初版発行日 2015年5月5日
発行出版社 実業之日本社
スタイル 短編集
私の評価
花巻、伊豆、南紀白浜。北に南に十津川班が事件に挑む!4作品を収録した短編集。
あらすじ
1.北の女が死んだ
十津川の同僚刑事・三田村は通勤の電車内でOLが襲われたところを助けるが、その後、荻窪で起きた殺人事件の被害者はそのときのOLだった。被害者の室内には地味な服と一緒に、派手なドレスやネグリジェが、隠された裏の顔を探るため、彼女の故郷・花巻へと向かうが、そこでは、驚くべき事件が起きていた。
2.目撃者たち
M製薬の販売部長・三浦吉郎は、愛人でタレントの白石多恵と、修善寺温泉の旅館で”しっぽり”と過ごしていた。が、二人で個室露天風呂にいたところ、向かいの部屋の男女が自分たちを監視していることに気がつく。不倫を知られたら出世競争に傷がつくことを恐れた三浦は、知り合いの私立探偵に自分たちを監視した男女を調べさせるが……。驚愕の結末。
3.ある女への挽歌
捜査一課に次々と送られてきた謎の白骨。一体何が、何のために…。事件の鍵は伊豆にあると踏んだ十津川警部と亀井刑事が伊豆に飛んだが、亀井刑事が誘拐されてしまう……。
4.南紀 夏の終わりの殺人
短編集「幻想と死の信越本線」に収録。下記を参照↓↓
→「幻想と死の信越本線」
小説に登場した舞台
1.北の女が死んだ
- 東京メトロ丸ノ内線
- 銀座駅(東京都中央区)
- 新花巻駅(岩手県花巻市)
- 花巻温泉(岩手県花巻市)
2.目撃者たち
- 修善寺温泉(静岡県伊豆市)
3.ある女への挽歌
- 今井浜海岸(静岡県・河津町)
- 白浜海岸(静岡県下田市)
- 外浦海岸(静岡県下田市)
- 九十浜海岸(静岡県下田市)
- 爪木崎海岸(静岡県下田市)
- 大田子海岸(静岡県・西伊豆町)
- 田子瀬浜海岸(静岡県・西伊豆町)
- 堂ヶ島瀬浜海岸(静岡県・西伊豆町)
- 伊豆急下田駅(静岡県下田市)
- 弓ヶ浜海岸(静岡県・南伊豆町)
- 石廊崎海岸(静岡県・南伊豆町)
- 妻良海岸(静岡県・南伊豆町)
- 波勝岬海岸(静岡県・南伊豆町)
- 松崎海岸(静岡県・松崎町)
- 旧天城トンネル(静岡県伊豆市)
4.南紀 夏の終わりの殺人
短編集「幻想と死の信越本線」に収録。下記を参照↓↓
→「幻想と死の信越本線」
登場人物
1.北の女が死んだ
- 十津川省三:
警視庁捜査一課の警部。主人公。 - 亀井定雄:
警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の相棒。 - 三田村功:
警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の部下。 - 北条早苗:
警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の部下。 - 西本明:
警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の部下。 - 日下淳一:
警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の部下。 - 三宅ユキ:
22歳。東銀座にある靴店Rに勤務。荻窪のマンションに在住。岩手県花巻出身。自宅で死体となって発見された。 - 三宅里子:
三宅ユキの母親。花巻温泉のKホテルに勤務。 - 平井:
三宅ユキが通っていた花巻市内にある高校の教師。 - 神埼克己:
40歳。精神科医。御茶ノ水にある精神医学研究所に勤務。 - 佐藤:
東京の市立病院にある精神科医。 - 広田一彦:
34歳。業界紙の記者。M医大を卒業。荻窪のアパートに在住。自宅で何者かに火をつけられ焼死した。
2.目撃者たち
- 十津川省三:
警視庁捜査一課の警部。主人公。 - 亀井定雄:
警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の相棒。 - 西本明:
警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の部下。 - 日下淳一:
警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の部下。 - 三田村功:
警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の部下。 - 三浦吉郎:
58歳。M製薬の販売部長。 - 白石多恵:
22歳。無名のタレント。三浦吉郎の愛人。 - 三浦可奈子:
三浦吉郎の妻。 - あけみ:
六本木にあるクラブ「楓」のホステス。 - 木戸浩:
四谷に事務所をかまえる私立探偵。三浦吉郎の友人。 - 名倉俊一:
51歳。N区の助役。 - 橋本豊:
私立探偵。元警視庁捜査一課の刑事で、十津川警部の元部下。 - 杉浦かおり:
OL。橋本豊の友人。 - 山本卓:
35歳。K組の幹部。あけみの元恋人。
3.ある女への挽歌
- 十津川省三:
警視庁捜査一課の警部。主人公。 - 亀井定雄:
警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の相棒。 - 西本明:
警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の部下。 - 日下淳一:
警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の部下。 - 三田村功:
警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の部下。 - 北条早苗:
警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の部下。 - 田中大輔:
警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の部下。 - 片山明:
警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の部下。 - 本多時孝:
警視庁捜査一課長。十津川警部の上司。 - 三上刑事部長:
刑事部長。十津川警部の上司。 - 中村:
科研の技官。 - 木下:
伊豆急下田駅前にあるレンタカー会社の社員。 - 堀みゆき:
25歳。銀座にあるクラブ「サフラン」のホステス。世田谷区成城のマンションに在住。1年前に自宅で死亡したが自殺と断定された女性。 - 黒川清:
29歳。プロ野球選手。堀みゆきの馴染客。 - 唐木治:
35歳。代議士。唐木通信の社長の弟。堀みゆきの馴染客。 - 唐木京子:
唐木治の妻。 - 大石隆一:
50歳。ファーストフードチェーンKの社長。堀みゆきの馴染客。 - 木村康成:
56歳。六本木に事務所をかまえる弁護士。 - 小柴:
M大学病院の医師。 - 金井亜木子:
35歳。池袋にあるバーのママ。元クラブ「サフラン」のホステス。 - 深見吾郎:
深見動物病院の院長。唐木治の友人。現在アメリカに留学中。 - 田島:
中央新聞社会部の記者。十津川警部の大学時代の同級生。
4.南紀 夏の終わりの殺人
短編集「幻想と死の信越本線」に収録。下記を参照↓↓
→「幻想と死の信越本線」
印象に残った名言、名表現
(1)救出願望。
若い三田村は、いつも、一つの夢物語を持っている。きれいな娘が暴漢に襲われそうになったのを、自分が助ける。彼女は感謝して、そこから恋が芽生えてくるというストーリィである。
(2)安定した人生はつまらない。
死ぬ時、それまでの人生を振り返ると、あまりにも、混乱のない、詰らない人生になってしまっているのではあるまいか。
感想
本作は、花巻、伊豆、南紀白浜を舞台にした短編を4作品が収録された短編集である。
”短編の名手”としても知られる、西村京太郎先生の実力を見せつける秀作揃いであるが、一つ挙げるとすれば、「ある女への挽歌」だろう。
警視庁捜査一課宛に骨が入った小包が届くという怪しげなスタートから、亀井刑事の誘拐と、ショッキングな事件が続くのはもちろん、十津川警部が事件のヒントを得るために、伊豆の海岸をくまなく捜査する、旅情にもあふれた作品であった。
これが一番のおすすめである。
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