初版発行日 2013年10月7日
発行出版社 講談社
スタイル 長編
【POINT】
東京-横浜-松江の事件がひとつにつながったとき、全く新しい事件の姿が見えてくる!群馬県安中市を舞台に、十津川警部の名推理が冴え渡る!
東京-横浜-松江の事件がひとつにつながったとき、全く新しい事件の姿が見えてくる!群馬県安中市を舞台に、十津川警部の名推理が冴え渡る!
あらすじ
会社経営者の妻子を狙った誘拐事件が、東京、横浜、松江で立て続けに発生。いずれも人質は開放されたが、犯人は高額の身代金をまんまと手中に。容疑者が浮かばず迷宮入りも囁かれる中、十津川警部は三つの事件に奇妙な共通点を見出す。真相を追って、十津川は長野新幹線「安中榛名」へ。
小説の目次
- 二つの誘拐
- 三つめの事件
- 群馬県安中市
- 安中榛名と安中の間
- 愛郷心
- 粉飾決算
- 人生の計算
小説に登場した舞台
- 幕張メッセ(千葉市美浜区)
- 横浜外国人墓地(神奈川県横浜市中区)
- 山下公園(神奈川県横浜市中区)
- 安中榛名駅(群馬県安中市)
- 安中駅(群馬県安中市)
- 安中市役所(群馬県安中市)
登場人物
警視庁捜査一課
- 十津川省三:
警視庁捜査一課の警部。主人公。 - 亀井定雄:
警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の相棒。 - 日下淳一:
警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の部下。 - 西本明:
警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の部下。 - 北条早苗:
警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の部下。 - 三田村功:
警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の部下。 - 三上刑事部長:
刑事部長。十津川警部の上司。
その他の警察関係者
- 広田:
神奈川県警捜査一課の警部。 - 小西:
島根県警の警部。 - 山田:
松江警察署の警部。 - 前田:
安中榛名の派出所の巡査長。
事件関係者
- 宇垣新太郎:
60歳。世田谷区成城に住む。宇垣電子の社長。 - 宇垣恵:
宇垣新太郎の後妻。32歳。 - 安田秀雄:
宇垣新太郎の秘書。36歳。 - 小柴秀明:
小柴商会の社長。 - 小柴さくら:
小柴秀明の娘。5歳。 - 小柴仁美:
小柴秀明の妻。 - 池内清志:
40歳。池内観光の社長。 - 池内美由紀:
30歳。池内清志の妻。 - 池内俊之:
3歳。池内清志の息子。
その他の登場人物
- 田中:
安中市役所の計画課長。 - 島本:
株の専門家。 - 佐伯:
宇垣電子の副社長。 - 三浦:
宇垣電子の営業部長。
個人的メモ
- 捜査会議の場ではA案とB案で意見がわかれる。しかし、十津川は全く違うC案を腹案にしている。十津川警部の優秀さが垣間見られる。
- 閑散としている安中榛名駅。周りに何もなくだだっ広い場所に駅だけポツンとある様子がありありと伝わってくる。
- この作品の妙技はタイトル。ここにエッセンスが詰め込まれている。
総評
本作「長野新幹線の奇妙な犯罪」は、タイトルにエッセンスが凝縮されている。”奇妙な”という形容詞がついているところがミソだ。
東京、横浜、松江で起きた3つの誘拐事件。それぞれ20億円、6.4億円、3.6億円という巨額の身代金が奪われてしまった。それなのに、被害者から切迫感が伝わってこない。経営危機になったという話も聞こえてこない。
十津川警部たちは、この3つの事件になにか共通点があるはずだと睨んだが、当初は、次のような共通点しか見出すことができなかった。
- 3方とも経営状態が良い。
- 3方とも身代金を奪われたのに、悲壮感がない。
- 3方とも犯人の顔を覚えていない。
これだけでは、共通点と呼べるものではない。偶然と呼べる要素のほうが大きい。ここで諦めないのが十津川流。聞き込み・捜査を繰り返し、熟考をかさねることで、ある意外な共通点を見つけ出す。
ひとつの突破口を機に、緻密な捜査をかさねた結果、この事件にはまったく別の顔があることに気がつく。
ここから先を明かすことができないが、最後まで読み終わったとき、なぜ、この作品のタイトルが、「長野新幹線の奇妙な犯罪」だったのか?その意味が腑に落ちて理解できるだろう。
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