人。十津川警部の友人。東京都内在住。翻訳の仕事をしている。妻の加奈子殺害容疑で逮捕される。 - 酒井加奈子:
ロナルド・E・クラークの妻。翻訳の仕事をしている。由布院で何者かに殺害される。 - 岡本卓郎:
28歳。K物産の営業三課の課長。西京大学の卒業生。5年前、由布院で酒井加奈子と知り合い、恋人になった時があった。三鷹の建設現場で白骨死体となって発見される。 - 有田公一:
46歳。翻訳仲介業者「有田工房」の社長。 - B・ハックマン:
当時20歳。17年前、サンフランシスコの学校で銃乱射事件を起こしたが、当時少年のクラークに射殺された。 - ケンジ・ハックマン:
B・ハックマンの弟。日系人。B・ハックマンの両親の養子。
その他の登場人物
- 有田みゆき:
有田公一の妻。 - 井上:
K物産の社員。岡本卓郎の同僚。 - 神埼:
R観光の社員。岡本卓郎の大学時代の同級生。 - 山崎:
四谷にあるM探偵社の社員。 - 水島守:
55歳。大分市内に事務所をかまえる弁護士。 - 横山啓一郎:
大分市内に事務所をかまえる弁護士。 - 山本:
銀座にあるU・S・ディテクティブ・トウキョウの責任者。
印象に残った名言、名表現
感想
本作の見どころは、十津川警部と妻・直子の”夫婦捜査”であろう。
十津川警部シリーズでお馴染みともいえる、名物キャラクター直子。持ち前の好奇心と行動力、鋭い直感と強い意志で、これまでにも、事件解決のために重要な働きをしてきた。が、メインの捜査に参加したことはあまりないだろう。
だが、今回は、十津川警部とタッグを組み、一緒に捜査をしたのだ。やはり、夫婦というだけあり、息はピッタリ。いつもの相棒、亀井刑事とはひと味違う、コンビネーションが展開された。
十津川警部は刑事という権力を駆使して捜査ができる一方、自由には動き回れない。だが、直子は、一般人なので自由に動き回れる。お互いの弱点を補い合える関係なのである。
この自由さを利用して、十津川警部は、直子にアメリカに行き、捜査をしてもらう。このアメリカでの捜査が、事件解決の決め手になるのだ。
普段はなかなか見られない、十津川夫妻の”夫婦捜査”。貴重な作品の一つである。
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