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「倉敷から来た女」感想レビュー。あらすじ、舞台、登場人物

倉敷から来た女小説

初版発行日 1995年4月5日
発行出版社 講談社
スタイル 短編集

私の評価 3.5

POINT】
倉敷、沖縄、熱川、八王子。日本全国を縦横無尽にとびまわる十津川班の活躍!
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あらすじ

1.倉敷から来た女

東京・四谷のNホテルの庭園で女性の刺殺体が発見された。ハンドバッグに残された手紙は突然の遺産分与を告げる夢の招待状だった。被害者・浅井美弥子の倉敷の住所を尋ねた北条刑事と日下刑事は、そこに生きている本物の美弥子を見出す!殺された女は誰か?遺産の行方は?十津川班の活躍が始まる。

2.初夏の海に死ぬ

短編集「日本縦断殺意の軌跡」に収録。下記を参照↓↓

→「日本縦断殺意の軌跡

3.殺しの風が南に向う

錦糸町にある「沖縄料理の店」の主人・玉城勝男が井の頭公園で死体となって発見された。玉城は沖縄出身で、沖縄三味線の「三線」の先生をしていたという。十津川班が玉城の営む「沖縄料理の店」に訪れたが、妻の冴子が行方不明になっていた。

4.事件の裏側

十津川警部は三上刑事部長から内密の捜査命令をうけた。東京駅のコインロッカーに入れられていた手紙について、誰が何のために入れたのか?を調べる任務である。その手紙とは、改進党の党首で代議士の織田真一郎から、六本木にあるクラブのホステス・北原真理に宛てた恋文だった。その後、北原真理の死体が陣馬高原の雑木林で発見される……。

小説に登場した舞台

1.倉敷から来た女

  • 岡山駅(岡山県岡山市北区)
  • 倉敷美観地区(岡山県倉敷市)

2.初夏の海に死ぬ

短編集「日本縦断殺意の軌跡」に収録。下記を参照↓↓

→「日本縦断殺意の軌跡

3.殺しの風が南に向う

  • 井の頭公園(東京都武蔵野市)
  • 那覇空港(沖縄県那覇市)
  • 糸満漁港(沖縄県糸満市)

4.事件の裏側

  • 陣馬高原(東京都八王子市)

登場人物

1.倉敷から来た女

  • 十津川省三:
    警視庁捜査一課の警部。主人公。
  • 亀井定雄:
    警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の相棒。
  • 西本明:
    警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の部下。
  • 日下淳一:
    警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の部下。
  • 北条早苗:
    警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の部下。
  • 清水新一:
    警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の部下。
  • 浅井美弥子:
    倉敷美観地区にある民芸店の店主。車が高梁川に転落して意識不明の重体。
  • 森下源三:
    67歳。森下興業の社長。資産家。心不全で死亡する。
  • 青木かずみ:
    29歳。森下源三の秘書。中野のマンションに在住。
  • 佐山:
    岡山県警の刑事。
  • 原田勇:
    27歳。倉敷市内にある建設会社の社員。浅井美弥子がかつて働いていた会社の同僚。
  • 白木:
    森下源三の顧問弁護士。
  • 友千代:
    赤坂の芸者。森下源三の愛人。
  • 古川麗子:
    45歳。P化粧品の社長。元女優。杉並区浜田に在住。
  • 久保圭介:
    35歳。フリーカメラマン。古川麗子の恋人。四ツ谷三丁目にあるマンションに在住。
  • 浅井義子:
    32歳。倉敷市に在住。四谷にあるNホテルの中庭で死体となって発見された。

2.初夏の海に死ぬ

短編集「日本縦断殺意の軌跡」に収録。下記を参照↓↓

→「日本縦断殺意の軌跡

3.殺しの風が南に向う

  • 十津川省三:
    警視庁捜査一課の警部。主人公。
  • 亀井定雄:
    警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の相棒。
  • 伊地知:
    警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の部下。最近、十津川班に配属された若手刑事。九州出身。
  • 北条早苗:
    警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の部下。
  • 若林:
    錦糸町にある寿司屋の店主。
  • 玉城勝男:
    錦糸町にある「沖縄料理の店」の主人。沖縄市出身。
  • 玉城冴子:
    玉城勝男の妻。現在行方不明。糸満市出身。
  • 文子:
    玉城冴子の母親。糸満市在住。
  • 知念:
    沖縄県警の刑事。
  • 浜野譲:
    C興産の社長。世田谷区松原に在住。詐欺の前科あり。
  • 安田:
    浜野譲の用心棒。

4.事件の裏側

  • 十津川省三:
    警視庁捜査一課の警部。主人公。
  • 亀井定雄:
    警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の相棒。
  • 西本明:
    警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の部下。
  • 日下淳一:
    警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の部下。
  • 北条早苗:
    警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の部下。
  • 三上刑事部長:
    刑事部長。十津川警部の上司。
  • 北原真理:
    六本木にあるクラブ「柴」のホステス。六本木のマンションに在住。陣馬高原の雑木林で死体となって発見された。
  • 織田真一郎:
    代議士。改進党の党首。
  • 木下三郎:
    K商事に勤務。
  • みどり:
    六本木にあるクラブ「柴」のホステス。
  • 赤木:
    新宿区役所の職員。北原真理の大学時代の同級生。
  • 谷沢正:
    目黒にあるバー「イレブン」の店主。北原真理の大学時代の恋人。
  • 近藤要:
    政治評論家。
  • 佐野宏:
    35歳。織田真一郎の秘書。
  • 清沢克己:
    60歳。東京駅のコインロッカーの管理会社「Kサービス」の社長。政治家。
  • 古田:
    筆跡鑑定の専門家。
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印象に残った名言、名表現

■倉敷美観地区。

川の両面に、明治から大正時代にかけてのもと思われる建物が、ずらりと並んでいる。旅館、証券会社、掛茶屋風の喫茶店、手打ちそばの店、民芸品店、全て、古めかしい。

倉敷川自体も、石垣でかためられ、大きな鯉が、悠然と泳いでいる。川にかかる橋も。中国風の石橋である。

感想

本作は、倉敷、沖縄、熱川、八王子を舞台とした短編集である。トリックではなく、真犯人や事件の真相の意外性で攻めた作品がメインであった。

4作品でひとつを挙げるならば、表題作「倉敷から来た女」である。倉敷美観地区を観光者の視点でしっかりと描いているし、全部読み終わった時に、作品タイトルの意味をじっくり味わえる作品であるからだ。

最後に、西村京太郎先生のことばを紹介しておく。

旅行して、ある町に着く。その町が、どこにでもある、型にはまった姿しか見せてくれないと、がっかりする。ミニ銀座だったり、ミニ原宿だったりすると、何のために、ここまで旅して来たのかと思う。その点、倉敷は、旅人を喜ばせる町である。美観地区のクラシックなたたずまいと、有名な大原美術館を見ただけでも、嬉しくなり、この町に住む女性は、どんな顔立ちだろうかと、想像したくなってくる。

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