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「生死の分水嶺・陸羽東線」感想レビュー。あらすじ、舞台、登場人物

生死の分水嶺・陸羽東線小説

初版発行日 2014年1月20日
発行出版社 新潮社
スタイル 長編

私の評価 3.3

POINT】
運命を分ける山間の水辺で女が死んだ!十津川警部が突き止めた、悲しい運命の分岐点とは?
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あらすじ

陸羽東線の無人駅・堺田。その駅前で、日本海と太平洋へ川の流れが分かれていく。分水嶺を目の当たりにするこの地で、若い女の死体が発見された。事件直前、女は自身の過去を巡るように、鳴子温泉を訪ね歩いていた。さらに女の同僚にも魔の手が。彼女たちの過去に何が?

小説の目次

  1. 失踪
  2. 六年前の事件
  3. 兄弟たち
  4. 現代のドン・キホーテ
  5. 選挙妨害
  6. 分水嶺に賭ける

冒頭の文

遠山慶介、六十八歳。あと二年で、古稀を迎える。遠山には、これまで正式な結婚歴はないが、一人の女性と二十年間、同棲生活を送ったことがある。この生活は、十年前、彼女の病死で終った。

小説に登場した舞台

  • 新庄駅(山形県新庄市)
  • 鳴子温泉(宮城県大崎市)
  • 鳴子温泉神社(宮城県大崎市)
  • 日本こけし館(宮城県大崎市)
  • 分水嶺(山形県・最上町)
  • 堺田駅(山形県・最上町)
  • 軽井沢(長野県・軽井沢町)
  • 石垣島(沖縄県石垣市)
  • 盛岡駅(岩手県盛岡市)
  • 小岩井農場(岩手県・雫石町)
  • 新宿駅(東京都新宿区)
  • 仙台駅(宮城県仙台市青葉区)
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登場人物

警視庁捜査一課

  • 十津川省三:
    警視庁捜査一課の警部。主人公。
  • 亀井定雄:
    警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の相棒。
  • 西本明:
    警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の部下。
  • 日下淳一:
    警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の部下。
  • 北条早苗:
    警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の部下。
  • 三田村功:
    警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の部下。
  • 片山明:
    警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の部下。
  • 三上刑事部長:
    刑事部長。十津川警部の上司。

事件関係者

  • 遠山慶介:
    68歳。十条銀座にある喫茶店「茶房 一匹の猫」の店主。
  • 野村君子:
    55歳。「茶房 一匹の猫」の店員。お店で死体となって発見された。
  • 河上あや:
    25歳。「茶房 一匹の猫」の店員。鳴子出身。川島マリアと名乗っていた。鳴子温泉の近くで死体となって発見された。
  • 加藤美奈子:
    かつて軽井沢にある中村賢治の別荘で働いていた。少し前に自殺した。
  • 沼田博司:
    62歳。十条銀座にある印刷屋の主人。
  • 小野寺恭子:
    60歳。十条銀座にある電器屋の女将。喫茶店「茶房 一匹の猫」の常連客。
  • 井原和夫:
    68歳。弁護士。遠山慶介の同級生。

中村一家

  • 中村賢一郎:
    元国務大臣。政界を引退したが、いまだ強い影響力をもつ。宮城県出身。
  • 中村賢太郎:
    中村賢一郎の長男。保守党の政調会長。
  • 田中純一郎:
    当時55歳。宮城県の副知事。中村賢一郎の次男で中村賢造という名前だったが、親戚の田中家の養子になった。 6年前、刺殺された。
  • 中村賢治:
    49歳。中村賢一郎の三男。若手の政治家のホープ。
  • 中村四郎:
    中村賢一郎の四男。財務省の局長。
  • 中村章五:
    中村賢一郎の五男。大学院の教授。政治学を教えている。

その他の登場人物

  • 安藤:
    山形県警の刑事。
  • 塩田昭夫:
    軽井沢駅前で喫茶店を営む。以前、軽井沢派出所に勤める警官だった。
  • 塩田愛子:
    塩田昭夫の妻。
  • 金子八重:
    石垣島で土産物店を営む。かつて石垣島にある中村賢治の別荘のお手伝いをしていた。
  • 真田京子:
    40歳。雫石にある小岩井農場で会計の仕事をしている。かつて軽井沢にある中村賢治の別荘で働いていた。
  • 崎田:
    中村四兄弟の顧問弁護士。
  • 坂東:
    保守党の総裁。

印象に残った名言、名表現

■現代は恵まれた時代。

彼の人生のモットーは、「何となく生きていく」である。そんな人生が可能な現代に生きられたことを、遠山は、感謝していた。

感想

本作は、十条の小さな喫茶店の従業員2人の死が捜査の発端となった。東京の下町にある小さな喫茶店である。過去を語らない”訳あり”の女性が2人働いているのである。なんとも、意味ありげであり、それでいて哀愁漂う設定だと思う。

だが、この殺人事件が、宮城の政治家一家とつながっているのである。

小さな町の小さな喫茶店で起きた事件が、大きなものに繋がっているのは、十津川警部シリーズの特徴的な事件の一つだと思う。

なお、今回は鳴子温泉が舞台のひとつになったが、2014年に刊行された「鳴子こけし殺人事件」は、より鳴子温泉や鳴子こけしについて、突っ込んだ説明がある。こちらもおすすめした。

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