初版発行日 1999年1月25日
発行出版社 実業之日本社
スタイル 長編
私の評価
【POINT】
部下の命を狙う謎の男の正体は!?十津川警部を襲う連続爆弾テロ事件!
部下の命を狙う謎の男の正体は!?十津川警部を襲う連続爆弾テロ事件!
あらすじ
西本刑事は婚約者と長島温泉に泊まった。翌朝、二人が借りたレンタカーが何者かに爆破され、ボーイが死亡。部屋に「必ず殺してやる」という脅迫の電話が。犯人は西本か警察に恨みを持ち、復讐を狙っているのか。そして次々と襲撃事件がおこり、十津川警部が捜査に乗り出した!
小説の目次
- 不安への旅立ち
- 死体が誘う
- 姿なき共犯者
- 六月二日
- 海岸の狙撃
- 噂の真実
- 決戦
冒頭の文
西本刑事は、大学の先輩の紹介で、四谷のホテルで、見合いをした。
小説に登場した舞台
- 名古屋駅(愛知県名古屋市中村区)
- 長島温泉(三重県桑名市)
- 井の頭公園(東京都武蔵野市)
- 京王多摩川(東京都調布市)
- 秋保温泉(宮城県仙台市太白区)
- 羽田空港(東京都大田区)
- 那覇空港(沖縄県那覇市)
登場人物
警視庁捜査一課
- 十津川省三:
警視庁捜査一課の警部。主人公。 - 亀井定雄:
警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の相棒。 - 西本明:
警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の部下。 - 日下淳一:
警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の部下。 - 北条早苗:
警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の部下。 - 三田村功:
警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の部下。 - 田中大輔:
警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の部下。 - 片山明:
警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の部下。 - 本多時孝:
警視庁捜査一課長。十津川警部の上司。 - 三上刑事部長:
刑事部長。十津川警部の上司。
警察関係者
- 中村:
30歳。井の頭公園派出所の巡査部長。公園内の死体を調べていたところ爆弾が爆発して死亡する。 - 小野:
23歳。井の頭公園派出所の巡査。 - 三浦:
三鷹署の刑事。 - 田沢:
警視庁爆発物処理班。 - 中村:
化研の技官。 - 鈴木:
南烏山派出所の巡査部長。 - 原田:
南烏山派出所の巡査。 - 三浦:
宮城県警捜査一課の警部。村瀬正一郎の捜査で十津川班に協力した。秋保温泉で事件の捜査をしている最中に、何者かに撃たれて死亡した。 - 吉田:
宮城県警捜査一課の刑事。村瀬正一郎の捜査で十津川班に協力した。 - 青山:
宮城県警の刑事。 - 本田:
三重県警の刑事。 - 中西:
三重県警の刑事。 - 十津川直子:
十津川警部の妻。 - 亀井公子:
亀井刑事の妻。 - 木原亜矢:
23歳。銀座の矢田法律事務所で事務員をしている。西本刑事の見合い相手。愛知県常滑市出身。 - 田島:
中央新聞社会部の記者。十津川警部の大学時代の同級生。
事件関係者
- 原口悠:
19歳。長島温泉ホテルHのボーイ。大学生。レンタカーに仕掛けられた爆弾で死亡する。 - 大森:
長島温泉ホテルHのボーイ。 - 柴田治男:
59歳。鳥取県出身。前科持ちのホームレス。井の頭公園で死体となって発見された後、爆発で身体が吹き飛んだ。 - 村瀬正一郎:
自衛隊OB。3年前の夏、練馬区の爆弾魔の犯人と思われた男。十津川班が逮捕しようとしたところ、自宅で爆弾を爆発させ死亡した。 - 村瀬明:
村瀬正一郎の弟。元自衛隊。 - 日比野真:
40歳。長島温泉近くの自転車屋の主人。海岸で釣りをしていたところ、何者かに撃たれて死亡した。 - 中根由美:
当時17歳。都内の高校3年生。3年前、西本刑事が逮捕した事件で、人質になり死亡した。 - 中根正三:
42歳。中根由美の父親。陸上自衛隊に勤務していたが、去年の12月に退職。いまは大垣に戻っている。
その他の登場人物
- 矢田:
木原亜矢が勤める法律事務所の社長弁護士。元東京地検の検事。 - 吉沢真也:
29歳。タレント。 - 井手:
週刊Kの編集長。 - 内村:
原口悠と同じ大学に通う大学生。 - 長谷川:
新宿にあるS組の幹部。 - 剣持進:
26歳。西本刑事の大学時代の友人。2年前、殺害容疑で西本刑事が逮捕した。その後服役したが、1週間前に出所。 - 佐藤:
西本刑事の大学時代の同級生。三鷹市に在住。 - 神木:
陸上自衛隊朝霞駐屯地の二佐。 - 森田:
文章の専門家。 - 笠井君枝:
35歳。主婦。警視庁主催のバザーに参加していた。
印象に残った名言、名表現
(1)春の知多半島。
時々、眼に入ってくる桜は、満開だった。中には、もう葉桜になってしまっているものもある。今年は、暖冬だったので、桜の開花も早くなっているのだろう。
(2)刑事の習性。
おかしなもので、自分のことは、あまり、心配にならないのに、他人のことは、やたらに、気になるのだ。
感想
今回は、警視庁捜査一課、十津川班に恨みをもった男が起こした、連続殺人事件である。
普段は捜査する側の刑事たちが狙われる。ここにものすごい緊張がある。自分たちと家族を守りながら、犯人を捕まえなければならないからだ。
これまで数多くの事件を解決してきた十津川班。当然、多くの人に恨みをかっており、犯人の断定が難しい。これに対して、警察側は、いつ、誰が、どうやって狙われるかもわからない。テロと同じなのである。
敵の姿がみえないところに、恐怖感がある。本作は、全体を通じて、この得体の知れない恐怖と緊張感に、包まれていた。
最後は、100名以上の刑事を動員した大捜査線がひかれる。敵が罠をしかけ、十津川警部も罠をしかける。
息詰まる心理戦が堪能できる。
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