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「特急ワイドビューひだに乗り損ねた男」感想レビュー。あらすじ、舞台、登場人物

特急ワイドビューひだに乗り損ねた男小説

初版発行日 2012年3月20日
発行出版社 光文社
スタイル 長編

私の評価 3.9

POINT】
さまざまな圧力を撥ねのけ、十津川が暴く恐るべき陰謀とは?
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あらすじ

東京・三鷹の空き家の床下から男の白骨死体が発見された。ポケットには、二年前の高山行き「ワイドビューひだ十三号」の切符が残されていた。飛騨高山へと向かった十津川警部は、七年前、市議の妻と駆け落ちして消えた男の話を聞く。市議はその後、元大臣の娘と再婚し、国会議員になっているのだが…。

小説の目次

  1. 白骨死体
  2. 故郷の冬
  3. 高山三訪
  4. 過去の汚点
  5. 第二の白骨死体
  6. 二年前の帰郷
  7. 最後の罠

冒頭の文

井坂信行は四十歳になって、ようやく、待望の住宅を手に入れた。

小説に登場した舞台

  • 東京駅(東京都千代田区)
  • 名古屋駅(愛知県名古屋市中村区)
  • 特急ワイドビューひだ
  • 高山駅(岐阜県高山市)
  • 高山市役所(岐阜県高山市)
  • 高山陣屋(岐阜県高山市)
  • 下呂駅(岐阜県下呂市)
  • 下呂温泉(岐阜県下呂市)
  • 水明館(岐阜県下呂市)
  • 成田空港(千葉県成田市)

登場人物

警視庁捜査一課

  • 十津川省三:
    警視庁捜査一課の警部。主人公。
  • 亀井定雄:
    警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の相棒。
  • 西本明:
    警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の部下。
  • 日下淳一:
    警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の部下。
  • 北条早苗:
    警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の部下。
  • 三田村功:
    警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の部下。
  • 三上刑事部長:
    刑事部長。十津川警部の上司。

警察関係者

  • 新藤:
    高山署の課長刑事。
  • 田島:
    中央新聞社会部の記者。十津川警部の大学時代の同級生。

事件関係者

  • 梶山圭太郎:
    52歳。国会議員。麹町の豪邸に在住。7年前、妻が秘書と駆け落ちした事件のときは、三木圭太郎という名前で、高山市議会の副議長をしていた。
  • 梶山紀子:
    梶山圭太郎の妻。梶山喜一郎の娘。
  • 梶山喜一郎:
    76歳。元国務大臣。梶山紀子の父親。
  • 内村省吾:
    35歳。梶山圭太郎の秘書。
  • 藤田:
    35歳。梶山圭太郎の秘書。
  • 沼田:
    梶山圭太郎の秘書。
  • 坂口博幸:
    64歳。梶山圭太郎の顧問弁護士。銀座に事務所をかまえる。
  • 三木弘美:
    三木圭太郎の元妻。7年前、沖山賢治と不倫の駆け落ちをした。その後、行方不明だったが、下呂温泉近くの山林で白骨死体となって発見された。
  • 沖山賢治:
    当時30歳。三木圭太郎の秘書。7年前、三木弘美と不倫の駆け落ちをした。その後行方不明になっていたが、井坂信行が購入した三鷹市の中古住宅から白骨死体となって発見された。
  • 三木伸二郎:
    高山市内にある三木建設の社長。梶山圭太郎の弟。
  • 南秀治:
    高山市内の資産家。三木弘美の父親。すでに死亡している。
  • 南秀一:
    南秀治の息子で三木弘美の兄。高山駅前にある物産店の店主。

その他の登場人物

  • 井坂信行:
    40歳。三鷹市内にある中古住宅に在住。購入した住宅から白骨死体が発見された。
  • 青木:
    KI不動産の営業マン。井坂夫妻に三鷹の中古住宅を売った不動産会社。
  • 小西澄子:
    白骨死体が発見された三鷹の中古住宅にかつて住んでいた女性。すでに死亡している。
  • 平野:
    高山陣屋の近くにある喫茶店の店主。沖山賢治の大学時代の同級生。
  • 小林克彦:
    高山市役所観光課の課長補佐。沖山賢治の大学時代の同級生。
  • 安藤:
    高山市内にあるかつて沖山賢治が通っていたボクシングジムの会長。
  • 篠原秀幸:
    高山市観光協会に勤務。沖山賢治の大学時代の同級生。
  • 有田美智子:
    50歳。渋谷の雑居ビルで喫茶店を営む。
  • 芝木雅夫:
    40歳。池袋の西口にあるボクシングジムの会長。2年前、沖山賢治が通っていた。
  • 飯塚専太郎:
    高山市内の新聞社「ひだたかやま」の社長。高山市内の名士。
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感想

本作は、一人の政治家の野心がまねいた殺人事件だった。

7年前に駆け落ちして行方不明になった後、白骨死体となった男女の捜査であったが、最初から、明らかに犯人だと思われる人物が登場する。だから、本作は、犯人当てではなく、犯人と思われる男に一歩一歩迫っていく、その過程を楽しむ作品である。

ただし、失踪は7年前であり、証拠も見つけにくいのが、今回の捜査を難しくした。関係者一人ひとりから話を聞いて、一つ一つパズルを組み合わせていく、そんな捜査が展開された。

旅情や激しいアクション、緊張感は少ない作品だったが、丁寧な捜査と十津川の執念を味わえる作品といえるだろう。

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