初版発行日 1988年12月20日
発行出版社 光文社
スタイル 長編
私の評価
【POINT】
死を呼ぶ謎の美女!十津川&亀井の名推理!!
死を呼ぶ謎の美女!十津川&亀井の名推理!!
あらすじ
博多行寝台特急「あさかぜ1号」の個室で男が毒殺された。被害者は成城に広大な邸を持つ資産家。同伴していた女はなぜか岡山で降りていたのだ。偶然同じ列車に乗り合わせ、彼女に惹かれた警視庁の杉本刑事は、十津川らと事件の捜査にあたる……。
小説の目次
- 食堂車の女
- 甘い罠
- 旅する女
- 北斗4号
- 流氷の町
- 死者たち
- 女の過去
- 職員録
- 二人の自殺者
- 死への旅
- 第四の殺人
- 人違い
- 復習
- スキャンダル
- 敵と味方
- 不毛の愛
- 最後の殺人
- 死者への手向け
冒頭の文
博多行き寝台特急「あさかぜ1号」は、一九時〇五分(午後七時五分)に東京を発車する。
小説に登場した舞台
- 東京駅(東京都千代田区)
- 寝台特急「あさかぜ1号」
- 岡山駅(岡山県岡山市北区)
- 岩国駅(山口県岩国市)
- 羽田空港(東京都大田区)
- 千歳空港(北海道千歳市)
- 特急「北斗4号」
- 苫小牧駅(北海道苫小牧市)
- 登別駅(北海道登別市)
- 東室蘭駅(北海道室蘭市)
- 登別温泉(北海道登別市)
- 特急「おおとり」
- 札幌駅(北海道札幌市北区)
- 旭川駅(北海道旭川市)
- 網走駅(北海道網走市)
- 女満別空港(北海道・大空町)
- 特急「ライラック9号」
- 函館駅(北海道函館市)
- 盛岡駅(岩手県盛岡市)
- 角館駅(秋田県仙北市)
- 寝台特急「はやぶさ」
- 大阪駅(大阪府大阪市北区)
- 箱根(神奈川県・箱根町)
登場人物
警視庁捜査一課
- 十津川省三:
警視庁捜査一課の警部。主人公。 - 亀井定雄:
警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の相棒。 - 杉本:
警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の部下。岩国出身。 - 西本明:
警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の部下。 - 日下淳一:
警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の部下。 - 清水新一:
警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の部下。 - 田中大輔:
警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の部下。 - 本多時孝:
警視庁捜査一課長。十津川警部の上司。
警察関係者
- 小木:
室蘭署の刑事。 - 鈴木:
網走警察署の刑事。
東名相互銀行
- 浅見猛:
東名相互銀行の社長。 - 若木:
東名相互銀行の人事部長。 - 佐野武:
東名相互銀行の調査部長。寝台特急「はやぶさ」の車内で殺害された。 - 白井マユミ:
モデル。以前、東名相互銀行の秘書課に勤務していた。世田谷区下馬のマンションに在住。 - 高梨京子:
元東名相互銀行の社員。練馬のマンションに夫と在住。 - 森田:
渋谷道玄坂にあるラーメン店の店主。元東名相互銀行の社員。 - 野田浩二:
50歳。コンサルタント。『東名相互銀行の陰謀』の著者。元東名相互銀行の管理部長。 - 山本:
東名相互銀行と取引のあるレストランの店主。 - 久保寺:
45歳。代々木に事務所をかまえる新東京興信所の所長。東名相互銀行と関係が深い会社。元暴力団。
事件関係者
- 本田徳一郎:
63歳。本田不動産の会長。成城の豪邸に在住。寝台特急「あさかぜ1号」の車内で死体となって発見された。 - 駒田信行:
40歳。中光商事の営業第一課長。特急「北斗4号」の車内で何者かに毒殺される。 - 長田安次郎:
65歳。山内興業の相談役。元神奈川県警の刑事。特急「おおとり」の車内で死体となって発見された。 - 小池幹也:
42歳。自動車販売修理会社の社長。練馬区大泉学園に在住。西新宿のホテル「サンライズ」で死体となって発見された。 - 白井貞之:
白井マユミの父親。角館の旧家。現在入院中。 - 白井治子:
白井貞之の妻。 - 白崎恭一郎:
50歳。梱包工場の社長。
その他の登場人物
- 本田剛:
本田徳一郎の息子。本田不動産の社長。 - 本田冴子:
本田剛の妻。 - 小林:
本田家の運転手。 - 井手加代子:
本田家の家政婦。 - 土屋:
本田家の顧問弁護士。新宿西口に事務所をかまえる。 - 北原ケイコ:
26歳。駒田信行の婚約者。 - 長田夕子:
長田安次郎の妻。 - 新田:
週刊時代社の編集長。 - 中村正和:
40歳。ライター。三鷹に在住。 - 小池あき:
小池幹也の妻。 - 三浦:
45歳。大泉学園にある自動車修理工場の社長。 - 山下:
特急「北斗4号」の車掌。 - 田原功:
58歳。中野駅前にある「田原人事興信所」の所長。
感想
本作は、簡単にいってしまえば、生命保険目当ての殺人事件である。ある銀行が過剰融資をして、焦げ付きそうな会社の社長に生命保険をかけて殺害するといったものであった。
これだけ見たら、すごく簡単な事件なのだが、事件に最初に関わった刑事が、容疑者の美女に惚れてしまったことや、1件だけ間違った殺人が行われてしまったことで、捜査を難しく、複雑なものにしたのだ。
だいたいの事件の全体像や容疑者は中盤でわかると思う。そして、今回の事件の最重要人物である、殺害現場にかならず居合わせる美女が、犯人なのか?協力者なのか?ということであった。
本作は400ページ超の作品であり、十津川警部シリーズの中でも、ボリュームの多い部類の作品だろう。事件の全体像はシンプルだが、真相がすべて明かされるまでのプロセスは複雑であり、それだけの力作だと思う。
コメント