初版発行日 2016年5月13日
発行出版社 双葉社
スタイル 長編
私の評価
【POINT】
高山、下呂温泉、飛騨古川を舞台にした絵画がテーマのトラベルミステリー。
高山、下呂温泉、飛騨古川を舞台にした絵画がテーマのトラベルミステリー。
あらすじ
飛騨高山の屋台会館で画家の緒方幸太郎が殺害され、彼の描いた「春の高山祭」という大作が盗まれた。さらに東京で、緒方の美術学校の後輩にあたる画家・橋本誠が殺された。捜査を任された十津川警部は岐阜県警と合同捜査に乗り出し、緒方が毎朝、高山駅を訪れていたことをつかむ。さらに、絵画販売に絡む複雑なからくりと、天才画家と呼ばれた人物の存在が明らかになるが……!?
小説の目次
- 父の死
- 東京
- いかの丸干
- 父の行動の謎
- 五分のデート
- 娘の行方
- 二つの絵と二人の男女
冒頭の文
緒方幸一の父親が死んだ。
いや、このいい方は正しくない。正確にいえば、緒方幸一の元父親が、死んだというべきなのだ。
小説に登場した舞台
- 名古屋駅(愛知県名古屋市中村区)
- 特急ワイドビューひだ
- 高山駅(岐阜県高山市)
- 高山祭屋台会館(岐阜県高山市)
- 下呂温泉(岐阜県下呂市)
- 水明館(岐阜県下呂市)
- 下呂駅(岐阜県下呂市)
- 於岩稲荷田宮神社(東京都新宿区)
- 東京駅(東京都千代田区)
- 飛騨古川(岐阜県飛騨市)
- 美濃太田駅(岐阜県美濃加茂市)
- 富山駅(富山県富山市)
登場人物
警視庁捜査一課
- 十津川省三:
警視庁捜査一課の警部。主人公。 - 亀井定雄:
警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の相棒。 - 西本明:
警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の部下。 - 日下淳一:
警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の部下。 - 北条早苗:
警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の部下。
警察関係者
- 木下:
高山警察署の刑事。 - 渡辺:
高山警察署の刑事。 - 山本:
四谷署の刑事。
事件関係者
- 緒方幸一:
丸の内にあるコンピュータ会社「サンテクニック」の営業第一課長。三鷹に在住。 - 緒方幸太郎:
75歳。画家。緒方幸一の元父親。高山祭屋台会館の中で死体となって発見された。 - 橋本誠:
45歳。画家。四谷三丁目のマンションに在住。於岩稲荷田宮神社の境内で死体となって発見された。 - 北川弥生:
26歳。高山駅のホームで緒方幸太郎と話していた女性。以前、美濃太田に住み飛騨古川の漢方薬専門店で働いていた。 - 北川節子:
北川弥生の母親。涼香という名前で下呂温泉の芸者をしていたが、5年前に病死している。 - 大久保豊:
有名な鑑定家。 - 加藤敦:
有名な鑑定家。
その他の登場人物
- 緒方慶子:
緒方幸一の妻。 - 坂口:
「新岐阜タイムス」の社長。 - 山部隆司:
40歳。銀座にある「新岐阜タイムス」東京支社の支社長。 - 菊池由香里:
30歳。作家。中野のマンションに在住。 - 新田一樹:
画家。橋本誠の美術学校の同級生。 - 大田黒清志:
高山のタクシー運転手。緒方幸太郎をよく乗せていた。 - 野村樹里:
19歳。女性大生。北川弥生と同じマンションに住んでいた女性。 - 飛田:
北川弥生が通っていた富山市内の高校の美術教師。 - 中山清志:
35歳。都内に3つの画廊をもつ画商。三鷹のマンションに在住。 - 宮島直也:
48歳。都内に3つの画廊をもつ画商。神田に在住。 - 中里恵子:
39歳。画家兼画商。
印象に残った名言、名表現
(1)高山の魅力。
高山本線は、相変わらずの単線だし、電化されていないが、若いカップルで、かなり混んでいた。それだけ、高山という町には、若者を惹きつける何かがあるのだろう。
(2)高山市内には漢方薬のお店が多い。
高山は、飛騨の小京都と呼ばれている。しかし、十津川の目から見ると、京都というよりも、もっと、古い町のような印象を受ける。
その理由のひとつが、高山市内に残っている漢方薬の、店だった。
感想
本作は、高山や飛騨古川を舞台に、絵画の世界をテーマにした作品であった。
高山の町や下呂温泉、飛騨古川、富山が登場するので、このエリアに興味がある方ならば、親近感をもって読むことができると思う。
また、画家や画商が数多く登場し、超有名画家のエピソードや名言なども紹介されているので、この世界に興味がある方ならば楽しめるだろう。
だが、高山にも絵画の世界にも興味がない方は、読むのが少々苦痛に感じるかもしれない。
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