初版発行日 1987年7月30日
発行出版社 文藝春秋
スタイル 長編
私の評価
【POINT】
今どきめずらしい列車強盗事件の裏に隠された意外な犯意を、十津川警部が解明する、トラベルミステリー。
今どきめずらしい列車強盗事件の裏に隠された意外な犯意を、十津川警部が解明する、トラベルミステリー。
あらすじ
根室本線を走る二両編成のミニ急行「ノサップ」が、広大な根釧原野のまんなかで列車強盗に襲われた。シーズンオフで乗客は少く、犯人の奪った金額は拍子ぬけするほどわずかなものだった……。
小説の目次
- 根釧原野
- 焼身自殺の周囲
- 一枚の写真
- 過去の事件
- 人間狩り
- サイレンサー
- 仙台へ
- 終局への疾走
冒頭の文
根室本線は、北海道の中央部に近い滝川から、釧路を経て、道東の端の根室まで、四四七キロの幹線である。
小説に登場した舞台
- 急行「ノサップ1号」
- 釧路駅(北海道釧路市)
- 上尾幌駅(北海道・厚岸町)
- 根釧原野(北海道・浜中町)
- 厚岸湖(北海道・厚岸町)
- 厚岸駅(北海道・厚岸町)
- 釧路空港(北海道釧路市)
- 幣舞橋(北海道釧路市)
- 幣舞公園(北海道釧路市)
- 東京駅(東京都千代田区)
- 名古屋駅(愛知県名古屋市中村区)
- ブルートレイン「さくら」
- 京都駅(京都府京都市下京区)
- 新宿歌舞伎町(東京都新宿区)
- 福島駅(福島県福島市)
- 仙台駅(宮城県仙台市青葉区)
登場人物
警視庁捜査一課
- 十津川省三:
警視庁捜査一課の警部。主人公。 - 亀井定雄:
警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の相棒。 - 西本明:
警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の部下。 - 日下淳一:
警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の部下。 - 清水新一:
警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の部下。 - 本多時孝:
警視庁捜査一課長。十津川警部の上司。 - 三上刑事部長:
刑事部長。十津川警部の上司。
警察関係者
- 三浦:
釧路警察署の警部。 - 小野:
仙台地検の検事。 - 吉田:
愛知県警の警部。 - 鈴木:
愛知県警の刑事。 - 三沢:
京都府警の警部。 - 藤田:
福島県警の部長刑事。
事件関係者
- 田原恒夫:
カメラマン。石神井公園の近くにあるマンションに在住。納沙布の取材のために乗った急行ノサップ1号で列車強盗に遭遇する。その後、厚岸湖で死体となって発見された。 - 河野浩:
26歳。東京・市ヶ谷の不動産会社に勤務。世田谷区成城のマンションに在住。急行ノサップ1号で列車強盗に遭遇して右目を失明。その後、自宅が燃えて死亡した。 - 園田祐一郎:
60歳。宮城県の県議会議員。宮城県内で建設会社を経営している。個人秘書・本橋ゆう子の殺害容疑で裁判中。 - 小笠原利夫:
宮城県で力をもつN組の組長。 - 伊藤謙:
31歳。園田建設の業務課長。ブルートレイン「さくら」の車内で殺されていた。 - 小早川よし子:
25歳。新宿のクラブ「紫」のホステス。ブルートレイン「さくら」の車内で殺されていた。 - 岡本勇次:
27歳。売れない俳優。新大久保のアパートに在住。 - 畑野:
青葉城跡近くにある総合病院の病院長。 - 青山:
青葉城跡近くにある総合病院の事務長。
その他の登場人物
- 田原由美:
田原恒夫の妹、名古屋で母と暮らしている。 - 井辺:
河野浩と同じ不動産会社に勤める同僚。 - 北島:
河野浩と同じ不動産会社に勤める同僚。 - 横井:
急行「ノサップ1号」の運転士。 - 鈴木:
急行「ノサップ1号」の車掌。 - 今村:
田原恒夫に納沙布岬の写真撮影を依頼したR社の編集長。 - 伊藤肇:
伊藤謙の兄。三鷹にあるW電気の工場に勤務。 - 伊藤啓子:
伊藤肇の妻。 - 白石:
新宿西口に営業所のある五輪タクシーの運転手。 - 林卓也:
渋谷にある貸しビルのオーナー。 - 安田:
ブルートレイン「さくら」の車掌長。 - 久保田:
岡本勇次とルームシェアしている男。 - 菅野:
新宿にあるサンライズ興業の営業部長。
印象に残った名言、名表現
なし。
感想
本作は、”列車強盗”から始まるという、なんとも変わった事件であった。しかも、ローカル路線の急行「ノサップ」であり、奪われた金額は45万円ほど。これだけのリスクを背負って、たったの45万円しか得られず、しかも、3人で強盗しているのだから、一人頭15万円である。
当然、ほかに目的があって、列車強盗をしたのだろうと推測するのが当たり前である。
もちろん、本当の目的があったわけであるが、この真の目的を探ることが、事件の核心に触れるものであり、その後の展開にも影響してくるのである。
ストーリーが短めで、スピード感もあるので、読みやすいと思う。ぜひ一読してみてもらいたい。
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