初版発行日 2018年1月20日
発行出版社 新潮社
スタイル 長編
私の評価
【POINT】
速度超過を犯した運転士。彼は何を見たのか?
速度超過を犯した運転士。彼は何を見たのか?
あらすじ
広島電鉄の若い運転士が路面区間で制限速度を20キロ超過する不祥事を起こし、処分を受けた。そして、停職中の彼が暴漢に襲われる事態に。東京では彼の高校の同級生だった鉄道雑誌の女性カメラマンへの殺人未遂事件が発生。二つの事件に繋がりを感じた十津川警部の前に、七年前に長野県渋温泉で起きた殺人事件が浮び上がる。そして、連続殺人の現場は、広島電鉄宮島線へ。
小説の目次
- グリーンムーバー
- 監視カメラ
- 七年前の殺人
- 過去を追う
- 親衛隊の死
- 奇妙な脅迫状
- わが愛する広島電鉄
冒頭の文
「月刊鉄道新時代」では、来月号で、広島電鉄の特集を予定している。
小説に登場した舞台
- 広島駅(広島県広島市南区)
- 広電西広島駅(広島県広島市西区)
- 広電宮島口駅(広島県廿日市市)
- 宮島(広島県廿日市市)
- 厳島神社(広島県廿日市市)
- 紙屋町西駅(広島県広島市中区)
- 広電本社前駅(広島県広島市中区)
- 八丁堀(広島県広島市中区)
- 長野駅(長野県長野市)
- 湯田中駅(長野県・山ノ内町)
- 渋温泉(長野県・山ノ内町)
登場人物
警視庁捜査一課
- 十津川省三:
警視庁捜査一課の警部。主人公。 - 亀井定雄:
警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の相棒。 - 日下淳一:
警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の部下。 - 北条早苗:
警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の部下。 - 三上刑事部長:
刑事部長。十津川警部の上司。
警察関係者
- 若月:
広島県警の警部。 - 吉田:
広島中央署の刑事。 - 福井:
広島県警の警部。 - 島木:
長野県警の警部。自宅で死体となって発見された。 - 阿部:
長野県警の刑事。 - 田島:
中央新聞社会部の記者。十津川警部の大学時代の同級生。
事件関係者
- 籾山里奈:
25歳。「月刊鉄道時代」のカメラマン。三鷹のマンションに在住。自宅で何者かに殴られて負傷する。 - 高橋雄介:
25歳。広電の運転士。籾山里奈の高校時代の友人。電鉄の速度超過で一か月の謹慎中に何者かに襲われて負傷する。その後失踪した。 - 川口真一郎:
48歳。広島県選出の代議士。経産大臣。 - 小野寺ゆみ:
30歳。川口真一郎の秘書。 - 佐々木功:
小野寺ゆみの腹違いの兄。 - 三浦茂之:
30歳。新宿にある法律事務所に勤務。元川口真一郎の親衛隊。 - 渡辺義男:
中野にある中華料理店に勤務。元川口真一郎の親衛隊。近くの公園で死体となって発見された。 - 奥村不二夫:
当時36歳。政治新聞「日本NOW」の記者。7年前、渋温泉近くの林の中で死体となって発見された。 - 井本じゅり:
25歳。広島市内に住むOL。広島電鉄の事故で負傷した後、何者かに殺害された。
その他の登場人物
- 宮本彰:
30歳。「月刊鉄道時代」の編集長。 - 坂上:
広電の運転士。 - 田中:
広電の運転士。 - 花村敏江:
渋温泉にある花村旅館の女将。高橋雄介の親戚。 - 竹田:
政治新聞「日本NOW」の社長。 - 崎田:
60歳。茅ヶ崎に在住。
感想
本作は、7年前に渋温泉で起きた殺人事件が発端となった。
序盤で気になったことが一つある。十津川班が動き出すきっかけになったのが、「月刊鉄道時代」カメラマンの籾山里奈が自宅で襲われて負傷したことであるが、殺人事件でもないのに、捜査一課が動き事件を調べるためにわざわざ広島まで行くのか?と。
まぁ、その後に殺人事件が起こったから、細かいことなのかもしれないが。
本作は、犯人宛てのミステリーとは少し違う。事件の人間関係を洗い出すうちに、お偉い政治家が登場する。ミステリー好き、十津川警部シリーズ好きの読者なら、すぐに、この政治家が黒幕だと気がつくだろう。わたしもこのパターンか!とすぐに察知した。
問題は、黒幕にどこまで迫れるか?ということである。政治家だから、実行犯は別にやらせているのは当たり前である。十津川警部シリーズでは、実行犯が逮捕され、政治家が逮捕されることは少ない。警察上層部から政治的な判断がくだされることも多い。
今回は、この黒幕の逮捕まで迫れたのか??本書を手にとって確かめてもらいたい。
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