初版発行日 2002年8月31日
発行出版社 徳間書店
スタイル 短編集
私の評価
西村京太郎自選集の第4弾!トラベルミステリーの傑作選!!
あらすじ
1.恐怖の橋 つなぎ大橋
短編集「北国の愛、北国の死」に収録。下記を参照↓↓
→「北国の愛、北国の死」
2.十津川警部の休暇
十津川警部は、久しぶりの休暇を利用して、妻の直子と静岡・伊東へ旅行に訪れる。宿泊先の旅館で食事をしていたところ、隣の寺に住み着く野良猫が現れたので、刺し身やあわびを与えた。翌朝、昨日の猫が死んでいるのが発見される。どうやら青酸を飲まされたらしい。この猫の毒殺が意外な事件へと発展していく。
3.LAより哀をこめて
雑誌編集者の亜木子は、編集長の命令で、ロサンゼルスの弁護士・ヘンリー・山下とともに、岐阜県高山市へ向かう。ヘンリー・山下は、ロサンゼルスで出会った女子大生・中村かおりにもう一度会うために来日したという。亜木子とヘンリー・山下が中村かおりの実家へ訪れたところ、中村かおりは、すでに死亡していたことがわかる。ヘンリー・山下が出会った女性は、何者か?
4.南紀 夏の終わりの殺人
短編集「幻想と死の信越本線」に収録。下記を参照↓↓
→「幻想と死の信越本線」
5.越前殺意の岬
短編集「車窓に流れる殺意の風景」に収録。下記を参照↓↓
→「車窓に流れる殺意の風景」
小説に登場した舞台
1.恐怖の橋 つなぎ大橋
短編集「北国の愛、北国の死」に収録。下記を参照↓↓
→「北国の愛、北国の死」
2.十津川警部の休暇
- 伊東(静岡県伊東市)
- 特急踊り子号
- 伊豆熱川駅(静岡県・東伊豆町)
3.LAより哀をこめて
- 帝国ホテル東京(東京都千代田区)
- 東京駅(東京都千代田区)
- 名古屋駅(愛知県名古屋市中村区)
- 特急「ひだ5号」
- 高山駅(岐阜県高山市)
- 成田空港(千葉県成田市)
4.南紀 夏の終わりの殺人
短編集「幻想と死の信越本線」に収録。下記を参照↓↓
→「幻想と死の信越本線」
5.越前殺意の岬
短編集「車窓に流れる殺意の風景」に収録。下記を参照↓↓
→「車窓に流れる殺意の風景」
登場人物
1.恐怖の橋 つなぎ大橋
短編集「北国の愛、北国の死」に収録。下記を参照↓↓
→「北国の愛、北国の死」
2.十津川警部の休暇
- 十津川省三:
警視庁捜査一課の警部。主人公。 - 亀井定雄:
警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の相棒。 - 西本明:
警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の部下。 - 和尚:
伊東にある旅館の隣りにある寺に住み着く猫。何者かに毒をもられて死亡する。 - 吉田みゆき:
去年の9月までA化学に勤務していた女性。 - 久保:
A化学の企画部長。吉田みゆきと不倫していた。 - 加藤ひろみ:
所沢駅近くのマンションに在住。吉田みゆきの大学時代の友人。 - 丹羽:
A化学の人事課長。 - 森田:
静岡県警の警部。
3.LAより哀をこめて
- 亜木子:
雑誌の編集者。 - 原田:
亜木子の同僚の編集者。 - ヘンリー・山下:
29歳。アメリカ人。日系三世。ロサンゼルスの弁護士。 - 加納あい:
東京のN大学に通う女子大生。代田橋のマンションに在住。 - 中村かおり:
高山市内にある中山医院の娘。東京のS大学に通っていた女子大生。去年、ロサンゼルスでサイクリング中に車に轢かれて死亡した。 - 片山徹:
東京のS大学に通っている大学生。現在、行方不明。その後、深大寺の雑木林で死体となって発見された。 - 久保豊:
東京のS大学に通っている大学生。代々木八幡のマンションに在住。 - 佐々木昭夫:
東京のS大学に通っている大学生。 - 竹内由美:
東京のS大学に通っている大学生。四谷三丁目のマンションに在住。 - 岡崎宏子:
東京のS大学に通っている大学生。
4.南紀 夏の終わりの殺人
短編集「幻想と死の信越本線」に収録。下記を参照↓↓
→「幻想と死の信越本線」
5.越前殺意の岬
短編集「車窓に流れる殺意の風景」に収録。下記を参照↓↓
→「車窓に流れる殺意の風景」
印象に残った名言、名表現
(1)猫の主張。
白い、大きな猫が、こちらを見て、身体を、こすりつけていた。十津川と、直子が、見ているのを知ると、その猫は、伸びあがったり、長い尻尾を立てて、それでガラス戸を叩き始めた。
(2)高山の上三之町。
高山の上三之町は、昔の面影の残るこの町でも、特に、その雰囲気の濃い一角である。瓦屋根の家並みが続き、古木を使った看板や、格子戸や昔の防火用水などが、眼につく。
感想
本作は、西村京太郎先生が選んだ作品集の第4弾である。
岩手の御所湖、伊豆の伊東、岐阜の高山、南紀白浜、北陸の越前海岸が舞台の5作品が収録されており、各地の魅力が旅情たっぷりに描かれている。また、短編らしい、スピード感のあるミステリーもおもしろい。
とくに、「LAから哀をこめて」は、珍しく、十津川警部も亀井刑事も登場しない。雑誌編集者の亜木子と、ロサンゼルスの弁護士・ヘンリー・山下が、推理を働かせながら、探偵のごとく動き回る推理行であった。
これは、十津川警部シリーズでは、かなり珍しいスタイルだろう。
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