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十津川警部「高山本線の秘密」感想レビュー。あらすじ、舞台、登場人物

高山本線の秘密小説

初版発行日 2017年4月14日
発行出版社 小学館
スタイル 長編

私の評価 2.0

POINT】
犠牲になるのは、いつも子供だ!東京と高山で起こった事件の背後には、今もうごめく「戦争の亡霊」がいた!大戦末期に行われた「永久戦争」とは!?
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あらすじ

女性カメラマン夏川えりは、故郷である飛騨高山へ向かった。高山から足をのばし、世界遺産の白川郷、さらにその奥の無人の村・R村へたどり着いた。太平洋戦争末期、従軍看護婦として満州に渡っていた、えりの祖母夏川勝子が一時帰国し、R村で行方知らずになっていた。今、改めてこの村のことを調べてみようと思って訪れたのだ。ところが、えりもR村で姿を消してしまった……。

一展、東京三鷹で独居老人浅野真治が殺された。現場へ駆けつけた十津川は、驚くべき証言を得た。遡ること七十数年前、浅野の父親である浅野真太郎が唱え、敗色濃い日本軍がとったとされる「永久戦争」のことを知ることとなる。歴史の闇に葬り去られようとしていた悪魔の戦術が、現実によみがえろうとしていたのだ。そして、その要の地が、夏川勝子やその孫の夏川えりがたどったR村だったのだ。十津川警部は、二つの事件の背後にうごめく「戦争の亡霊」の行方を追い始めた。

小説の目次

  1. 消えた集落
  2. 永久戦争
  3. 戦争と子供と
  4. 謎の訓練基地
  5. 石碑
  6. 老いたる戦死への鎮魂歌

冒頭の文

夏川えりは、現在三十七歳。女性カメラマンである。三十歳の時に、結婚したが、相手と気が合わず、一年で離婚している。

小説に登場した舞台

  • 特急ワイドビューひだ11号
  • 高山駅(岐阜県高山市)
  • 白川郷(岐阜県・白川村)
  • 岐阜県庁(岐阜県岐阜市)
  • 高山市役所(岐阜県高山市)
  • 那覇空港(沖縄県那覇市)
  • コザ(沖縄県沖縄市)
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登場人物

警視庁捜査一課

  • 十津川省三:
    警視庁捜査一課の警部。主人公。
  • 亀井定雄:
    警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の相棒。
  • 西本明:
    警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の部下。
  • 日下淳一:
    警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の部下。
  • 北条早苗:
    警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の部下。
  • 三田村功:
    警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の部下。
  • 三上刑事部長:
    刑事部長。十津川警部の上司。

事件関係者

  • 夏川えり:
    37歳。女性カメラマン。三鷹のマンションに在住。高山出身。白川郷の奥にあるR村で失踪する。
  • 夏川勝子:
    夏川えりの祖母。太平洋戦争で従軍看護婦として満州に渡った。
  • 浅野真治:
    72歳。元作家。三鷹の団地に在住。自宅で死体となって発見された。
  • 木下勇:
    「永久戦争の戦士」を名乗るグループのリーダー。

その他の登場人物

  • 平松雪乃:
    夏川えりの高校時代の同級生。
  • 真田さおり:
    岐阜県庁広報課の職員。
  • 木下芳郎:
    87歳。元岐阜県庁の職員。戦時中のR村についてよく知っている。
  • 郷田:
    出版社の社長。
  • 後藤将行:
    95歳。青梅の萱ぶきの家に住む。会津の生まれ。太平洋戦争中は特務機関に属していた。
  • 田島:
    中央新聞社会部の記者。十津川警部の大学時代の同級生。
  • 中曽根:
    沖縄県警の警部。

印象に残った名言、名表現

■家は朽ち果てる。

どの家も、木造萱ぶき、塀は土を固めて、造られたものだ。屋根の萱は、朽ちて落下し、壁は崩れている。家というものは、朽ち果てるものだと、りえは実感した。

感想

本作は、太平洋戦争前後のエピソードがふんだんに盛り込まれた作品である。とくに、「永久戦争」という言葉について、詳しく解説されていたのが印象的だった。この言葉は、教科書に登場するものではないので、初めて聞く方も多いと思う。私もそうだった。

事件については、太平洋戦争にとらわれ、今も戦争が続いていると頑なに信じている者たちが起こした。太平洋戦争当時に起きた出来事が現代の事件にリンクしている点は、良かったと思う。

ただし、それがストーリとして面白いかは全く別の話である。

やはり、西村京太郎先生は、スピード感と緊張感あふれるサスペンス、日本各地の旅情を描いた、トラベルミステリーの才があるのであって、歴史組み込み型は無理があると私は思う。

コメント