初版発行日 2014年5月18日
発行出版社 双葉社
スタイル 長編
私の評価
【POINT】
お笑い芸人が容疑者?十津川警部シリーズの変わり種作品!
お笑い芸人が容疑者?十津川警部シリーズの変わり種作品!
あらすじ
駒沢の公園で自動車会社の社長・羽田五郎が改造拳銃で射殺され、十津川警部が捜査に乗り出した。その後、軽井沢で強盗殺人事件が発生し、丸田幸恵が殺害された。警視庁と長野県警の合同捜査になり、容疑者として三人組のお笑いタレントの身柄を確保するが、取り調べが進むにつれ、意外な事件の真相が浮かび上がってきた。
小説の目次
- 激突
- 東京へ
- 探偵社の裏と表
- 一寸悪どく
- 罠と三人の男たち
- 小悪党と大悪党
- 逆転への証言
冒頭の文
山陽新幹線を走る列車が、岡山駅に停車すると、ここで降りた乗客のほとんどは、そのまま駅を出ていくのだが、なかには、ここでは降りずに、在来線の8番線ホームへ歩いていく乗客もいる。
小説に登場した舞台
- 岡山駅(岡山県岡山市北区)
- 特急「南風9号」
- 大歩危小歩危(徳島県三好市)
- 後免駅(高知県南国市)
- 高知駅(高知県高知市)
- 帝国ホテル東京(東京都千代田区)
- 旧軽井沢(長野県・軽井沢町)
- 成田空港(千葉県成田市)
登場人物
警視庁捜査一課
- 十津川省三:
警視庁捜査一課の警部。主人公。 - 亀井定雄:
警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の相棒。 - 西本明:
警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の部下。 - 日下淳一:
警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の部下。 - 北条早苗:
警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の部下。 - 三上刑事部長:
刑事部長。十津川警部の上司。
お笑い芸人3人組
- 中島尚樹:
お笑い芸人。通称”帽子の中島”。広島在住。 - 岡本啓:
お笑い芸人。通称”グラサンの岡本”。広島在住。 - 酒井善史:
お笑い芸人。通称”ノッポの酒井”。広島在住。
ドラッグストアチェーン「FJジャパン」
- 大河内由美:
35歳。営業部長。特急「南風9号」の事故で負傷する。 - 渡辺和正:
大河内由美の秘書。特急「南風9号」の事故で死亡する。 - 大河内孝雄:
75歳。会長。大河内由美の叔父。 - 白井:
渉外課長。 - 青木要:
企画室長。 - 河上:
大河内孝雄の顧問弁護士。 - 池谷浩一郎:
大河内孝雄の元秘書。
事件関係者
- 丸田幸恵:
50歳。軽井沢在住の女性。ドラマ「ズッコケ探偵三人組」に本人役で出演することに。軽井沢の自宅で死体となって発見された。 - 羽田五郎:
65歳。羽田自動車の社長。世田谷区駒沢の豪邸に在住。自宅近くの公園で何者かに射殺される。
その他の登場人物
- 岸田由美子:
有名女優。 - 小川誠司:
シナリオライター。 - 野村満知子:
丸田幸恵の通いの家政婦。 - 宮本:
お笑い芸人3人組が所属している広島のHSプロの社長。 - 和田:
中央テレビのディレクター。 - 相沢:
65歳。広島の弁護士。 - 杉下:
羽田自動車の秘書課長。 - 安藤恵美子:
六本木にあるクラブのママ。羽田五郎の愛人。 - 由香里:
安藤恵美子のクラブで働いているホステス。 - 田坂:
羽田五郎の顧問弁護士。 - 高木:
飯田橋に事務所をかまえる私立探偵事務所の所長。 - 近藤:
長野県警捜査一課の刑事。 - 海野:
検事。
印象に残った名言、名表現
■四国は青の世界。
四国の宣伝パンフレットに<四国は青の世界>という文言が、あった。これは、海の青のことを、いっているのだが、初めて列車で四国に入ると、たちまち山の中にわけ入って<四国は青の世界>というのは海の青さではなく、青葉の青ではないかと、考えてしまうだろう。
感想
本作は、前半は特急「南風9号」の事故と、お笑い芸人3人組が私立探偵のドラマ「ズッコケ探偵三人組」を制作することになってその撮影の話がメインである。
特急「南風9号」の事故が、後に事件の容疑者になるお笑い芸人3人組を、結びつけるきっかけにもなっていたという構成である。
そして、このお笑い芸人3人組は、ドラマのロケ現場で起きた殺人事件の容疑者になり、その前に起きた東京の殺人事件の容疑者にもされてしまうという事件であった。
この後の捜査は十津川警部の腕の見せどころになるが、事件が完全に解決しないところで終わってしまったのは、まるで短編のようであり、長編としては消化不足である。
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