初版発行日 1987年5月13日
発行出版社 読売新聞社
スタイル 長編
私の評価
【POINT】
……白いコートの”幻の女”は何者なのか?十津川ひきいる捜査陣の前に、やがて防衛産業の利権をめぐる、闇の世界の暗闘が暴きだされていく。
……白いコートの”幻の女”は何者なのか?十津川ひきいる捜査陣の前に、やがて防衛産業の利権をめぐる、闇の世界の暗闘が暴きだされていく。
あらすじ
東京地下鉄の構内で起こる連続殺人事件。現場ではかならず謎の美女が目撃された。十津川警部らの捜査で、死体の身元が判明するが、いずれも一年前に行方不明になったままの人物、しかも整形手術で顔を変えていた!
小説の目次
- 幻の女
- 銀座線神田駅
- OLからの変身
- 手紙
- 呼びかけ
- 一年前の事件
- 箝口令
- アンタッチャブル
- 告訴
- 小切手
- 一つの集団
- 水面下の動き
- 罠をかける
- 真偽の間
- 最後の賭け
冒頭の文
新宿左門町に住む日下は、四谷三丁目から、営団地下鉄「丸ノ内線」に乗り、霞ヶ関まで、通勤している。
小説に登場した舞台
- 霞ヶ関駅(東京都千代田区)
- 銀座駅(東京都中央区)
- 丸ノ内線
- 四ツ谷駅(東京都新宿区)
- 赤坂見附駅(東京都港区)
- 赤坂エクセルホテル東急(東京都千代田区)
- 神田駅(東京都千代田区)
- 上野駅(東京都台東区)
- 渋谷駅(東京都渋谷区)
- 代々木上原駅(東京都渋谷区)
- 明治神宮(東京都渋谷区)
- 成田空港(千葉県成田市)
- 表参道駅(東京都港区)
- 新宿駅(東京都新宿区)
- 芦ノ湖畔(神奈川県・箱根町)
- 晴海埠頭(東京都中央区)
登場人物
警視庁捜査一課
- 十津川省三:
警視庁捜査一課の警部。主人公。 - 亀井定雄:
警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の相棒。 - 西本明:
警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の部下。 - 日下淳一:
警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の部下。 - 田中大輔:
警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の部下。 - 清水新一:
警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の部下。 - 本多時孝:
警視庁捜査一課長。十津川警部の上司。 - 三上刑事部長:
刑事部長。十津川警部の上司。
警察関係者
- 井崎:
松原町派出所の警官。 - 田口:
中央新聞社会部のデスク。十津川警部の大学時代の同級生。
S重工
- 柏原祐一:
50歳。S重工の技術部門の部長。アメリカに留学中とされているが、行方不明になったという噂もある。 - 山田:
S重工の総務部長。 - 広田:
S重工技術部門の副部長。
N工業
- 宮崎:
N工業本社の総務部長。 - 岩井晃:
N工業の取締役。
「新しい日本」の雑誌社
- 五十嵐俊介:
45歳。神田神保町にある雑誌社「新しい日本」のオーナー。元総会屋。 - 岡本陽介:
雑誌社「新しい日本」編集部の記者。
代議士
- 佐伯晋一郎:
国務大臣。元S重工の常務取締役。 - 佐々木要:
48歳。代議士。防衛族の議員。 - 桂木俊介:
佐々木要の秘書。 - 小山了:
佐々木要の秘書。 - 島田:
佐々木要の秘書。
事件関係者
- 神林保:
倒産した上野の中央自動車の社長。地下鉄神田駅のホームで死体となって発見された。 - 浜谷マリ子:
23歳。1年前までK銀行代々木上原支店に勤務していた。世田谷区成城のマンションに在住。丸ノ内線の車内で死体となって発見された。 - 加納誠:
39歳。大田区の消防署に勤務していたがクビになった男。表参道駅と青山一丁目駅の間の換気口の中で死体となって発見された。 - 山本圭介:
26歳。S生命に勤務していたが、去年の七月に失踪した。 - 神明勉:
柏原祐一の大学時代の友人。経営コンサルタント。 - 小川きみ子:
32歳。看護師。 - 野々村京子:
30歳。成城のマンションに在住。
その他の登場人物
- 木下勇:
25歳。中野坂上に在住。 - 谷口圭:
26歳。赤坂見附駅の駅員。 - 木原:
営団地下鉄神田駅の駅員。 - 山本:
営団地下鉄本社の情報管理室長。 - 中野ゆう子:
神林保の元妻。西船橋に在住。 - 井田:
上野駅前の不動産屋の社長。 - 山根:
上野の喫茶店「アミーゴ」の店主。 - 相川京子:
浜谷マリ子と同じマンションに住む主婦。 - 橋田:
K銀行代々木上原支店の支店長。 - 正木あけみ:
K銀行に勤務。浜谷マリ子の同期で友人。 - 林昌子:
浜谷マリ子の友人。 - 和田はるみ:
浜谷マリ子の友人。代田橋のマンションに在住。 - 加納加代子:
25歳。加納誠の妹。OL。 - 山本文江:
46歳。山本圭介の母親。千葉でブティックを営む。 - 加東:
弁護士。 - 山田優次:
品川にある運送会社「山田運送店」の社長。 - 高倉:
T大学病院の医師。精神病医の権威。
印象に残った名言、名表現
■政治家の宿命。
「特定の人間なり、グループに応援して貰って代議士になった場合は、彼等に首根っこを押えられてしまうんだ」
感想
東京の地下鉄で起こった連続殺人事件。その背景には、政財界を巻き込んだ利権争いがあった、というのが、今回の事件の構図である。
内容は硬派で、本格的な社会派ミステリーといえよう。
だが、その入り口は、東京地下鉄に<謎の美女>が現れるという、ミステリアスな雰囲気があったし、地下鉄丸ノ内線や銀座線、都内の地下鉄駅も多数登場した、トラベル要素もあった。
内容は硬派なのに、入り口は柔らかい。本作は、このギャップが良かったと思う。
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