初版発行日 2009年1月25日
発行出版社 実業之日本社
スタイル 長編
私の評価
【POINT】
一風変わった証人。十津川警部は、盤石のアリバイを崩せるか?
一風変わった証人。十津川警部は、盤石のアリバイを崩せるか?
あらすじ
資産家の女性が自宅で殺された。第一の容疑者は年下の夫。長身で美男の夫は、過去にも年上の妻が不審な交通事故で死んだために、10億円の遺産を相続していた。警視庁捜査一課の十津川警部は夫を犯人と確信する。しかし、逮捕後、夫は殺害の時刻に伊豆急の「リゾート21」に乗車していたことが判明。しかも、そのアリバイというのは…!?そして、追いつめられた十津川は…!?
小説の目次
- サバン
- 絵のなかの男
- 公判開始
- 勝敗を分けるカギ
- コネクション
- 面接試験
- 最後の証人
冒頭の文
犯人、いや、正確にはまだ容疑者をだが、起訴した時点で、警視庁捜査一課の、十津川たちの仕事は、終わる。
小説に登場した舞台
- 伊豆急リゾート21
- 三鷹駅(東京都三鷹市)
登場人物
警視庁捜査一課
- 十津川省三:
警視庁捜査一課の警部。主人公。 - 亀井定雄:
警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の相棒。 - 西本明:
警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の部下。 - 日下淳一:
警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の部下。 - 三上刑事部長:
刑事部長。十津川警部の上司。
事件関係者
- 中西遼:
31歳。北九州出身。加藤由美子の夫。由美子の死後、10億円の遺産を受け継ぎ、六本木に高級クラブを作りオーナーになる。その後、工藤秀美と結婚する。 - 加藤由美子:
40歳。資産家。中西遼と結婚した半年後に交通事故で死亡する。 - 工藤秀美:
40歳。夫の遺産40億円を引き継いだ資産家。中西遼と結婚した半年後に強盗に入られて死亡する。 - 古賀昌幸:
59歳。警備保障会社サーブの社長。警視庁のOB。 - 木村健次郎:
NPO法人「知的障害者の会」の理事長。警視庁のOB。 - 小林健介:
32歳。知的障害者だが記憶の天才。3月3日に伊豆急リゾート21に乗ったときの絵を描いた男。 - 滝本:
東京地検の検事。 - 崎田晃:
中西遼の担当弁護士。 - 佐藤伸子:
崎田晃の法律事務所で働く若手弁護士。 - 北島敬:
32歳。聾者。台東区千束のアパートに在住。現在行方不明。 - 北島恵子:
北島敬の妻。現在行方不明。
その他の登場人物
- 黒川誠:
28歳。新宿西口にあるカメラ店の店員。3月3日、伊豆急「リゾート21」に乗っていた。 - 水沼結衣:
25歳。新宿西口にあるカメラ店の店員。3月3日、伊豆急「リゾート21」に乗っていた。 - 渡辺要:
中西遼の高校時代の友人。建築会社を設立したが倒産。 - 外山晴彦:
中西遼の高校時代の友人。無職。詐欺容疑で逮捕されていた。 - 青田雄一:
フリーター。 - 城之内博:
大手繊維メーカーの営業マン。 - 南川信雄:
以前、警備保障会社サーブに勤めていた男。 - 近藤勉:
警備保障会社サーブの社員。大学時代に空手をしていた。
印象に残った名言、名表現
なし。
感想
本作は、最初から犯人も動機もわかっている。犯人も逮捕&起訴されている。だが、裁判の段階になって、被告側は強力なアリバイが用意されていたという事件であった。
つまり、アリバイ崩しが今回のテーマである。
用意されたアリバイは、よくできたものだったし、そのアリバイを崩すまでの捜査は、ロジカルなものだったと思う。
しかし、裁判の答弁とその証拠集めがメインになっているので、動きは少ない。ヒリヒリするような緊張感も、手に汗握るスピード感もなかった。トラベルミステリーとしての旅情もなかった。
裁判中心の展開は、十津川警部シリーズの中では珍しく、シリーズ全体で見れば挑戦的な作品なのかもしれないが、本作単体で見れば、十津川警部シリーズの良さが、消えていた作品だったと思う。
個人的に、本作はあまり好きではない。
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