初版発行日 1989年2月25日
発行出版社 角川書店
スタイル 長編
私の評価
【POINT】
部下が知能犯の罠に落ちたー。十津川警部、辞職覚悟の捜査とは!?
部下が知能犯の罠に落ちたー。十津川警部、辞職覚悟の捜査とは!?
あらすじ
北条早苗という女刑事はいるか。不審な電話が捜査一課にかかってきたとき事件の幕は開いた。北条の婚約者と称する男が大分へ向かう寝台特急「富士」の車内で殺害されたのだ。容疑は乗り合わせていた北条に。何者かの罠だった。だが、刑事の犯行に高まる批判の声。事件解決のカギを握る人物が相次いで殺され、北条逮捕の期限も迫る。窮地の十津川は危険な賭けに出るが……!?
小説の目次
- 一枚の名刺
- 衝撃
- 女を探せ
- ゆすり
- 五百万円
- 過去への旅
- 一人の女
- 死への予測
- 窮地に立つ
- 攻撃
- 行方不明
- 遺書
冒頭の文
後になって考えると、最初の電話は、一か月ほど前だったと、十津川は思う。
小説に登場した舞台
- 特急「富士」
- 名古屋駅(愛知県名古屋市中村区)
- 広島駅(広島県広島市南区)
- 柳井駅(山口県柳井市)
- 下関駅(山口県下関市)
- 福岡空港(福岡県福岡市博多区)
- 新下関駅(山口県下関市)
- 大倉山商店街(神奈川県横浜市港北区)
- 盛岡駅(岩手県盛岡市)
- 特急「たざわ9号」
- 田沢湖駅(秋田県仙北市)
- 後生掛温泉(秋田県鹿角市)
登場人物
警視庁捜査一課
- 十津川省三:
警視庁捜査一課の警部。主人公。 - 亀井定雄:
警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の相棒。 - 西本明:
警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の部下。 - 日下淳一:
警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の部下。 - 北条早苗:
警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の部下。 - 三田村功:
警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の部下。 - 清水新一:
警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の部下。 - 本多時孝:
警視庁捜査一課長。十津川警部の上司。 - 三上刑事部長:
刑事部長。十津川警部の上司。
警察関係者
- 十津川直子:
十津川警部の妻。 - 白井:
下関署の警部。 - 野田:
松原署の刑事。 - 谷口:
御殿場署の刑事。
事件関係者
- 山野辺宏:
30歳。N電気東京本社・管理部厚生課に勤務。世田谷区成城に在住。特急「富士」の車内で何者かに刺殺された。 - 星野功:
山野辺宏の兄。六本木、新宿、渋谷などにあるクラブのオーナー。 - 星野雅子:
30歳。星野功の妻。 - 日野冴子:
35歳。池袋にある探偵社の探偵。北条早苗刑事の調査を行った探偵。杉並区高円寺のマンションに在住。自宅で死体となって発見された。 - 三村泰介:
日野冴子の元夫。経営コンサルタント。練馬区石神井のマンションに在住。中野の雑居ビルから転落死した。 - 黒木博之:
35歳。私立探偵。三鷹市内のマンションに在住。バイクを運転中、木に激突して死亡した。 - 星野徳一郎:
資産家。星野雅子の父親。すでに他界している。 - 安田めぐみ:
星野功の元恋人。5年前、自殺した。 - 宮内ユキ:
当時7歳。5年前、御殿場でひき逃げにあって死亡した。
その他の登場人物
- 保井:
特急「富士」の車掌長。 - 三浦:
特急「富士」の専務車掌。 - 青木:
N電気東京本社・管理部厚生課の課長。 - 三田英子:
黒木博之の恋人。 - 沢井:
宝警備保障の警備員。 - 香西和子:
38歳。安田めぐみの姉。大倉山商店街にある喫茶店「エーゲ海」の女将。 - 田宮:
神田にある出版社の記者。 - 愛田:
星野家のかかりつけ医。 - 堀井:
星野家の顧問弁護士。 - 近藤弓子:
41歳。主婦。 - 田辺:
N新聞の記者。 - 相川:
K新聞の記者。 - 小山はるか:
25歳。女優。西新宿のマンションに在住。星野功の愛人。 - 三島裕二郎:
小山はるかのマネージャー。
感想
5年前に起きた御殿場のひき逃げ事故がすべての発端となった、連続殺人事件だった。
北条早苗刑事が罠にはめられたことはショッキングだったが、読者視点としてみたら、罠にはめられたことは明白であり、問題は、真犯人を見つけて、北条早苗刑事の容疑を晴らすことである。
当然、十津川警部も部下の無実を信じて捜査をするのだが、今回は、なかなか相手も手強い。マスコミをうまく使って、十津川警部にプレッシャーをかけたりしてくるのである。
真犯人は中盤でほぼ明らかになるが、中盤以降は犯人の証拠をつかむことと、事件の全体像を明らかにすることであった。
この後の展開は自分の目で確かめてもらいたいが、本作を読了した感想は、次のとおりである。
本作は、夫を最後まで愛し続けた妻と、妻を最後まで信じられなかった憐れな男の哀しい物語だった。
コメント