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「山陰路殺人事件」感想レビュー。あらすじ、舞台、登場人物

山陰路殺人事件小説

初版発行日 1986年7月25日
発行出版社 光文社
スタイル 長編

私の評価 4.4

POINT】
十津川の経理な推理のメスが光る!芸能界の暗部をえぐるトラベル・ミステリー!
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あらすじ

美人歌手柏崎マリが、城崎で突然蒸発、そして出雲で、恋人のTVディレクター河西の殺人容疑で逮捕された。そのうえ彼女には、第二、第三の殺人容疑が!十津川警部は山陰に飛び捜査を開始。マリのほかの容疑者が捜査線上にうかんだが、鉄壁のアリバイを誇っていた。

小説の目次

  1. 城崎への旅
  2. 特急「まつかぜ1号」
  3. 雪の出雲大社
  4. ディレクターの死
  5. 合同捜査
  6. 犯人の影
  7. 三人目の容疑者
  8. アリバイを追う
  9. 壁の中
  10. 孤独な戦い
  11. おとり
  12. 暗い結末

冒頭の文

京都駅の一番線ホームは、国鉄の中で一番長いホームとして、マニアの間で有名である。

小説に登場した舞台

  • 京都駅(京都府京都市下京区)
  • 特急「あさしお7号」
  • 福知山駅(京都府福知山市)
  • 城崎温泉駅(兵庫県豊岡市)
  • 城崎温泉(兵庫県豊岡市)
  • 特急「但馬1号」
  • 鳥取駅(鳥取県鳥取市)
  • 鳥取砂丘(鳥取県鳥取市)
  • 特急「まつかぜ3号」
  • 浜村駅(鳥取県鳥取市)
  • 米子駅(鳥取県米子市)
  • 出雲市駅(島根県出雲市)
  • 出雲大社(島根県出雲市)
  • 出雲縁結び空港(島根県出雲市)
  • 羽田空港(東京都大田区)
  • 東京駅(東京都千代田区)
  • 新大阪駅(大阪府大阪市淀川区)
  • 寝台特急「出雲1号」
  • 急行「だいせん4号」

登場人物

警視庁捜査一課

  • 十津川省三:
    警視庁捜査一課の警部。主人公。
  • 亀井定雄:
    警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の相棒。
  • 西本明:
    警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の部下。
  • 日下淳一:
    警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の部下。
  • 田中大輔:
    警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の部下。
  • 清水新一:
    警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の部下。
  • 本多時孝:
    警視庁捜査一課長。十津川警部の上司。
  • 三上刑事部長:
    刑事部長。十津川警部の上司。

警察関係者

  • 鈴木:
    城崎警察署の警官。
  • 中村:
    島根県警の警部。
  • 山下:
    大阪府警の刑事。

事件関係者

  • 柏崎マリ:
    26歳。売れない歌手。柴田プロ所属。
  • 原田:
    39歳。柏崎マリのマネージャー。中野のマンションに在住。
  • 柴田新:
    柴田プロの社長。原田の大学の先輩。
  • 柴田明信:
    柴田プロの副社長。
  • 山本秀行:
    35歳。芸能プロダクションの社長。世田谷区若林に在住。特急「まつかぜ1号」の車内で死体となって発見された。
  • 堀井幸子:
    19歳。新人歌手。平川プロ所属。鳥取砂丘で死体となって発見された。
  • 河西:
    33歳。新日本テレビのディレクター。新日本テレビ社長の甥。出雲大社で死体となって発見された。
  • 安西みち子:
    モデル。杉並区永福のマンションに在住。深大寺の雑木林で死体となって発見された。

その他の登場人物

  • 吉田愛吉:
    城崎温泉駅前にある土産物店「きのさき」の店主。
  • 渡辺:
    芸能界の生き字引。
  • 土屋:
    堀井幸子のマネージャー。
  • 相川:
    芸能レポーター。
  • 白井:
    山本秀行の大学時代の同級生。証券会社の社員。
  • 君原アキ:
    歌手。堀井幸子の友人。
  • 羽黒冴子:
    歌手。
  • 中田:
    Nテレビのプロデューサー。元俳優。
  • 大井定夫:
    コメディアン。成城学園に在住。
  • 小杉良男:
    コメディアン。かつて大井定夫と漫才コンビ「ルート・ナイン」を組んでいた。
  • 大西:
    平川プロの社員。
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感想

芸能界の闇を深くえぐった作品だといえるだろう。

金、女、嫉妬、裏切りといった汚いドロドロした世界が描かれた一方、この芸能界の中にある美しい男女の愛憎も描かれた。このドロドロとした世界と、美しい愛情の対比は、まるで山陰の夏と冬のようだったと思う。

ミステリーについては、殺人容疑がかけられて逮捕された売れない歌手の無実を信じたマネージャーと、十津川警部の捜査がシンクロする。そして、真犯人を少しずつ追い詰めていくのだが、、、本作は、哀しい結末を迎えてしまうのだ。

この哀しい結末こそが、本作のクライマックスである。

最後に、西村京太郎先生のことばを紹介しておこう。

人々が山陰路に憧れるのは、その言葉の持つひびきによるだろうが、冬と夏の顔が、極端に違う面白さにもよるのではないか。少なくとも、私が山陰路を旅したくなるのは、季節による違いの大きさのせいである。太平洋側、山陽路は、夏も冬もさほど違いはない。だが、日本海側、山陰路は違う。夏は明るく、優しいが、冬は寒く、厳しい。それも極端にである。人生は、明らかに山陽路より、山陰路に似ているといっていいだろう。だから、また私は、山陰路を舞台にして、このミステリーを書いた。

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