初版発行日 2012年1月20日
発行出版社 新潮社
スタイル 長編
私の評価
【POINT】
殺人と列車爆破と狙撃事件。三つの謎を追う十津川警部の前に、驚愕の事実が……!
殺人と列車爆破と狙撃事件。三つの謎を追う十津川警部の前に、驚愕の事実が……!
あらすじ
新興の不動産会社社長・岡本敬一郎のマンションで、銀座のママが殺された。その数時間後、寝台特急「サンライズ出雲」の個室寝台が爆破されるが、狙われた男は直前に途中下車し、姿を消していた。さらに、岡本が狙撃されるという事件が発生。狙撃は失敗に終わるが、犯人は警察の追跡を巧みに躱す。
小説の目次
- 夜の殺人
- 二つの証言
- 総理大臣
- 次の標的
- 消えた目撃者
- 狙う者、狙われる者
- 老いの冠
冒頭の文
加藤は、ホテルのロビーに入っていった。客の姿は、まばらである。
小説に登場した舞台
- 四ツ谷駅(東京都新宿区)
- 東京駅(東京都千代田区)
- 寝台特急「サンライズ出雲」
- 浜松駅(静岡県浜松市中区)
- 名古屋(愛知県名古屋市)
- 新宿駅(東京都新宿区)
- 箱根(神奈川県・箱根町)
- 京都駅(京都府京都市下京区)
- 小田原駅(神奈川県小田原市)
- 海老名サービスエリア(神奈川県海老名市)
- 海ほたるパーキングエリア(千葉県木更津市)
- 新横浜駅(神奈川県横浜市港北区)
登場人物
警視庁捜査一課
- 十津川省三:
警視庁捜査一課の警部。主人公。 - 亀井定雄:
警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の相棒。 - 西本明:
警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の部下。 - 日下淳一:
警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の部下。 - 北条早苗:
警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の部下。 - 三田村功:
警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の部下。 - 三上刑事部長:
刑事部長。十津川警部の上司。
事件関係者
- 加藤武:
36歳。殺し屋。謎の男からの依頼で木下晴美を殺害する。 - 岡本敬一郎:
60歳。不動産会社「アーバンジャパン」の社長。大河内首相の後援会長。四谷のマンションに在住。京都のホテルで行われたスウェーデン国王夫妻のパーティ会場で射殺された。 - 木下晴美:
30歳。銀座にあるクラブ「晴美」のママ。岡本敬一郎のマンションの部屋で加藤武に射殺される。 - 大河内正:
総理大臣。 - 田中仁:
大河内正の秘書。麹町のマンションに在住。 - 佐伯:
大河内正の秘書。 - 及川信一郎:
70歳。官房長官。 - 岡田信人:
及川信一郎の秘書。 - 広田麻衣:
35歳。モデル。岡本敬一郎と同じマンションに住む。
その他の登場人物
- 井原茂:
不動産会社「アーバンジャパン」の会長。 - 市村:
総理特別補佐官。 - 後藤こずえ:
銀座にあるクラブ「花」のママ。木下晴美の友人。 - 中島進:
25歳。岡本敬一郎の向かいにあるガソリンスタンドの店員。 - 伊坂:
50歳。寝台特急「サンライズ出雲」の車掌。 - 堀越麻紀:
銀座にあるクラブ「麻紀」のママ。木下晴美が営むクラブ「晴美」を引き継ぎ店名を変えた。阿佐ヶ谷のマンションに在住。
印象に残った名言、名表現
なし。
感想
本作は、東京、箱根、京都を舞台にした殺人事件であった。事件の背景にあるのは、政治闘争であり、首相暗殺計画まで飛び出す、ショッキングな内容でもある。
だが、作品のタイトル「寝台特急「サンライズ出雲」の殺意」に見合うほど、サンライズ出雲は登場しない。事件を起こした殺し屋が逃走に使い、そこで危うく殺されそうになったくらいの話である。サンライズ出雲を舞台にした事件を期待している方は、期待通りの作品にはなっていないだろう。
寝台特急が次々と廃止される中、2021年4月現在において、唯一残っている寝台特急でもあるので、もう少し、サンライズ出雲の登場を多くしてほしかったというのが正直な感想である。
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