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十津川警部捜査行「外国人墓地を見て死ね」感想レビュー。あらすじ、舞台、登場人物

外国人墓地を見て死ね小説

初版発行日 2009年9月10日
発行出版社 祥伝社
スタイル 長編

私の評価 3.6

POINT】
墓碑銘に秘められた謎。十津川警部、横浜で哀しき事件に遭遇。歴史の闇に消えた巨額遺産の行方は?
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あらすじ

警視庁捜査一課の西本刑事は、相談があるという大学の同窓生・篠塚美奈に会うため、横浜の外国人墓地に赴いた。だがそこで待っていたのは、女性の刺殺体だった。所持していた免許証から、被害者は篠塚美奈と判明。しかし、西本の知る美奈ではない。同姓同名の女性が偶然殺害されたのか?西本は現場となった墓地を調べ始める。一方、東京・新橋ではその墓地に眠る女性の親族が殺害され、十津川警部が出動。やがて巨額遺産の存在が浮上する。二つの事件の関係とは?殺された女の正体とは?

なぜ、篠塚美奈と同姓同名の女性が、横浜外国人墓地で殺されていたのか?

小説の目次

  1. ヨコハマ
  2. 一つの歴史
  3. 殺人の交叉
  4. ある名簿
  5. 弁護士の使命
  6. 真偽の間
  7. 別れの花束

冒頭の文

警視庁捜査一課の西本刑事は、ベッドに、横になって、テレビを見ていた時、懐かしい女の声の、電話を受けた。

小説に登場した舞台

  • 横浜駅(神奈川県横浜市西区)
  • 横浜外国人墓地(神奈川県横浜市中区)
  • 横浜中華街(神奈川県横浜市中区)
  • 横浜ロイヤルパークホテル(神奈川県横浜市西区)
  • 横浜市役所(神奈川県横浜市中区)
  • 鎌倉(神奈川県鎌倉市)
  • 帝国ホテル東京(東京都千代田区)
  • 成田空港(千葉県成田市)
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登場人物

警視庁捜査一課

  • 十津川省三:
    警視庁捜査一課の警部。主人公。
  • 亀井定雄:
    警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の相棒。
  • 日下淳一:
    警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の部下。
  • 西本明:
    警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の部下。
  • 北条早苗:
    警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の部下。
  • 三田村功:
    警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の部下。
  • 三上本部長:
    刑事部長。十津川警部の上司。

事件関係者

  • 篠塚美奈:
    デザイン会社「ベイグラフィック」に勤務。西本刑事の大学時代の同級生。ケイコ・トーマスの親戚にあたる。
  • 山崎美香:
    元町商店街にあるブランドショップを営む。横浜外国人墓地で死体となって発見される。
  • 狩野仁:
    30歳。ノンフィクション作家。ケイコ・トーマスの子孫。新橋のホテルで殺されていた。
  • 新藤ゆかり:
    篠塚美奈の同僚で友人。
  • K・サユリ:
    弁護士。ケイコ・トーマスの遺産調停を担当している。
  • 加藤伸二:
    K・サユリの夫。弁護士。
  • マイク・トーマス:
    トーマス商会の社長。ケイコ・トーマスの孫。

その他の登場人物

  • 川口:
    神奈川県警の警部。
  • 五十嵐:
    横浜外国人墓地を管理している財団法人Sの職員。
  • 大下:
    音響学研究所の所長。

印象に残った名言、名表現

(1)横浜外国人墓地の概要。

外国人墓地は、幕末に、事故死した水兵を、横浜を一望できる丘に、埋葬したのが始まりで、一八五〇年代から一九〇〇年代の、戦前までの死者が、多いという。大部分は、人種、宗教に関わりなく、明治維新の頃、日本の学術や産業に尽くしてくれた、外国人の墓である。

(2)捜査が行き詰まったときは、根本に立ち戻る。

「今回の一連の事件を、もう一度、根本に、立ち戻って考える必要があると、思うのです。」

感想

本作は、莫大な遺産をめぐっておきた、殺人事件である。

この莫大な遺産は、昭和12年、アメリカ人のトーマス商会社長と、日本人女性・狩野恵子が結婚したことに端を発する。遺産相続の額は莫大で、なんと1億ドル以上。そして、70年もの歳月を経た、壮大な遺産相続なのだ。

時空を超え、日米の国境を超えた、美しい遺産相続である。だが、これだけのお金が絡んでいれば、そのお金を掠め取ろうとする輩が現れるのが、人の世というもの。

この事件は、そんなハイエナたちが起こした、殺人事件であった。

事件の発端にからんだ西本刑事をはじめ、十津川班、神奈川県警の合同捜査によって、事件の全体像が明らかになっていく。

犯人、共犯者の存在がなかなか浮上しない。一体、真犯人は誰なのか?

答えは本作を読んでほしいが、”意外な人物だった”とだけ、言っておこう。ここに、ミステリーのツボがある。

最後に、本作刊行にあたって、西村京太郎先生が発表した「作者のことば」を紹介しておく。

ヨコハマの外国人墓地に行き、さまざまな形の墓石を見る度に、ここに眠る人たちの子孫は、今、何処に住み、何をしているのだろうかと思う。

今は、母国に住み、命日には、花束を持って、ヨコハマにやってくるのだろうか。それとも、子孫の方が、今もヨコハマに住み、毎日、外国人墓地に花束を捧げているのだろうか。

私は、外国人墓地に行く度に、さまざまな空想のとりこになってしまう。たぶん、他の墓地とは違った独特の雰囲気を持っているからだろう。

 

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