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「十津川警部C11を追う」感想レビュー。あらすじ、舞台、登場人物

十津川警部C11を追う小説

初版発行日 1991年10月5日
発行出版社 講談社
スタイル 短編集

私の評価 4.2

POINT】
転覆した列車に仕掛けられた青春の罠!大井川に転落した蒸気機関車。犯人は十津川警部の親友か。苦渋に満ちた捜査の結果は!
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あらすじ

1.二階座席の女

休暇を利用して、亀井刑事は、電車マニアの息子・健一とともに、スーパービュー踊り子号の二階席に乗車した。が、その二階席に乗っていた女が毒殺された。殺された女は、亀井刑事の名刺をにぎりしめていた。さらに、女の家には、亀井刑事に暴行を受けたと書かれた弁護士からの手紙が置かれていた!亀井刑事は罠にハメられたのか?

2.十津川警部C11を追う

十津川警部は、高校時代の親友の宮下が復讐を企んでいると聞かされた。相手は、八年前、大型バンの事故で宮下が妻を亡くした際、車に乗車していた五人の同窓生。宮下を信じる十津川だが、その五人を乗せたC11型蒸気機関車の一両が、橋から転落したという情報が!犯人は本当に宮下か!?

3.北の廃駅で死んだ女

写真家の河西は廃線になった、天北線をカメラにおさめるために、北海道へ出かけた際、山軽駅で女性の死体を発見する。殺された女は東京のモデル・戸上みどり。北海道警の協力依頼があり、十津川警部たちが捜査を開始し、容疑者の男3名が浮上する。三上刑事部長は、なぜか容疑者の男を気にしていて……。

4.死への近道列車

詐欺師の平山は、ホステスのあけみを殺そうと綿密に計画していた。すべての準備が整い、彼女のマンションに行き、隙をみて彼女を殺そうとした時、何者かに後ろから殴られ気絶する。気がついたら、あけみが部屋で刺殺されていた。さらに、自分の預金通帳と、逃走のために用意した成田エクスプレスの切符と香港行きの航空券も奪われていた!

小説に登場した舞台

1.二階座席の女

  • スーパービュー踊り子号
  • 伊東駅(静岡県伊東市)

2.十津川警部C11を追う

  • 東京駅(東京都千代田区)
  • 静岡駅(静岡県静岡市葵区)
  • 金谷(静岡県島田市)
  • 大井川第一橋梁(静岡県島田市)
  • 寸又峡温泉(静岡県・川根本町)
  • 千頭駅(静岡県・川根本町)

3.北の廃駅で死んだ女

  • 千歳空港(北海道千歳市)
  • 音威子府駅(北海道・音威子府村)
  • 山軽駅(北海道・浜頓別町)
  • 浜頓別駅(北海道・浜頓別町)

4.死への近道列車

  • 新宿駅(東京都新宿区)
  • 成田エクスプレス
  • 成田空港(千葉県成田市)
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登場人物

1.二階座席の女

  • 十津川省三:
    警視庁捜査一課の警部。主人公。
  • 亀井定雄:
    警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の相棒。
  • 西本明:
    警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の部下。
  • 日下淳一:
    警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の部下。
  • 清水新一:
    警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の部下。
  • 本多時孝:
    警視庁捜査一課長。十津川警部の上司。
  • 亀井健一:
    亀井刑事の息子。
  • 亀井公子:
    亀井刑事の妻。
  • 片桐とも子:
    28歳。銀座にあるクラブSのホステス。元モデル。中野駅近くのマンションに在住。スーパービュー踊り子号の2階席で毒殺された。
  • 青木:
    伊東署の刑事。
  • 森口:
    伊東署の刑事。
  • 古賀千香子:
    スーパービュー踊り子号のビューレディ。
  • 村田:
    西新宿に事務所をかまえる弁護士。
  • 谷川:
    村田法律事務所の弁護士。
  • 中村ひろみ:
    谷川弁護士の娘。今年の八月に暴走行為をしていた男の助手席に乗り、事故を起こして死亡した。
  • 田口:
    中央新聞社会部の記者。十津川警部の大学時代の同級生。

