初版発行日 2003年11月30日
発行出版社 角川書店
スタイル 長編
私の評価
十津川警部、拉致される!友の死、戦慄の陰謀……最凶の敵の正体は!?
あらすじ
十津川警部の旧友、原口が長崎・雲仙で死体として発見された。彼は生前、何かにひどく怯えた様子だったという。捜査が進むうちに、勤務先の音響メーカー・メディアX社に関するきな臭い噂が届く。原口は死の直前、出版社宛にメディアX社の所業を告発する手紙を出していたのだ。真相を探ろうとする十津川の前に立ちはだかる妨害の数々。そして十津川は何者かの手によって拉致されてしまうが……!?十津川警部、最大最悪の危機!
小説の目次
- 友の死
- 取材の戦い
- 追われる
- 新型戦車
- 思考の影
- タイトロープ
- 終わりへの長い道のり
冒頭の文
タクシーが、雲仙温泉に向かって坂道を登っていくにつれて、雨が、雪に変わっていった。
小説に登場した舞台
- 雲仙温泉(長崎県雲仙市)
- 雲仙地獄(長崎県雲仙市)
- 深大寺(東京都調布市)
- 塔ノ沢(神奈川県・箱根町)
- 海老名サービスエリア(神奈川県海老名市)
- 富士のすそ野(静岡県裾野市)
- 西湖(山梨県・富士河口湖町)
登場人物
警視庁捜査一課
- 十津川省三:
警視庁捜査一課の警部。主人公。 - 亀井定雄:
警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の相棒。 - 西本明:
警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の部下。 - 日下淳一:
警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の部下。 - 北条早苗:
警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の部下。 - 三田村功:
警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の部下。 - 田中大輔:
警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の部下。 - 本多時孝:
警視庁捜査一課長。十津川警部の上司。 - 三上刑事部長:
刑事部長。十津川警部の上司。
メディアX
- 小笠原大輔:
音響メーカー「メディアX」の社長。 - 原口利夫:
「メディアX」研究所の所長。十津川警部の大学時代からの友人。雲仙地獄で死体となって発見された。 - 浅井匡:
「メディアX」の広報部長。 - 楠:
「メディアX」研究所の所員。原口利夫の部下。 - 戸田:
「メディアX」研究所の所員。原口利夫の部下。 - 小川友一:
「メディアX」研究所の所員。原口利夫の部下。
防衛庁&自衛隊関係者
- 立川:
代議士。防衛庁副長官。 - 小野利春:
立川代議士の秘書。 - 柿崎:
45歳。小松基地に配属されているパイロット。
近代マガジン編集部
- 矢木:
「近代マガジン」編集部の編集長。 - 本田:
「近代マガジン」編集部の記者。 - 林みゆき:
「近代マガジン」編集部のカメラマン。 - 井上:
「近代マガジン」の出版部長。 - 神谷浩:
翻訳家。目黒区内に在住。 - 谷内五郎:
29歳。矢木の大学時代の後輩。柔道三段。
その他の登場人物
- 原口真美:
原口利夫の妻。 - 皆川:
長崎県警の警部。 - 田口:
中央新聞社会部の記者。十津川警部の大学時代の同級生。 - 小林:
中央新聞経済部の記者。 - 渡辺克俊:
渋谷に住む個人コンサルタント。 - 十津川直子:
十津川警部の妻。 - 伊原:
四谷にあるS総合病院の医師。 - 島崎:
精神科の権威。
印象に残った名言、名表現
(1)思考認識システム。
「これは、空想科学の世界といわれるかも知れませんが、一人の人間が考えることを、機械が認識して、対応するということです。自動車についていえば、運転手が右に廻りたいと思えば、自動的に、車が右折する。また、運転手が衝突の危険を感じた時、それからブレーキを踏むわけですが、危ないと思った瞬間、ブレーキが反応するわけです」
(2)今回の敵の強大さ。
「大変なことになりそうだ。今度の事件の相手は、並大抵の相手じゃないからね」
感想
本作は、壮大な話だった。いささか、壮大すぎると言ってもいいかもしれない。
メディアX社が開発している思考認識システムが、ストーリーの中心になっており、防衛庁や自衛隊が絡んでいる。警視庁捜査一課の警部が相手にするには、巨大すぎる相手だ。
十津川警部も、こんな風に言っている。
「大変なことになりそうだ。今度の事件の相手は、並大抵の相手じゃないからね」
正攻法では、捜査が進展しない。だから、十津川警部たちは、あらゆる非常手段を使って、捜査を進めていくことになるわけだが、この非常手段を使った捜査が、今回の面白さになっている。
そして、あらすじにもある通り、十津川警部と亀井刑事が、拉致されてしまい、生命の危機に瀕するほどの、最大のピンチが訪れるのだ。
このピンチをどうやって切り抜けたのか?そして、この強大な相手に勝てるのか?この先は、本書を読んで確かめてもらいたい。
最後にひとつ。
亀井刑事は、無事だったのだろうか?
コメント