初版発行日 1974年5月25日
発行出版社 産報出版
スタイル 長編
私の評価
【POINT】
十津川警部シリーズの第2作品目!競馬界内部の不正と仕組まれた罠に、十津川警部が挑む!!
十津川警部シリーズの第2作品目!競馬界内部の不正と仕組まれた罠に、十津川警部が挑む!!
あらすじ
日本ダービーの本命馬・タマキホープの馬主玉木善男のもとに脅迫状がまい込んだ。タマキホープをダービーに出走させるな、要求がききいれられなければ、恐ろしいことが起きるというものだった。警視庁捜査一課の十津川警部が捜査に乗り出した。その数日後、タマキホープに騎乗する北原騎手のもとにも脅迫状とピストルが届き、十津川らの捜査のさなか、北原が毒殺される。日本ダービーで何かが起こる?
小説の目次
- トラックマン
- 脅迫状
- 騎手の死
- ダービー前夜
- 日本ダービー
- 失踪
- 新しい犠牲者
- 船の謎
- 馬と歯車
- 新たな捜査
- 破局への疾走
冒頭の文
『週刊ホース』の若い記者、芦沢賢二は、今年入社したばかりの二十四歳の青年である。
小説に登場した舞台
- 東京競馬場(東京都府中市)
- 新宿駅(東京都新宿区)
- 中山競馬場(千葉県船橋市)
- 東京駅(東京都千代田区)
- 小田原駅(神奈川県小田原市)
- 箱根(神奈川県・箱根町)
- 芦ノ湖(神奈川県・箱根町)
- 御幸の浜海岸(神奈川県小田原市)
- 木負堤防(静岡県沼津市)
登場人物
警視庁捜査一課
- 十津川省三:
警視庁捜査一課の警部。主人公。 - 田島:
45歳。警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の部下。 - 田島:
警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の部下。
警察関係者
- 下島:
科学警察研究所の技官。十津川警部の友人。 - 三崎:
府中署の刑事。
事件関係者
- 芦沢賢二:
24歳。『週刊ホース』の記者。 - 芦沢一郎:
芦沢賢二の兄。新日本商事第六営業部の課長。 - 松本健次郎:
32歳。『週刊ホース』の記者。 - 玉木善男:
タマキホープの馬主。中野にある豪邸に在住。晴海埠頭近くで死体となって発見された。 - 北原:
騎手。東京競馬場で何者かに毒をもられて死亡する。 - 北原亜矢:
北原騎手の妹。 - 山崎正夫:
47歳。騎手。行方不明になった後、御幸の浜で死体となって発見された。 - 千石徳之助:
馬主協会の理事。建設会社の社長。高井戸に在住。 - 坂本リエ:
21歳。赤坂にあるバー「シャノアール」のホステス。晴海埠頭近くで死体となって発見された。
その他の登場人物
- 玉木文子:
玉木善男の妻。 - 伊東:
騎手。 - 雨宮:
調教師。 - 井ノ口徳雄:
競馬評論家。銀座で喫茶店を営む。 - 近藤昌子:
35歳。看護師。千石徳之助の愛人。 - 岩本:
中央競馬協会本部の広報室長。 - 日下部:
元子爵。大宮郊外で盆栽づくりをしている。
感想
本作はその名の通り、日本の競馬会がテーマの殺人事件であった。
馬主協会内部の勢力争い、八百長、ノミ屋など、競馬界の闇といわれる部分に深く切り込んだ作品になっている。よくここまで鮮やかに描けたというほどの力作である。
西村京太郎先生は、かつて競馬場の警備員をしていた経験があると言われているが、警備員の経験ではここまで詳細には描けないはず。本作を描くにあたり、念入りな調査と取材が行われたことが推察できる。
ミステリーについては、最後の最後まで真犯人がわからない展開。容疑者も二転三転し、最後の最後、真犯人が絞れたと思ったら、まさかの大どんでん返し。
ミステリーの方も力の入った作品であった。
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