2.十津川警部C11を追う

  • 十津川省三:
    警視庁捜査一課の警部。主人公。
  • 亀井定雄:
    警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の相棒。
  • 西本明:
    警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の部下。
  • 三田:
    十津川警部の高校時代の同級生。
  • 宮下:
    十津川警部の高校時代の親友。阿佐ヶ谷のマンションに在住。8年前、同級生5人と妻で旅行をした時、車が事故を起こして妻が死亡した。現在、死んだ元妻の妹と再婚することになった。
  • 竹中みよ子:
    十津川警部の高校時代の同級生。女優。芸名は江口亜紀。
  • 鈴木みどり:
    十津川警部の高校時代の同級生。主婦。
  • 八木章二:
    十津川警部の高校時代の同級生。
  • 中西文明:
    十津川警部の高校時代の同級生。
  • 高梨啓一郎:
    十津川警部の高校時代の同級生。
  • 原可奈子:
    十津川警部の高校時代の同級生。大手の自動車会社でセールスをしている。
  • 関根:
    大井川鐵道の社員。
  • 三浦:
    静岡県警の警部。

3.北の廃駅で死んだ女

  • 十津川省三:
    警視庁捜査一課の警部。主人公。
  • 亀井定雄:
    警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の相棒。
  • 西本明:
    警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の部下。
  • 日下淳一:
    警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の部下。
  • 本多時孝:
    警視庁捜査一課長。十津川警部の上司。
  • 三上刑事部長:
    本部長。十津川警部の上司。
  • 河西:
    写真家。戸上みどりの死体の第一発見者。
  • 三浦:
    北海道警の刑事。
  • 前島:
    北海道警の刑事。
  • 佐伯:
    北海道警の警部。
  • 戸上みどり:
    東京のモデルクラブ「KMG」に所属するモデル。廃駅となった山軽駅で死体となって発見された。
  • 永井哲也:
    30歳。Kテレビのプロデューサー。戸上みどりと親しくしていた。
  • 久保田剛:
    26歳。テレビタレント。戸上みどりと親しくしていた。
  • 原田利夫:
    26歳。売れないシナリオライター。M製薬の社長の息子。戸上みどりと親しくしていた。
  • 河西京子:
    河西の妹。大学三年生。水戸に在住。

4.死への近道列車

  • 十津川省三:
    警視庁捜査一課の警部。主人公。
  • 亀井定雄:
    警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の相棒。
  • 西本明:
    警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の部下。
  • 日下淳一:
    警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の部下。
  • 北条早苗:
    警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の部下。
  • 清水新一:
    警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の部下。
  • 平山実:
    34歳。詐欺師。中野のマンションに在住。
  • 井上冴子:
    銀座のクラブ「フリージア」のホステス。源氏名はあけみ。初台駅近くのマンションに在住。自宅マンションで何者かに刺殺された。
  • 新井:
    K組の組員。
  • ひろこ:
    銀座のクラブ「フリージア」のホステス。
  • 小島祐一郎:
    売れない俳優。

印象に残った名言、名表現

(1)愛憎。

恐らく、彼女を、谷川は、溺愛し、同時に、憎んでいたのだろう。

(2)老いを感じる瞬間。

おかしなもので、自分だけは、昔の通りの若さを保っていると、錯覚しているのだ。精神的には、若さは保てる。だが、悲しいことに、肉体は、どんどん衰えて、変っていく。そのことを、嫌でもわからされてしまう瞬間というものがある。

(3)決め台詞。

「君は、乗れないんだよ。君が行くのは、香港じゃなくて、刑務所だ」

感想

今回収録された4作品は、いずれ劣らぬ、秀作である。長編もすばらしい西村京太郎先生だが、やはり、短編も上手だ。いや、スピード感と構成力が秀逸なので、むしろ、短編のほうが上手なのではないかとさえ思えてくる。

今回の4作品の優秀作をひとつ挙げるなら、表題となった「十津川警部C11を追う」だろう。十津川警部の高校時代の同級生の間でおきた、殺人事件というのがそもそも興味深い。

さらに、動機も十分な明らかに怪しい人物に、罪をなすりつける真犯人が、十津川の身近にいたという結末もおもしろかった。この作品をさらに深堀りして、長編にしてもらいたかったくらいである。

あともう一つ。4作目の「死への近道列車」も秀作。とくに、ラストシーンは、ピリッとしたジョークが効いていて、クスッと笑える結末になっている。

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