〈景品表示法に基づく表記〉当サイトはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています。

十津川警部「ストーブ列車殺人事件」感想レビュー。あらすじ、舞台、登場人物

ストーブ列車殺人事件小説

初版発行日 2018年5月31日
発行出版社 フタバノベルズ
スタイル 長編

私の評価 3.8

POINT】
十津川警部、文壇への登竜門で蠢く人間模様をえぐる!!
スポンサーリンク

あらすじ

同人雑誌「北風」の世話人で、F賞を受賞し有望新人と注目されていた菊地順二が、太宰治の生地の雪原で自殺した。井上昭は一年後、菊池のたどったルートの旅に出た。そこで、同人たちで立てた墓標に死にまつわる文字を発見した。菊池の死の謎を解くには自ら手記を書くことと考え「北風」に掲載した。それに応える形で同人たちもそれぞれの思いを綴った手記を発表したが……。その頃、F賞の予選選考委員である文芸評論家の岡本裕三が殺害された。捜査に乗り出した十津川警部は……。

小説の目次

  1. 三月五日 雪
  2. 私(井上昭)の話
  3. 私(岸本はるか)の話
  4. 私(山崎晴美)の話
  5. 私(大石俊介)の話
  6. 私(三村恵子)の話
  7. 再び山崎晴美の話
  8. 遺書

冒頭の文

井上昭は津軽五所川原駅にいた。三月五日昼すぎ、周囲は、一面の雪景色である。

小説に登場した舞台

  • 津軽五所川原駅(青森県五所川原市)
  • 太宰治記念館「斜陽館」(青森県五所川原市)
  • 津軽三味線会館(青森県五所川原市)
  • 津軽鉄道「ストーブ列車」
  • 仙台市街(宮城県仙台市)
  • 新青森駅(青森県青森市)

登場人物

警視庁捜査一課

  • 十津川省三:
    警視庁捜査一課の警部。主人公。
  • 亀井定雄:
    警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の相棒。
  • 三上刑事部長:
    刑事部長。十津川警部の上司。

事件関係者

  • 井上昭:
    35歳。新宿区役所の職員。同人雑誌「北風」のメンバー。
  • 菊池順二:
    同人雑誌「北風」の世話人。井上昭の友人。1年前、金木で自殺した。
  • 大石俊介:
    33歳。IT企業の社員。同人雑誌「北風」のメンバー。
  • 岸本はるか:
    32歳。西新宿にあるアパレルメーカーの社員。同人雑誌「北風」のメンバー。
  • 山崎晴美:
    29歳。OL。同人雑誌「北風」のメンバー。
  • 三村恵子:
    カフェ「くらげ」のママ。
  • 広田和代:
    山崎晴美の母親。
  • 岡本裕三:
    55歳。D大学文学部の教授。文芸評論家。新宿三丁目の事務所で死体となって発見された。
  • 岡本渚:
    岡本裕三の妻。
  • 岡村一太郎:
    42歳。タクシー運転手。
  • 井原:
    五所川原病院の医師。
  • 小沼圭介:
    有名作家。
  • 小沼一美:
    小沼圭介の娘。作家。
  • 三浦英治:
    73歳。作家。
  • 本西明:
    F賞を主催する雑誌の編集長。
  • 吉野正治:
    文学青年で投稿マニア。
スポンサーリンク

感想

本作は、十津川警部シリーズの中でも一風変わった作品であった。

作品の中で殺人事件が発生し、最後に犯人が逮捕されるが、この殺人事件そのものは、物語の本質ではない。十津川警部もほとんど登場しない。

メインは、作中に登場する作家たちの告白である。最初は、美しい仲間たちだと思っていたそれぞれ登場人物の視点で、本音が語られていく。

嫉妬、打算など、人間の汚い部分や人間関係を深くえぐった作品になっている。だから、ミステリー小説というより、文学作品に近いイメージであった。

コメント