初版発行日 1988年3月25日
発行出版社 角川書店
スタイル 長編
私の評価
【POINT】
莫大な遺産をめぐり、愛人と息子達の骨肉の争い。土壇場に追いつめられた十津川警部に策はあるのか?時刻表トリックに挑む興奮のトラベルミステリー!!
莫大な遺産をめぐり、愛人と息子達の骨肉の争い。土壇場に追いつめられた十津川警部に策はあるのか?時刻表トリックに挑む興奮のトラベルミステリー!!
あらすじ
十津川警部に、ラジオ深夜放送のリクエスト葉書を使って、殺人を予告する卑劣な挑戦状が届く。やがてゴールデンウィーク最終日、特急「有明」の車内で殺人が起こる。被害者は、不動産業などで莫大な資産をもつ小堀忠男。彼には、二人の息子と五人の愛人がおり、それぞれに遺産を分配する遺言状があった。骨肉の遺産争いかと思われた矢先、第二の殺人が……。
小説の目次
- 予告
- 被害者の顔
- 二つの推理
- 新たな事件
- BMW
- 火の国
- 再検討
- 遺言の裏
冒頭の文
十津川が、出勤すると、若い清水刑事が、遠慮がちに、「警部のフルネームは、十津川省三でしたね?」と、きいた。
小説に登場した舞台
- 隅田公園(東京都墨田区)
- 特急「有明」
- 東京駅(東京都千代田区)
- 宮崎駅(宮崎県宮崎市)
- 大分駅(大分県大分市)
- 急行「由布6号」
- 久留米駅(福岡県久留米市)
- 瀬高駅(福岡県みやま市)
- 博多駅(福岡県福岡市博多区)
- 晴海埠頭(東京都中央区)
- 阿蘇くまもと空港(熊本県・益城町)
- 宮崎空港(宮崎県宮崎市)
- 小倉駅(福岡県北九州市小倉北区)
- 二日市駅(福岡県筑紫野市)
- 福山駅(広島県福山市)
登場人物
警視庁捜査一課
- 十津川省三:
警視庁捜査一課の警部。主人公。 - 亀井定雄:
警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の相棒。 - 西本明:
警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の部下。 - 日下淳一:
警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の部下。 - 清水新一:
警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の部下。
警察関係者
- 北川:
38歳。熊本県警の警部。 - 永山:
熊本県警の刑事。 - 立花:
警視庁初動捜査班の警部。
事件関係者
- 小堀忠男:
65歳。小堀興業の社長。田園調布の豪邸に在住。特急「有明」の車内で何者かに殺害される。 - 小堀明:
小堀忠男の長男。小堀忠男の死後、小堀興業の社長に就任した。小堀忠男の遺産相続者の一人。 - 小堀功:
小堀忠男の次男。成城の豪邸に在住。小堀忠男の遺産相続者の一人。 - 岡部ゆう子:
麻布にあるクラブのママ。小堀功の恋人。四谷三丁目のマンションに在住。小堀忠男の遺産相続者の一人。自宅で死体となって発見された。 - 羽島かおり:
32歳。新橋にあるクラブのママ。小堀忠男の遺産相続者の一人。晴海埠頭に沈んでいた車の中で死体となって発見された。 - 井上ユカ:
29歳。渋谷道玄坂にあるブティック「YUKA」のオーナー。吉祥寺のマンションに在住。小堀忠男の遺産相続者の一人。自宅で死体となって発見された。 - 三林可菜子:
38歳。マンションのオーナー。つつじヶ丘のマンションに在住。小堀忠男の遺産相続者の一人。自宅で死体となって発見された。 - 山本和子:
アマチュアカメラマン。元モデル。新宿西口のマンションに在住。小堀忠男の遺産相続者の一人。 - 山本:
62歳。小堀忠男の顧問弁護士。四谷に事務所をかまえる。 - 角田すみ江:
53歳。小堀功の母親。小堀忠男の愛人。熊本市内にある旅館「かどた」の女将。
その他の登場人物
- 池島トオル:
30歳。タレント。中央ラジオの「午前一時のリクエスト」のDJ。 - 吉田:
特急「有明」の車掌。 - 山下要介:
特急「富士」の車掌。 - 酒井:
52歳。久留米駅の助役。 - 小堀冴子:
小堀明の妻。 - 小堀純:
6歳。小堀明と冴子の息子。 - 鈴木優子:
小堀明の叔母。 - 三島:
M銀行四谷支店の行員。 - 大木光明:
小堀功の大学時代の友人。レストランを経営している。 - 渡辺:
南青山にある外車専門カーディーラーのセールスマン。 - 小原:
大阪にある電気店の店主。 - 安藤のぶ子:
30歳。渋谷にあるクラブのホステス。かつて小堀忠男と付き合っていた。 - 吉岡はるみ:
20歳。井上ユカが営むブティック「YUKA」の店員。
感想
本作は、社長の莫大な遺産をめぐる、血みどろの争いが起こした殺人事件だった。
殺された社長が遺書で、遺産相続人に指定したのは、長男と次男、さらに5人の愛人だった。そのため、犯人はこの7人の中の誰かだと考えられる。
ミステリーとしては、この7人の中からの犯人当てと、犯人がほどこした時刻表トリックを崩すことであった。時刻表トリックについては、熊本県警と十津川警部たちの緻密な捜査と検証で見破る。
だが、真犯人は容疑者が二転三転し、最後の最後までわからない。ここが本作の面白さであった。
全体的にスピード感があり、登場人物たちの人間関係も理解しやすい。読みやすい作品だと思う。
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