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「北能登殺人事件」感想レビュー。あらすじ、舞台、登場人物

北能登殺人事件小説

初版発行日 1984年7月20日
発行出版社 光文社
スタイル 長編

私の評価 3.9

POINT】
急行「きたぐに」の秘密!?東京、京都、北能登と真犯人を追う若き日下刑事の執念を旅情豊かに描くトラベル・ミステリー!!
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あらすじ

北能登・恋路海岸で一発の銃弾が、若い女性の肩をかすめた。恋人・雨宮真一郎を自動車事故で失い、傷心のうちに死出の旅に出た松田由紀子を狙撃したのは誰?現場に居合わせた警視庁・日下刑事は彼女を保護したが、その翌日、由紀子の泊まった部屋に男の死体が……。その横に血まみれのナイフを握った由紀子が!日下は、十津川警部、亀井刑事の協力のもとに、一連の事件の背後に、芸能界の黒幕・堀場達夫の存在をつきとめた。が、この堀場も欧風列車サロンエクスプレスの車内で殺されて……。

小説の目次

  1. 片道切符の女
  2. 輪島の殺人
  3. 京都の五条東山
  4. サロン・カー
  5. コンパートメント
  6. 二人の容疑者
  7. 急行「きたぐに」
  8. 疑惑の中で
  9. プロダクション設立
  10. 解明への旅
  11. 追跡
  12. 最後の対決

冒頭の文

東京の街には、いぜんとして夏の暑さが居すわっているが、北陸の風はすでに秋の気配だった。

小説に登場した舞台

  • 急行「能登路号」
  • 金沢駅(石川県金沢市)
  • 七尾駅(石川県七尾市)
  • 能登島(石川県七尾市)
  • 穴水駅(石川県・穴水町)
  • 松波駅(石川県・能登町)
  • 恋路海岸(石川県・能登町)
  • 恋路駅(石川県・能登町)
  • 輪島駅(石川県輪島市)
  • 朝市通り(石川県輪島市)
  • 富山駅(富山県富山市)
  • 富山きときと空港(富山県富山市)
  • 羽田空港(東京都大田区)
  • 渋谷駅(東京都渋谷区)
  • 京都駅(京都府京都市下京区)
  • 銀座駅(東京都中央区)
  • 東京駅(東京都千代田区)
  • ロームシアター京都(京都府京都市左京区)
  • 祇園(京都府京都市東山区)
  • 急行「きたぐに」
  • 福井駅(福井県福井市)
  • 新宿駅(東京都新宿区)
  • 大津駅(滋賀県大津市)
  • 米原駅(滋賀県米原市)
  • 新宿中央公園(東京都新宿区)

登場人物

警視庁捜査一課

  • 十津川省三:
    警視庁捜査一課の警部。主人公。
  • 亀井定雄:
    警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の相棒。
  • 日下淳一:
    警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の部下。休暇で能登を旅行中、松田由紀子と出会う。
  • 西本明:
    警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の部下。

警察関係者

  • 宮本:
    恋路海岸近くの派出所の巡査。
  • 山根:
    石川県警の刑事。
  • 小池:
    五条署交通係の刑事。
  • 川田:
    京都府警捜査一課の警部。
  • 山口:
    京都府警捜査一課の警部。
  • 中西:
    警視庁初動捜査班の刑事。

事件関係者

  • 松田由紀子:
    25歳。西新宿に本社のある新東西商事の社員。恋人を失い、北能登で死出の旅に出た。恋路海岸で何者かに狙撃されて負傷する。
  • 雨宮真一郎:
    28歳。松田由紀子の恋人。ルポライター。1週間前、京都で交通事故にあって死亡した。
  • 西尾昌夫:
    30歳。松田由紀子を尾行していた男。前科三犯。輪島の旅館で殺害される。
  • 堀場達夫:
    52歳。堀場興業の社長。芸能界の影の実力者。サロン・エクスプレスの車内で死体となって発見された。
  • 吉竹由美:
    堀場達夫の愛人。京都在住。
  • 佐藤謙:
    有名ルポライター。銀座四丁目に事務所をかまえる。急行「きたぐに」の車内で死体となって発見された。
  • 金子俊一:
    佐藤謙の元で働いているライター。佐藤謙の死後、新しい芸能プロダクションを設立した。
  • 久木:
    代議士。国務大臣。
  • 新井とも子:
    35歳。堀場達夫の家政婦。堀場達夫の死後、自殺した。
  • 新井かおり:
    新井とも子の妹。

その他の登場人物

  • 雨宮謙二:
    雨宮真一郎の弟。渋谷区の公団に在住。
  • 長谷川修:
    37歳。京都市中京区にある長谷川医院の院長。
  • 渡辺:
    雑誌「エコー」の編集長。
  • 安西ゆかり:
    有名歌手。木田プロ所属。
  • 若林:
    木田プロのマネージャー。
  • 島崎:
    木田プロのマネージャー。
  • 岩井:
    金沢駅の駅員。
  • 早見:
    47歳。NTKテレビの編集局長。
  • 畑中:
    評論家。元テレビ局のプロデューサー。
  • 井上:
    久木大臣の秘書。
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感想

芸能界のドロドロした部分と、北能登の哀愁ただよう対比が、美しい作品だったと思う。

ミステリーについても、犯人像が次々に変わり、「犯人はこいつか!」と思った矢先に、どんでん返しがある。列車の時刻表トリックもしっかり駆使されていた。

旅情あふれるトラベル・ミステリー×列車トリックという点で、十津川警部シリーズの王道作品だったと思う。

最後に、西村京太郎先生のことばを紹介しておく。

この作品は、東京、京都、そして北能登を結ぶトラベル・ミステリーである。自殺を決意した一人の若い女が、北能登の海岸をさまようことから始まり、大きな謎につなっていくストーリーは、必ず、読者の満足を得られるものと確信している。

北能登には、激しさと優しさのイメージが、私にはある。憎しみと愛といいかえてもいい。この作品のテーマも、この二つであり、それが書き切れていれば幸いだと思っている。

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