初版発行日 1982年5月10日
発行出版社 講談社
スタイル 長編
私の評価
【POINT】
犯人を追う十津川警部の前に、時間の壁が立ちふさがる!トラベル・ミステリー会心作!
犯人を追う十津川警部の前に、時間の壁が立ちふさがる!トラベル・ミステリー会心作!
あらすじ
東京と、長崎とをつなぐ寝台特急「さくら」。その列車に博多から乗った警視庁の日下(くさか)刑事は、深夜の洗面所で倒れている女性を発見した直後、何者かに頭を殴られた。そして、意識が戻ってみると、女性の“死体”は列車から消えていた。いったいどんなトリックが……?
小説の目次
- 消える
- 女の周辺
- 女弁護士
- 謎が増えた
- 誘拐
- 第二の犠牲者
- 過去の秘密
- セノハチ越え
- 最後の壁
- 終局へ
冒頭の文
ちょっとうとうとして、眼をさますと、日下の乗った「上りさくら」は、どこかの駅に停まっていた。
小説に登場した舞台
- 特急「さくら」
- 糸崎駅(広島県三原市)
- 岡山駅(岡山県岡山市北区)
- 大阪駅(大阪府大阪市北区)
- 東京駅(東京都千代田区)
- 福岡空港(福岡県福岡市博多区)
- 特急「みどり9号」
- 佐世保駅(長崎県佐世保市)
- 門司駅(福岡県北九州市門司区)
- 下関駅(山口県下関市)
- 特急「踊り子5号」
- 熱海駅(静岡県熱海市)
- 修善寺駅(静岡県伊豆市)
- 三島駅(静岡県三島市)
- 浜松駅(静岡県浜松市中区)
- 広島駅(広島県広島市南区)
- 瀬野駅(広島県広島市安芸区)
- 八本松駅(広島県東広島市)
登場人物
警視庁捜査一課
- 十津川省三:
警視庁捜査一課の警部。主人公。 - 亀井定雄:
警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の相棒。 - 西本明:
警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の部下。 - 日下淳一:
警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の部下。 - 本多時孝:
警視庁捜査一課長。十津川警部の上司。
事件関係者
- 日下正幸:
日下刑事の兄。博多新報の社長。自殺した。 - 日下直子:
日下正幸の妻。日下刑事の義姉。 - 佐々木由紀:
新人タレント。サンプロダクション所属。新宿西口のマンションに在住。熊本出身。転落死体となって発見された。 - 西尾伸一郎:
保守党の代議士。運輸政務次官。佐々木由紀のパトロン。博多の生まれ。 - 君島:
西尾伸一郎の秘書。 - 結城多加子:
四谷に事務所をかまえる弁護士。 - 青柳源一郎:
西尾伸一郎がオーナーである「中央ローン」の副社長。博多の生まれ。何者かに誘拐された後、京王多摩川にある建売住宅の中で死体となって発見された。 - 青柳静子:
青柳源一郎の妻。 - 島崎文代:
22年前、滝口フミ殺害事件の発見者。 - 小高哲夫:
30歳。元国鉄職員。 - 寺田徹:
25歳。元国鉄職員。 - 若月伍郎:
27歳。演歌歌手。 - 木見潤:
サンプロダクションのマネージャー。 - 菊池:
サンプロダクションの社長。 - 東田ゆり:
歌手。秋田出身。 - 林卓郎:
日本食堂の社員。 - 加藤:
瀬野駅の駅長。 - 前田:
静岡県警の警部。
感想
本作は、壮大な列車トリックだったと思う。
十津川警部シリーズといえば、列車トリックであり、手を変え品を変え、いろいろなトリックが使われていた。しかし、本作ほど、壮大で、かつ綿密に列車トリックの検証とアリバイ崩しが行われた作品は多くはない。
また、犯人像や容疑者も二転三転する展開で、最後まで、どうなるかわからない、ハラハラ・ドキドキする展開が続いた。
本格的な列車トリックを味わいたい方におすすめの作品である。
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