初版発行日 2018年12月1日
発行出版社 角川書店
スタイル 長編
私の評価
【POINT】
十津川は真犯人を炙り出すため、前代未聞の奇策を放つ!
十津川は真犯人を炙り出すため、前代未聞の奇策を放つ!
あらすじ
京王多摩川の河原で発見された30代男性の刺殺体。現場で見つかった白い封筒の中には「大義」と書かれた紙が入っていた。十津川警部が捜査を開始すると、続けざまに20代のOL、60代の大学教授が死体で発見され、どの現場にも「大義」の文字が残されていた。十津川は被害者の過去を調べ、被害者の父親か祖父が戦時中に陸軍の航空機にかかわっていたという共通点に気づく。連続殺人犯の動機を辿り、捜査のために鹿児島・知覧へ向かう十津川。
小説の目次
- 「大義を知っていますか?」
- 歴史認識について
- 知覧への旅
- 生と死
- 会話(一)
- 会話(二)
- 第三の録音
冒頭の文
その日、十月一日は日曜日だった。前日まで、暖かい日が続いていたが、今日は朝から肌寒く、昼になっても、気温が上がらなかった。
小説に登場した舞台
- 京王多摩川(東京都調布市)
- 鹿児島中央駅(鹿児島県鹿児島市)
- 知覧武家屋敷庭園(鹿児島県南九州市)
- 知覧特攻平和会館(鹿児島県南九州市)
- 羽田空港(東京都大田区)
- 鹿児島空港(鹿児島県霧島市)
- 観光特急「指宿のたまて箱」
- 指宿駅(鹿児島県指宿市)
- 枕崎駅(鹿児島県枕崎市)
- 指宿温泉(鹿児島県指宿市)
- 西大山駅(鹿児島県指宿市)
- 喜入駅(鹿児島県鹿児島市)
登場人物
警視庁捜査一課
- 十津川省三:
警視庁捜査一課の警部。主人公。 - 亀井定雄:
警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の相棒。 - 日下淳一:
警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の部下。 - 北条早苗:
警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の部下。 - 三上刑事部長:
刑事部長。十津川警部の上司。
事件関係者
- 井崎要介:
30歳。有楽町にある中央新聞の記者。調布市内のマンションに在住。京王多摩川の河原で死体となって発見された。 - 木内愛花:
25歳。大手町にある商事会社に勤務。阿佐ヶ谷のマンションに在住。自宅で死体となって発見された。 - 高橋晋太郎:
65歳。T大学の教授。現代史が専門。自宅近くのR公園で死体となって発見された。 - 榊原栄:
作家。世田谷区烏山のマンションに在住。
その他の登場人物
- 中島:
中央新聞のデスク。 - 田中明:
26歳。木内愛花の同僚。 - 木内徳久:
木内愛花の父親。N自動車の社長。 - 木内憲徳:
木内徳久の父親。戦前から戦中にかけてN航空の社長だった。すでに他界している。 - 田村:
T大学の教授。現代史が専門。 - 井口勝:
90歳。元神奈川県警の刑事。現在は伊豆の老人ホームに入居している。戦争体験者。 - 渡辺:
T大学の准教授。特攻を研究している。 - 高橋進:
35歳。高橋晋太郎の息子。大学の准教授。現代史が専門。 - 山脇剛:
24歳。新宿にある会社に通うサラリーマン。立川駅近くのマンションに在住。 - 山田雄太郎:
90歳。鹿児島市内でラーメン店を営む息子夫妻と暮らす。
感想
本作は、太平洋戦争の特攻について、改めて考えさせられる作品であった。
十津川警部が鹿児島県にある知覧特攻平和会館に訪れ、戦争や特攻について思いを馳せるシーンがあるが、これは、読者にも一緒になって思いを馳せてほしいという、西村京太郎先生のメッセージだったと思う。
また、知覧武家屋敷庭園を訪れた際、ここを大河ドラマ「西郷どん」のロケ地だと紹介していた。歴史をテーマにしながらも、その時代のトピックを入れているのは興味深い。
はっきり言えばミステリーは飾りで、特攻がテーマの作品だと思う。
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