初版発行日 2012年2月25日
発行出版社 中央公論新社
スタイル 長編
私の評価
「役者」だからこそ起きた悲劇の真相は?
あらすじ
人気歌舞伎役者・尾上竜之介が、「忠臣蔵」公演の翌日にTV局女子アナ・山本由美とともに服毒死した。竜之介の遺書もあり、心中として捜査は終了したが、殺人事件だと主張する所轄署の小西は、有給休暇を取って姿を消してしまう。そして、小西に同調する雑誌記者・坂井もまた連絡が取れなくなってしまった。十津川は二人を探すべく、四十七義士を祀る兵庫県の赤穂大石神社へ向かうが、岡山県日生の港で坂井の溺死体が発見される…。
小説の目次
- 忠臣蔵
- もどり
- 備前焼の町
- 重ね着の死体
- 竜之介の相手役
- 異形の世界
- 様々な愛
冒頭の文
十津川警部の机の上に、一枚のハガキがのっている。そこには、たった一行、こんな文字が、並んでいた。「私は、覚悟を決めて、寺坂吉右衛門になります」
小説に登場した舞台
- 泉岳寺(東京都港区)
- 相生駅(兵庫県相生市)
- 播州赤穂駅(兵庫県赤穂市)
- 赤穂城跡(兵庫県赤穂市)
- 赤穂大石神社(兵庫県赤穂市)
- 日生港(岡山県備前市)
- 伊部駅(岡山県備前市)
- 備前焼伝統産業会館(岡山県備前市)
- 道玄坂(東京都渋谷区)
- 蓮台寺温泉(静岡県下田市)
- 岡山駅(岡山県岡山市北区)
登場人物
警視庁捜査一課
- 十津川省三:
警視庁捜査一課の警部。主人公。 - 亀井定雄:
警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の相棒。 - 西本明:
警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の部下。 - 日下淳一:
警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の部下。 - 北条早苗:
警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の部下。 - 三田村功:
警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の部下。 - 本多時孝:
警視庁捜査一課長。十津川警部の上司。 - 三上刑事部長:
刑事部長。十津川警部の上司。
警察関係者
- 小西敬一郎:
52歳。池袋警察署の警部。 - 小西美奈子:
小西敬一郎の娘。夫と娘と三鷹のマンションに在住。 - 片岡:
兵庫県警の刑事。 - 榊原:
岡山県警の警部。 - 野本:
築地警察署の警部。
事件関係者
- 尾上竜之介:
30歳。人気歌舞伎役者。池袋のマンションに在住。去年の12月に自宅マンションで服毒死した。 - 山本由美:
25歳。女子アナウンサー。去年の12月に尾上竜之介のマンションで服毒死した。 - 坂井義之:
神田にある「週刊ジャパン」の記者。日生港で水死体となって発見された。 - 中野慎太郎:
35歳。歌舞伎役者。築地のマンションに在住。自宅マンションで死体となって発見された。 - 前島要:
尾上竜之介の大学時代の同級生。 - 早川稔:
52歳。新宿ある早川和食の社長。
その他の登場人物
- 青山:
「週刊ジャパン」の編集長。 - 山本空斎:
山本由美の父親。備前焼の有名な陶工。伊部に在住。 - 島田真奈美:
山本由美の高校時代の友人。主婦。 - 大和田幸子:
山本由美の高校時代の友人。陶芸店に勤務。 - 鈴木:
S芸能の広報担当。 - 白石健太郎:
35歳。歌舞伎役者。 - 尾上栄泉:
歌舞伎役者。尾上竜之介の父親。 - 尾上花江:
尾上栄泉の妻。日本舞踏の名取り。 - 佐々木香織:
尾上竜之介の大学時代の同級生。東京都庁の職員。
感想
まず、本作「赤穂バイパス線の死角」と2020年9月29日に刊行された「赤穂・忠臣蔵の殺意」は、同じ内容である。本作の改題が「赤穂・忠臣蔵の殺意」である。
知らなかった私は両方購入してしまった。。。
もし、「赤穂バイパス線の死角」と「赤穂・忠臣蔵の殺意」が別々の作品として作品数にカウントされているならば、いかがなものかと思うが……。カウントされていないかもしれないので何とも言えないが。
それはさておき、本作は、忠臣蔵と歌舞伎の世界がテーマの作品だったと思う。
心中に見せかけた殺人事件が発端となり、その後も殺人事件が発生する。十津川警部たちは、忠臣蔵の世界を探りながら、事件の解決に至るという流れであった。
犯人像も二転三転するミステリーらしさがあり、最後まで飽きさせない。
ただ、最後の終わり方がやや急ぎすぎた感じがするのが残念な点である。犯人が遺書を残して自殺してしまうのだが、ページ数や締切の関係で早々と終わるために、この終わり方を選んだのか?と邪推してしまうような終わり方だった。
コメント