初版発行日 2016年3月9日
発行出版社 徳間書店
スタイル 短編集
私の評価
ゆうづる・富士・北斗星……。ブルートレインが死を運ぶ!
あらすじ
1.ゆうづる5号殺人事件
東京駅に到着したひかり号のグリーン車洗面台に大金が入った財布と名刺入れ、高級腕時計が忘れられていた。翌日、持ち主と思われる田島が撲殺され、十津川と亀井の捜査が始まった。田島の交際相手と思われる女も阿武隈川から遺体で見つかり、二つの事件の容疑者が浮上する。が、女の死亡推定時刻には寝台特急「ゆうづる5号」に乗車していたという鉄壁のアリバイが!?
2.謎と絶望の東北本線
短編集「謎と殺意の田沢湖線」に収録。下記を参照↓↓
→「謎と殺意の田沢湖線」
3.殺人は食堂車で
短編集「東海道殺人エクスプレス」に収録。下記を参照↓↓
→「東海道殺人エクスプレス」
4.関門三六〇〇メートル
短編集「特急「おき3号」殺人事件」に収録。下記を参照↓↓
→「特急「おき3号」殺人事件」
5.禁じられた「北斗星5号」
十津川警部の妻・直子が友人である小田敬子と娘のひろ子と3人で、寝台特急「北斗星5号」で旅行することになった。敬子が話すには、娘のひろ子がうつ傾向で「自分は22歳の10月10日の夜明けに死ぬ」と思い込んでいるという。娘の死を阻止するために、10月10日の夜明けを寝台特急の個室寝台で3人で過ごすことになったというのだ。直子の話をきいた十津川は、ひろ子の周囲を調べたが、意外な事実が判明して……。
小説に登場した舞台
1.ゆうづる5号殺人事件
- 東京駅(東京都千代田区)
- 上野駅(東京都台東区)
- 特急「はつかり1号」
- 仙台駅(宮城県仙台市青葉区)
- 八戸駅(青森県八戸市)
- 寝台特急「ゆうづる5号」
2.謎と絶望の東北本線
短編集「謎と殺意の田沢湖線」に収録。下記を参照↓↓
→「謎と殺意の田沢湖線」
3.殺人は食堂車で
短編集「東海道殺人エクスプレス」に収録。下記を参照↓↓
→「東海道殺人エクスプレス」
4.関門三六〇〇メートル
短編集「特急「おき3号」殺人事件」に収録。下記を参照↓↓
→「特急「おき3号」殺人事件」
5.禁じられた「北斗星5号」
- 上野駅(東京都台東区)
- 寝台特急「北斗星5号」
- 蟹田駅(青森県・外ヶ浜町)
- 青森駅(青森県青森市)
登場人物
1.ゆうづる5号殺人事件
- 十津川省三:
警視庁捜査一課の警部。主人公。 - 亀井定雄:
警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の相棒。 - 西本明:
警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の部下。 - 岡田:
50歳。東海道新幹線「ひかり98号」の車掌長。 - 文子:
岡田の妻。 - 鈴木:
東海道新幹線「ひかり98号」の専務車掌。 - 田島久一郎:
35歳。太陽商会営業第一課長。渋谷区笹塚のマンションに在住。自宅付近の工事現場で死体となって発見された。 - 田島亜木子:
田島久一郎の妻。去年の暮に自殺している。 - 小寺万里子:
銀座にあるクラブ「にれ」のホステス。田島久一郎の愛人。阿武隈川の河原で死体となって発見された。 - 三村君江:
30歳。新宿にある法律事務所に勤務。小寺万里子の大学時代の友人。 - 渡辺:
30歳。太陽商会営業第一課の社員。 - 北山:
岡山県警捜査一課の警部。 - 立花浩二:
34歳。鉄鋼会社に勤務。八戸出身。田島亜木子の恋人。 - 木下:
宮城県警の刑事。 - 柳沢:
宮城県警の警部。 - 近藤:
八戸駅の駅員。 - 北野:
国鉄総裁秘書。
2.謎と絶望の東北本線
短編集「謎と殺意の田沢湖線」に収録。下記を参照↓↓
→「謎と殺意の田沢湖線」
3.殺人は食堂車で
短編集「東海道殺人エクスプレス」に収録。下記を参照↓↓
→「東海道殺人エクスプレス」
4.関門三六〇〇メートル
短編集「特急「おき3号」殺人事件」に収録。下記を参照↓↓
→「特急「おき3号」殺人事件」
5.禁じられた「北斗星5号」
- 十津川省三:
警視庁捜査一課の警部。主人公。 - 亀井定雄:
警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の相棒。 - 十津川直子:
十津川警部の妻。 - 小田敬子:
十津川直子の友人。小田工業の社長。亡き夫に代わり社長を務める。 - 小田誠一郎:
当時52歳。小田敬子の夫。小田興業の社長。3年前、埼玉県の浦和で交通事故で死亡している。 - 小田ひろ子:
22歳。小田敬子の娘。S大学の4年生。 - 三浦:
埼玉県警の警官。 - 岳水:
占い師。 - 河西みどり:
小田誠一郎と不倫相手との間にできた娘。去年の10月に火事で死亡した。 - 山田:
青森県警の警部。
感想
本作は、寝台特急が舞台になった3作品と、列車が登場した2作品を収録した短編集である。
十津川警部シリーズといえば、列車ミステリーであるが、その中でも、寝台特急というイメージが強いのでないだろうか。
旅情にあふれ、乗っているだけでワクワクする寝台特急。かつての日本では、この寝台特急が移動手段でも旅行でも大きな存在感を放っていた。
だが、2021年現在、かつて走っていた寝台特急が次々と廃止され、観光列車を除けば、サンライズ瀬戸・出雲しか残っていない。
効率化と採算を重視すれば、新幹線をメインにするのは当然である。採算がとれなければ企業は存続できないからだ。そういう意味で、寝台特急がなくなるのは時代の流れなのかもしれない。
この作品には、古き良き時代の郷愁が感じられる、昔を懐かしみながら読める作品でもある。
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