初版発行日 1987年6月10日
発行出版社 新潮社
スタイル 長編
私の評価
【POINT】
二転三転する十津川警部の推理。名古屋-東京-マニラを結ぶ国際的スケールで描くトラベル・ミステリー!!
二転三転する十津川警部の推理。名古屋-東京-マニラを結ぶ国際的スケールで描くトラベル・ミステリー!!
あらすじ
「ひかり62号」が名古屋到着寸前、護送中の男が射殺された!男は、銀座の宝石店「WADA」から二億五千万円もの宝飾品を強奪した二人組のひとり、宮本信介だった。宮本の死の伝言「ギンコウー」から、十津川警部は主犯江上利夫の割り出しに成功。が、江上は直前、フィリピンへ逃亡……!しかも、マニラで顔を潰され惨殺されていた!?江上の無実を叫ぶ妹、美矢子と十津川警部はマニラに飛ぶが、そこには……?主犯はなぜ「ひかり62号」で共犯者を消したのか?江上は生きているのでは?
小説の目次
- 「ひかり62号」
- 貸金庫
- マニラ
- 捜査会議
- 疑惑
- 検証
- 再検討
- 最後の賭け
冒頭の文
銀座三丁目の宝石店「WADA」から、一一〇番があったのは、二月七日の午後九時十二分である。
小説に登場した舞台
- 岡山駅(岡山県岡山市北区)
- 名古屋駅(愛知県名古屋市中村区)
- 東京駅(東京都千代田区)
- 四ツ谷駅(東京都新宿区)
- マニラ(フィリピン)
- 静岡駅(静岡県静岡市葵区)
- 成田空港(千葉県成田市)
登場人物
警視庁捜査一課
- 十津川省三:
警視庁捜査一課の警部。主人公。 - 亀井定雄:
警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の相棒。 - 西本明:
警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の部下。 - 清水新一:
警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の部下。 - 本多時孝:
警視庁捜査一課長。十津川警部の上司。 - 三上刑事部長:
刑事部長。十津川警部の上司。
警察関係者
- 三沢:
岡山県警の刑事。 - 原田:
鹿児島県警の刑事。 - ロドリゲス:
マニラ警察の副署長。 - 田島:
中央新聞社会部の記者。十津川警部の大学時代の同級生。
事件関係者
- 和田祐一郎:
50歳。銀座三丁目の宝石店「WADA」の社長。強盗に入られて負傷する。 - 中原みどり:
26歳。銀座三丁目の宝石店「WADA」の社員。成城のマンションに在住。強盗に入られて負傷する。 - 宮本信介:
35歳。宝石店「WADA」で宝石を盗んだ犯人の一人。本田質店で宝石を売ろうとして逮捕された。岡山から名古屋へ新幹線で護送中、何者かに射殺された。 - 江上利夫:
36歳。宝石店「WADA」で宝石を盗んだ犯人の一人。かつて四谷にあったレストラン「あおば」の社長だった。マニラで死体となって発見された。 - 加藤美矢子:
29歳。江上利夫の妹。大船に在住。自宅で死体となって発見された。 - マリオ:
27歳。マニラの窃盗常習犯。マニラの海で死体となって発見された。
その他の登場人物
- 本田徳太郎:
岡山市内にある「本田質店」の店主。 - 本田良子:
本田徳太郎の妻。 - 山本:
M銀行四谷支店の支店長。 - 近藤:
M銀行四谷支店の行員。 - 沢井冴子:
江上利夫の元妻。 - 高品俊吾:
元レストラン「あおば」のシェフ。 - 片山:
四谷にある歯科医。
感想
スピード感があってテンポのよいストーリー展開、意表をつく真犯人。コンパクトに纏められていて、すっきり読みやすい良作ミステリーだったと思う。
ミステリー好きで深読みしがちな読者なら、途中で真犯人が誰であるか?気がついたと思うが、裏をかいたトリックはなかなか見応えがあったと思う。
最後に、西村京太郎先生のことばを紹介しておく。
新幹線が走り出してから、明らかに都市の間の距離が短くなった。飛行機も、もちろん同じ効果をもたらしたが、頻繁に発着するという点では、新幹線に遠く及ばない。東海道・山陽新幹線についていえば、三〇分以内に次の列車が出るからである。
それにつれて、現実の犯罪もスピードアップしてきたし、犯人の行動範囲も広くなってきた。捜査側の対応も、当然、それに合わせてスピードアップせざるを得ない。その辺を書いてみたかったのが、この作品である。
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