初版発行日 2014年11月28日
発行出版社 角川書店
スタイル 長編
私の評価
【POINT】
世間から身を隠して生きていた元特攻隊員の老人は、何のために殺されたのか。
世間から身を隠して生きていた元特攻隊員の老人は、何のために殺されたのか。
あらすじ
フリーライターの森田は、震災後の被災地の記事を書くため、松島を訪れる。取材中、墓地の中でほかの墓石と離れた場所に1基づけ建つ大きな墓石が目に留まる。その墓石は元々彫られていた文字が削られ、小さく「立川家之墓」と刻まれていた。調べてみると、太平洋戦争中、特攻隊員として戦地へ赴いた青年のものだと分かる。一方、東京都内で老人の遺体が発見された。十津川警部は、捜査線上に浮かんできた森田と会う。やがて被害者と、森田が追う人物が同一人物だと判明し…。
小説の目次
- 独立する墓石
- 一人の老人の死
- 家族を追う
- 弟の日記
- 自衛隊
- 最後の仕事
- 帰還
冒頭の文
月刊誌「ジャパン21」の依頼で、森田章人は、仙台にやって来た。
小説に登場した舞台
- 仙台駅(宮城県仙台市青葉区)
- 松島海岸駅(宮城県・松島町)
- 奥松島(宮城県東松島市)
- 国立国会図書館(東京都千代田区)
- 東京駅(東京都千代田区)
- 調布市役所(東京都調布市)
- 品川区役所(東京都品川区)
- 陸上自衛隊 仙台駐屯地(宮城県仙台市宮城野区)
登場人物
警視庁捜査一課
- 十津川省三:
警視庁捜査一課の警部。主人公。 - 亀井定雄:
警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の相棒。 - 西本明:
警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の部下。 - 日下淳一:
警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の部下。 - 北条早苗:
警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の部下。
事件関係者
- 森田章人:
40歳。フリーライター。 - 立川勝利:
93歳。杉並区のマンションに在住。かつて奥松島に住んでいた。太平洋戦争時代、特攻隊員だった。自宅で死体となって発見される。 - 立川安男:
立川勝利の弟。神田にある通信会社「トップ通信」で働いていた。20年前、交通事故で死亡している。 - 立川美里:
立川安男の妻。 - 岩井芳郎:
55歳。立川勝利の仕事仲間だった男。前科あり。 - 山本:
奥松島K町の町長。 - 野木信明:
阿佐ヶ谷にある野木運送の社長。 - 山本:
仙台駅近くにあるカキ店の店主。元陸上自衛隊員。
感想
本作は、太平洋戦争時代の特攻に関する歴史や、特攻隊員だった男の半生を探った物語だったといえよう。いわゆる、歴史組み込み型ミステリーである。
元特攻隊員で機械の故障で命拾いした男の話であり、彼がその後どんな生活をしてきたかについて踏み込んでいる。
この男の半生が事件の動機になっているのだが、事件そのものはあっさりしすぎており、あっさり解決してます。ミステリーとしてはあまりにも物足りないのが正直なところである。
コメント