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「特急ゆふいんの森 殺人事件」感想レビュー。あらすじ、舞台、登場人物

特急ゆふいんの森殺人事件小説

初版発行日 1990年1月30日
発行出版社 実業之日本社
スタイル 長編

私の評価 4.9

POINT】
由布院、耶馬渓、阿蘇、天草ー九州の名勝を舞台に、十津川の推理が冴える傑作推理長編!
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あらすじ

暗い過去を持つ元刑事の私立探偵に、失踪人の捜索依頼があった。二人組の男女が会社の金を持ち逃げしたというのだ。二人の足取りを追って、九州に向かった私立探偵を待ち受けていたのは、十津川警部が担当している殺人事件だった!交錯する二つの怪事件の接点は、何か?

小説の目次

  1. 追う男
  2. スケジュール
  3. 天草の海で
  4. スーツケース
  5. 逮捕
  6. 過去を追う
  7. 虚業の女
  8. ナイフの傷
  9. 裁判
  10. 釈放

冒頭の文

橋本豊は、元、警視庁捜査一課の刑事で、現在、私立探偵をしている。

小説に登場した舞台

  • 羽田空港(東京都大田区)
  • 大分空港(大分県国東市)
  • 大分駅(大分県大分市)
  • 特急「ゆふいんの森」
  • 由布院駅(大分県由布市)
  • 由布院温泉(大分県由布市)
  • 金鱗湖(大分県由布市)
  • 玉の湯(大分県由布市)
  • 急行「由布2号」
  • 日田駅(大分県日田市)
  • 耶馬渓(大分県中津市)
  • 青の洞門(大分県中津市)
  • 杖立温泉(熊本県・小国町)
  • 大観峰(熊本県阿蘇市)
  • 内牧温泉(熊本県阿蘇市)
  • 阿蘇駅(熊本県阿蘇市)
  • 急行「火の山2号」
  • 熊本駅(熊本県熊本市西区)
  • 大矢野島(熊本県上天草市)
  • 天草パールセンター(熊本県上天草市)
  • 阿蘇くまもと空港(熊本県・益城町)
  • 熊本城(熊本県熊本市中央区)
  • 函館空港(北海道函館市)
  • 福岡空港(福岡県福岡市博多区)
  • 博多駅(福岡県福岡市博多区)
  • 特急「にちりん31号」
  • 那覇空港(沖縄県那覇市)
  • 石垣空港(沖縄県石垣市)
  • 波照間島(沖縄県・竹富町)

登場人物

警視庁捜査一課

  • 十津川省三:
    警視庁捜査一課の警部。主人公。
  • 亀井定雄:
    警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の相棒。
  • 西本明:
    警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の部下。
  • 日下淳一:
    警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の部下。
  • 清水新一:
    警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の部下。
  • 三上刑事部長:
    刑事部長。十津川警部の上司。

警察関係者

  • 坂本:
    熊本県警の警部。
  • 金城:
    沖縄県警の刑事。

事件関係者

  • 橋本豊:
    私立探偵。元警視庁捜査一課の刑事で、十津川警部の元部下。小野寺ゆう子の依頼で由布院や熊本、阿蘇に訪れていたが、罠にかけられ殺人容疑で逮捕される。
  • 小寺ゆう子:
    アート物産の社長。渋谷区松濤のマンションに在住。S大学の卒業生。
  • 高杉あき子:
    29歳。小寺ゆう子の会社で経理をしていた。小寺ゆう子の金3千万円を持ち出し逃走。その後、天草の前島で死体となって発見された。
  • 皆川徹:
    40歳。世田谷に在住。熊本城にある公衆トイレで死体となって発見された。
  • 井上綾子:
    28歳。クラブのホステス。港区赤坂のマンションに在住。S大学の卒業生。自宅で死体となって発見された。
  • 鈴木貢一郎:
    30歳。代々木に事務所をかまえる私立探偵。傷害の前科あり。
  • 大西和子:
    S大学の卒業生で後藤やよいの友人。小寺ゆう子の会社に就職した。阿佐ヶ谷のマンションに在住。

その他の登場人物

  • 三村:
    由布院温泉「玉の湯」のマネージャー。
  • 和田久志:
    小寺ゆう子の叔父。函館駅近くで旅館を営む。
  • 平沼まゆみ:
    小寺ゆう子の高校時代の友人。函館在住。
  • 合田やよい:
    21歳。Kデパートのエレベータガール。
  • 後藤やよい:
    23歳。S大学の卒業生。
  • 生野覚:
    タレント。
  • 前田:
    由布院にある前田病院の院長。
  • 原田:
    橋本豊の弁護を引き受けた国選弁護人。
  • 水沼春吉:
    波照間島の漁師。
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感想

これぞミステリー、これぞサスペンスという傑作だったと思う。

最初は、簡単な事件に見えたし、橋本豊が人の捜索をかねて、由布院や阿蘇、天草を旅する旅情あふれるゆったりとした展開だった。が、途中からまったく様相が異なり、一気に緊張感とスピード感がアップする。

事件当初見えていた事件とは、まったく別の姿が途中から現れてくる。十津川警部が作中で発した言葉がそのことを現している。

「今度の事件は、表面上は、会社の金三千万が、持ち逃げされ、その金をめぐっての殺人と、思われています」

「まったく違う側面があるような気がしているんです。もっと、大きな事件の側面がです」

この事件の大きな転換と、スピード感のアップが鮮やかだったと思う。中盤以降、物語に引き込まれ、一気に最後まで読み終えてしまったのである。

ほんとうに素晴らしいミステリーだった。橋本豊が事件に深く関わる作品は名作が多い。

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