初版発行日 2016年1月22日
発行出版社 新潮社
スタイル 長編
私の評価
【POINT】
十津川警部が大胆不敵な連続殺人犯に挑む!電鉄シリーズ第一作!
十津川警部が大胆不敵な連続殺人犯に挑む!電鉄シリーズ第一作!
あらすじ
神戸異人館のプールで、横浜にいたはずの若手人気女優と京都の会社社長の死体が発見された。彼女の死後、何かを探すために六本木の超高層マンションの彼女の部屋を訪れた、まるで共通点のない五人の男女。そのうちの二人が、カンボジア、東京駅で殺された。そして、有馬温泉駅発の神戸電鉄の車内でも、男女が殺害される!
小説の目次
- 神戸異人館
- 千客万来
- グエン中尉
- 遥か海の彼方で
- 有馬温泉
- 車両の中の死
- オークションの結末
冒頭の文
高田恵一、三十五歳は、いまだに独身である。人に独身の理由を聞かれると、彼は、必ずこういう。
小説に登場した舞台
- みなとみらい(神奈川県横浜市西区)
- 北野異人館街(兵庫県神戸市中央区)
- プノンペン(カンボジア)
- アンコールワット(カンボジア)
- 東京駅(東京都千代田区)
- 新神戸駅(兵庫県神戸市中央区)
- 有馬温泉駅(兵庫県神戸市北区)
- 有馬温泉(兵庫県神戸市北区)
登場人物
警視庁捜査一課
- 十津川省三:
警視庁捜査一課の警部。主人公。 - 亀井定雄:
警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の相棒。 - 北条早苗:
警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の部下。 - 三上刑事部長:
刑事部長。十津川警部の上司。
兵庫県警
- 安藤:
兵庫県警の警部。 - 原:
兵庫県警の刑事。
事件関係者
- 高田恵一:
35歳。新宿にある芸能事務所KEプロダクションのマネージャー。四谷三丁目のマンションに在住。自宅近くの公園で何者かに殴られ負傷する。 - 及川ひとみ:
女優。KEプロダクション所属。六本木のマンションに在住。高橋久が購入した神戸異人館で死体となって発見された。 - 高橋久:
60歳。IT企業の社長。神戸異人館を購入した男。 - 永井清太郎:
永井光業の社長。京都市東山区に在住。高橋久が購入した神戸異人館で死体となって発見された。 - 永田慶介:
永田ファンドのCEO。及川ひとみが住むマンションの権利を半分持っている男。神戸電鉄の車内で死体となって発見された。 - 持田大介:
私立探偵。東京駅で何者かに刺殺される。 - 白石英司:
50歳。S大学の准教授。 - 柳原秀樹:
及川ひとみの祖父。太平洋戦争中、仏印で独立運動のグループを組織し自らもグエン中尉として参加した。 - 高野敬一郎:
高野観光の社長。
その他の登場人物
- 小暮:
大手化粧品会社の社員。 - 金田鋭一:
KEプロダクションの社長。 - 金田純次:
KEプロダクションの副社長。 - 秋山由香里:
高橋久の愛人。 - 三浦:
永井清太郎の社長。 - 石川亜紀:
永田慶介の秘書。 - 渡辺かなえ:
及川ひろみの心の師を自称する女。 - 佐藤雅之:
渡辺かなえの秘書。 - 荒木平吉:
宗像市在住の男。 - 松井:
中央テレビのアナウンサー。 - 小野寺:
38歳。事件の解説者。警視庁の元警部補。 - 工藤:
模型店「ウイング」のオーナー。 - 栗原:
ジャーナリスト。戦争中の特務機関に詳しい。 - 青木:
国立大学の教授。仏像の研究をしている。 - 藤村壮介:
日本特別美術連盟の代表者。
印象に残った名言、名表現
なし。
感想
はっきり言うと、残念な作品だったと思う。
本作のタイトルは「神戸電鉄殺人事件」。このタイトルから、神戸電鉄を舞台に、繰り広げられる、殺人事件であり、神戸電鉄沿線の駅や町が哀愁たっぷりに描かれることを予想していたと思う。
確かに神戸電鉄の車内で殺人事件が起こったが、神戸電鉄は中盤まで登場しないし、神戸電鉄を旅情たっぷりに描いたわけでもない。駅名がポツポツと出てきただけで、ほとんど有馬温泉駅しか出てないし、有馬温泉にあるホテル内がメインであった。
はっきり言えば、神戸電鉄でも江ノ島電鉄でも上信電鉄でもかわらないのでは?と思えてしまった。
また、犯人が最終盤に登場する。それまでに全く触れられてもいない人物だったので、犯人の人物像がほとんどわからないまま終わってしまう。どんな人間なのかわからないから、感情移入できない。
「貴方が犯人だったのですか。だから?」くらいの感想しか持てないのである。
「電鉄シリーズ」第一作目という触れ込みだが、これでは電鉄シリーズ自体にも期待感が持てなくなってしまう。
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