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「鎌倉江ノ電殺人事件」感想レビュー。あらすじ、舞台、登場人物

鎌倉江ノ電殺人事件小説

初版発行日 2009年12月31日
発行出版社 徳間書店
スタイル 長編

POINT】
鎌倉・湘南。江ノ電沿線を舞台に、連続殺人事件の犯人を追う!”江ノ電ファン”必見の長編旅情ミステリー!
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あらすじ

都内の大学生が、独り暮らしの自宅で服毒死した。急行した十津川警部あ、現場で江ノ電の玩具に気付く。犯人のメッセージではと考えた警部は、江ノ電に乗車し手がかりを探す。数日後、江ノ電が女性を轢いたと知らせが届く。だが、被害者はすでに絞殺されていたことが判明。さらに、その女性のものと思われるバッグからも、同じ江ノ電の玩具が発見され……。

小説の目次

  1. メッセージ
  2. 画家の眼
  3. いちばん美しい場所
  4. 爆弾
  5. オモチャと幼女
  6. 江ノ電論争
  7. 抗議するマニア

小説に登場した舞台

  • 鎌倉駅(神奈川県鎌倉市)
  • 鎌倉警察署(神奈川県鎌倉市)
  • 小町通り(神奈川県鎌倉市)
  • イワタコーヒー店(神奈川県鎌倉市)
  • デイジーズ・カフェ(神奈川県鎌倉市)
  • 鎌倉丸山亭(神奈川県鎌倉市)
  • 鎌倉高校前駅(神奈川県鎌倉市)
  • 藤沢駅(神奈川県藤沢市)
  • 腰越駅(神奈川県鎌倉市)
  • 極楽寺駅(神奈川県鎌倉市)
  • 極楽寺トンネル(神奈川県鎌倉市)
  • 高徳院(神奈川県鎌倉市)
  • 長谷駅(神奈川県鎌倉市)
  • 由比ヶ浜駅(神奈川県鎌倉市)
  • 日暮里駅(東京都荒川区)

登場人物

警視庁捜査一課

  • 十津川省三:
    警視庁捜査一課の警部。主人公。
  • 亀井定雄:
    警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の相棒。
  • 日下淳一:
    警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の部下。
  • 西本明:
    警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の部下。
  • 北条早苗:
    警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の部下。
  • 三田村功:
    警視庁捜査一課の刑事。
  • 三上刑事部長:
    刑事部長。十津川警部の上司。

神奈川県警

  • 矢吹:
    神奈川県警の警部。

事件の関係者

  • 原田大輔:
    19歳。N大学の1年生。自宅マンションで殺されている。
  • 田中友子:
    群馬県高崎市に住む。極楽寺駅と稲村ヶ崎駅の間の踏切で死体遺棄された女性。
  • 田中学:
    田中友子の夫。今月26日に神奈川県内で交通事故で亡くなっている。
  • 戸山秋穂:
    鎌倉に住む日本画家。
  • 寺沢信介:
    30歳。田中学の友人で同じ江ノ電マニア。高崎市内に住んでいたが、今は東京都調布市内に住む。
  • 寺沢亜紀:
    30歳。寺沢信介の妻。
  • 寺沢信一:
    寺沢信介の息子。
  • 瀬戸新太郎:
    52歳。列車マンスリーの出版社の社長。資産家。

その他の登場人物

  • 原田健一郎:
    原田大輔の父親。山形県の県会議員。
  • 原田恵子:
    原田大輔の母親。かみのやま温泉で大きなホテルを経営している。
  • 白石翔:
    原田大輔の高校時代からの同級生。一緒に浪人してN大学に合格した。
  • 小暮裕美:
    田中友子の高校時代の友人。高崎市内で中華料理店を営む夫と暮らしている。

個人的メモ

  • 犯人は自己主張が強く、挑戦的である。
  • 鎌倉駅、長谷駅、由比ヶ浜駅、鎌倉高校前、極楽寺駅、稲村ヶ崎駅、腰越駅。江ノ電のさまざまな駅とその風景が登場する。江ノ電ファンが喜ぶ情景。
  • 鎌倉のイワタコーヒー店、鎌倉丸山亭(すでに閉店)、長谷のデイジーズ・カフェなど、鎌倉で人気のカフェやレストランも登場する。
  • 「江ノ電でいちばん美しい場所」が犯行現場になる。いちばん美しい場所とは?
本作のキーアイテムは「江ノ電のオモチャ」
本作の重要な謎は「なぜ犯人は江ノ電に執着するのか?」

総評

十津川警部シリーズの魅力のひとつは、難解な事件を読者にもわかりやすく説明していることにある。

複雑な状況やたくさんの思惑がからみあい、ややもすれば、わかりづらく読者が置いてけぼりをくらうこともある。しかし、十津川警部ではこれまでの状況を整理し、いまどんな謎があり、これから何をしていくのか?をわかりやすく説明してくれる。

本作では、次のような文があった。これは、神奈川県警と本庁の合同捜査会議で本部長が発した言葉である。

「第一は、犯人は、江ノ電を、どう考えているのか?江ノ電を、憎んでいるのか、それとも、江ノ電を、愛しているのか?第二は、犯人は、今までに、二人の人間を、殺しているが、これからも、殺人を続ける気なのか?第三は、このコピーした絵だが、犯人は、この絵で、何をしようとしているのか?何を考えているのか?」

これまでの流れを踏まえて、これからどんな謎に挑んでいくのかを端的に言語化してくれている。言い換えれば、読者がなんとなく感じていた謎を言葉でしっかりと説明してくれたのである。

主に十津川警部と亀井刑事の会話か、捜査会議の発言でこうした説明がなされる。会話形式だから、すごくわかりやすい。

「難しいものを、わかりやすく」

これが十津川警部シリーズの人気の理由のひとつなのであろう。

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