初版発行日 2006年3月8日
発行出版社 集英社
スタイル 長編
私の評価
【POINT】
雷鳥のお座敷グリーン車で死んだ女が招く連続殺人!妻のブログをヒントに時空を迎えた事件の真相に迫る十津川警部。東京・金沢を結ぶ推理行!
雷鳥のお座敷グリーン車で死んだ女が招く連続殺人!妻のブログをヒントに時空を迎えた事件の真相に迫る十津川警部。東京・金沢を結ぶ推理行!
あらすじ
平成元年2月、和倉温泉へ向かうお座敷グリーン車で若い女が不審死を遂げたが、自殺か他殺か、真相はわからぬままとなった。15年以上経って、事件の起きた車両を買い取って庭に保存している高柳という男が、奇妙な掲示板を出す。事件当日、この車両に乗っていた人に話をききたい、謝礼に10万円払うという趣旨だった。やがて、高柳のもとへ話をしに来た若い男が殺され……。時効を迎えた事件が新たな殺人を読んだ!?
なぜ、高柳修は、16年前に事件が起きた特急「雷鳥」の車両を、展示しているのか?
小説の目次
- 謎の青酸中毒死
- ブログの世界
- 最初に戻って
- 新展開
- ある小説
- 真相への接近
- 終章への扉
冒頭の文
最近、警視庁捜査一課の、西本刑事は、武蔵小金井に、引っ越した。
小説に登場した舞台
- 金沢市内(石川県金沢市)
- 天王寺(大阪府大阪市天王寺区)
- 輪島 (石川県輪島市)
- 新大阪駅(大阪府大阪市淀川区)南房総(千葉県南房総市)
登場人物
警視庁捜査一課
- 十津川警部:
警視庁捜査一課の警部。主人公。 - 亀井定雄:
警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の相棒。 - 西本明:
警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の部下。 - 日下淳一:
警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の部下。 - 北条早苗:
警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の部下。 - 三田村功:
警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の部下。
事件関係者
- 高柳修:
36歳。旅行作家。事件の起きた特急「雷鳥」の車両を買い取って庭に保存している男。 - 木谷由紀:
16年前、特急「雷鳥」のお座敷グリーン車の車内で死亡した女性。渋谷にある建設会社で経理をしていた。 - 森山信行:
40歳。八重洲にある模型店で働くサラリーマン。三鷹在住。鉄道ファン。自宅マンションに帰る途中、何者かに刺殺される。 - 本間浩之:
45歳。16年前の特急「雷鳥」事件の捜査をしていた石川県警の元刑事。5年前に退職。世田谷区成城の自宅マンション近くで死体となって発見された。 - 田村浩一:
66歳。大阪市天王寺区にある食堂「雷鳥」の店主。16年前、事件があった臨時特急「雷鳥」の車掌をしていた。 - 小堺泰典:
65歳。千葉県議会の副議長。かつて雑誌「レール日本」の社長をしていた男。 - 佐々木進:
16年前、事件があった臨時特急「雷鳥」の乗っていた乗客。高柳修の友人だった。5年前、自殺している。 - 井口雅夫:
私立探偵。世田谷区代田橋に在住。 - 田川義彦:
37歳。ベンチャー企業の社長。16年前、事件があった臨時特急「雷鳥」の乗っていた乗客。
その他の登場人物
- 森山弘子:
35歳。森山信行の妻。 - 十津川直子:
十津川警部の妻。 - 桜井:
S大学の教授。かつて高柳修を教えていた。 - 武田:
雑誌の編集長。高柳修の大学時代の同級生。 - 酒井:
石川県警の警部。 - 田村里子:
田村浩一の妻。 - 木村:
30歳。六本木のクラブ「シャノアール」のマネージャー。 - 安原明:
5年前、「レール日本」小説大賞選考委員の手伝いをしていた男。 - 佐々木泰造:
「繊維問屋佐々木」の社長。佐々木進の父親。
印象に残った名言、名表現
■この事件の大きな謎。
「すでに、時効になっている事件が、どうして、今になって、三件もの殺人事件を呼んでいるのか、それが、不思議で仕方ないんです」
感想
16年前、臨時特急「雷鳥」で起こった未解決殺人事件が、発端となった連続殺人事件。
この事件は、事件発生から15年以上が経過したため、時効となっているのだが、なぜか、事件の関係者が次々に殺される。さらに、高柳修という者が、16年前に事件があった「雷鳥」の車両を買取り、庭に展示し、事件の日の乗客を探しているのだ。
十津川警部たちの前に、立ちはだかる謎は、次の4つ。
- 15年前の「雷鳥」の殺人事件の犯人は誰か?
- 現在、起こっている連続殺人事件の犯人は誰か?
- なぜ、16年前の事件の関係者が、次々と殺されているのか?
- なぜ、高柳修は、16年前に事件が起きた特急「雷鳥」の車両を、展示しているのか?そして、この時の乗客がいたら、話を聞かせてくれる代わりに10万円支払うという募集をしているのか?
すでに時効になってしまった16年前の事件を、今から紐解かなければならないので、当然、捜査は難航する。ここからが、十津川警部の腕の見せ所だ。
捜査の行方については、本作を読んでもらいたいが、このミステリーには、いくつかのどんでん返しが用意されている。少し、びっくりするような、真相である。
また、2006年当時、流行していたブログが、事件解決のヒントになっているところも、面白い。
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