初版発行日 2001年11月25日
発行出版社 角川書店
スタイル 長編
私の評価
【POINT】
ナオミとはいったい誰なのか?連続殺人事件はナオミのための復讐なのか?一連の事件から十津川警部は大胆な推理を試みる。
ナオミとはいったい誰なのか?連続殺人事件はナオミのための復讐なのか?一連の事件から十津川警部は大胆な推理を試みる。
あらすじ
「タスケテ トウキョウ ウミノソバ 5.6.9 ナオミ」親子でお台場に釣りに来ていた亀井刑事は、口紅でそう書かれた紙片の入った薬瓶を見つけた。同じ頃、東京近郊で連続して射殺事件が発生する。被害者は皆こめかみに銃弾を受け、死体の傍には必ず「ナオミのために」と書かれたメモが残されていた!
小説の目次
- 七年目のSOS
- 誘拐
- 脅迫
- 新たな犠牲
- 死を売る集団
- 対決の時
- 破滅
冒頭の文
警視庁捜査一課の亀井刑事の趣味の一つは、釣りである。
小説に登場した舞台
- お台場(東京都江東区)
- 芝浦桟橋(東京都港区)
- 箱根大涌谷(神奈川県・箱根町)
- 小田原(神奈川県小田原市)
- 西新宿(東京都新宿区)
- 青砥駅(東京都葛飾区)
- 秋田空港(秋田県秋田市)
- 田沢湖(秋田県仙北市)
- 後生掛温泉(秋田県鹿角市)
- 軽井沢駅(長野県・軽井沢町)
- 東京駅(東京都千代田区)
- 特急踊り子号
- 伊豆急下田駅(静岡県下田市)
- 海老名サービスエリア(神奈川県海老名市)
- 松崎港(静岡県・松崎町)
登場人物
警視庁捜査一課
- 十津川省三:
警視庁捜査一課の警部。主人公。 - 亀井定雄:
警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の相棒。 - 西本明:
警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の部下。 - 日下淳一:
警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の部下。 - 北条早苗:
警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の部下。 - 三田村功:
警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の部下。 - 田中大輔:
警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の部下。 - 片山明:
警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の部下。 - 吉田:
警視庁捜査一課の刑事。十津川班ではないが、応援で入った。 - 小杉:
警視庁捜査一課の刑事。十津川班ではないが、応援で入った。 - 本多時孝:
警視庁捜査一課長。十津川警部の上司。 - 三上刑事部長:
刑事部長。十津川警部の上司。
警察関係者
- 中村:
警視庁初動捜査班の警部。 - 戸田:
神奈川県警の警部。 - 吉田:
神奈川県警の刑事。 - 北川:
秋田県警の警部。 - 町田:
静岡県警の警部。 - 橋本豊:
私立探偵。元警視庁捜査一課の刑事で、十津川警部の元部下。 - 亀井健一:
亀井刑事の息子。
事件関係者
- 小野真二:
39歳。人材派遣会社「フィッレ」の社長。名古屋出身。渋谷区松濤の自宅マンションで射殺されていた。 - 小野紀子:
36歳。小野真二の妻。 - 池内節子:
都内にあるリサイクル会社の社長。杉並区永福町に在住。2年前に死亡した夫に代わり、社長になった。 - 池内誠:
池内節子の夫。2年前に死亡している。 - 池内みゆき:
13歳。N中学校の1年生。池内節子の娘。「ナオミ」を名乗る者から誘拐される。 - 三浦和彦:
47歳。池内誠の大学の先輩。経営コンサルタント。かつて、池内誠とリサイクル会社を共同経営していた。 - 三浦ありさ:
当時5歳。三浦和彦の娘。5年前に、池内家に遊びに行っていた時に事故死する。 - 井上篤:
42歳。小田原にある日本料理店「タカシ」の主人。7年前にお店を始めた。箱根大涌谷で何者かに射殺される。 - 崎田匡:
井上篤の甥。 - 島野貢太郎:
50歳。銀座にある宝石店「ジュエリー・シマノ」の社長。銀座にあるクラブのトイレで射殺される。 - 島野祐子:
30歳。島野貢太郎の後妻。 - 片平のぶえ:
35歳。青砥駅近くのスナック「のぶえ」のママ。10年前から島野貢太郎と知り合い。後生掛温泉近くの八幡平中腹で谷底に転落死した。 - 富田信夫:
42歳。私立探偵。以前は、都内のデータ会社でマーケットリサーチの仕事をしていた。軽井沢の別荘で爆殺される。 - 富田はるみ:
富田信夫の妻。軽井沢の別荘で爆殺される。 - 木谷要:
下田にあったパン屋の元主人。去年の10月に倒産した。石廊崎近くの海岸で死体となって発見された。 - 三枝実:
43歳。四谷に事務所のある弁護士。 - 鈴木美代:
三枝実の法律事務所の事務員。法律事務所のあるビルで死体となって発見された。 - 田辺貞章:
三浦和彦の仲間。 - 篠田智也:
三浦和彦の仲間。 - 藤代隆一郎:
四谷にある喫茶店「きたぐに」の店主。 - 岡本久美:
四谷にある喫茶店「きたぐに」の店主。
その他の登場人物
- 平野のぞみ:
23歳。「フィッレ」の元社員。小野真二の愛人。 - 由加:
ホステス。井上篤と箱根大涌谷に訪れていた女性。 - 島野慶子:
島野貢太郎の前妻。 - 楠正彦:
島野貢太郎が営む「ジュエリー・シマノ」の上客。 - 安藤貞吉:
島野貢太郎が営む「ジュエリー・シマノ」の上客。 - 斉藤一郎:
島野貢太郎が営む「ジュエリー・シマノ」の上客。 - サチコ:
島野貢太郎行きつけの銀座クラブのホステス。 - 佐藤:
70歳。後生掛温泉に住む老婆。 - 君原:
私立探偵。橋本豊の探偵仲間。 - 今西:
三浦誠の大学時代の同級生。 - 工藤マサ子:
57歳。四谷にあるラーメン店「四谷の王様」の店主。
印象に残った名言、名表現
なし。
感想
本作のタイトルは「射殺」。このタイトルにふさわしい、なんともド派手な事件だった。関係者がつぎつぎと死んでいくのである。被害者は7人。大量殺人事件である。
射殺以外にも爆殺もあった。別荘が爆弾で吹っ飛ぶのである。「ここは日本だよな?」と、首を傾げたくなるほど、ド派手なのだ。まるで、ハリウッド映画のようでもあった。
ド派手な分、すこし大味な感じが否めない。一人ひとりの人間の背景や心理描写が、どうしても手薄になってしまったと思う。また、いくつかの謎も解明されないまま終わった。
そして、今回の事件は、「ナオミのために」が一つのキーワードだった。
当然、この”ナオミ”にまつわる事件の復讐劇だと考えるのだが、それは、本質を隠すためのカモフラージュだったというのが、事件の骨子である。いわゆる、殺人請負組織の犯罪であった。この”請負型事件”は、十津川警部シリーズによくあるパターンの一つでもある。
このド派手な事件を、十津川警部はどうやって、収束させるのか?物語はどう終わったのか?この先は、自分の目で確かめてほしい。
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