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「十津川警部とたどる時刻表の旅」感想レビュー。

十津川警部とたどる時刻表の旅小説

初版発行日 2012年4月10日
発行出版社 角川学芸出版
スタイル ガイド

私の評価 3.5

POINT】
時刻表と取材術で案内する西村京太郎の究極トラベルガイド!
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あらすじ

  • 数字に隠された謎に着目
  • ネットでは探せない情報収集法
  • 列車や車両編成で楽しむ旅行術
  • 取材で体験した思い出の「駅」と「路線」
  • お得な切符で世界遺産・古都巡り
  • 人気の駅弁。意外な駅グルメとは?

小説の目次

  1. 時刻表から謎解きを
  2. 謎の路線図
  3. 鉄路を巡って
  4. 駅もさまざま
  5. 列車に誘われて
  6. 取材はやはり綿密に
  7. ミステリーを求めて旅に
  8. 名所・景勝地を訪ねる
  9. 旅の味は別格

ポイント抜粋

  • 『寝台特急殺人事件』や『終着駅殺人事件』を書いた頃は、それほど時刻表に詳しくなかったので、鉄道に関する専門書や随筆を読んで勉強した。
  • 鉄道トリックの基本的なパターンが「急がば回れ」。遠回りに見えるルートのほうが、実は目的地に早く着くというトリック。
  • もう一つの鉄道トリックの基本パターンは、「追い抜き」。同じ路線で後から発車した列車が追い抜いたり、新幹線が並行する在来線の列車を追い抜くケース。
  • 好きな鉄道路線で必ず挙げるのが五能線。名前も駅名も面白い。日本海の景色も美しい。
  • 時刻表を手にすると、面白い駅名を探してしまう。鮫駅(八戸線)、鳳駅(阪和線)、鎧駅(山陰本線)、楓駅(石勝線)、燕駅(弥彦線)、隼駅(若桜線)、学駅(徳島線)など一文字の役もある。
  • 肥後西村駅(湯前線)、新十津川駅(札沼線)、亀井駅(菊池線)などを見つけると嬉しくなる。
  • 列車名では「雷鳥」、路線なら「五能線」、駅は「上野駅」が一番好き。上野駅は改修してもなお、昔の面影を残している。京都駅は航空母艦みたいになり、函館駅は円筒形のケーキみたいになってしまったのが残念。
  • 終着駅という言葉が好きなのは終着駅が同時に始発駅でもあること。ある人にとっては新しい旅立ちへのスタートだが、別の人にとっては悲しい別れでもあるから。
  • 夜行列車には感傷的なところがある。
  • 南への旅は陽気でロマンチックなストーリー、北への旅は厳しい孤独を感じさせるストーリーが合っている。
  • 列車旅で楽しみなのは駅弁だが、実は一番楽しみなのがホームのそば屋である。

感想

本作は、ミステリー小説ではなく、十津川警部シリーズ制作の裏側を、西村京太郎先生が語るものである。十津川警部シリーズファンとしては、嬉しい作品でもある。

列車で行ける場所はほぼすべて行った先生ならではの、豊富な知識と鋭い着眼点を、ライトなタッチで解説しているので、読みやすいながらも弁業になった。

例えば、時刻表や構内図、路線図、列車の車内図を駆使したトリック作りの考え方や、取材術、西村京太郎先生が好きな路線や列車、駅の話などもあった。

さらに、臨時列車やイベント列車、SL号などのユニークな列車について語ったと思えば、新しくできた駅や消えていく列車についての思いも語っている。このほか、秘湯巡り、世界遺産、景勝地を巡ったときのエピソードなど、てんこ盛りの内容。

作品の裏側がみえる、貴重なガイドである。

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