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「Mの秘密 東京・京都 五一三・六キロの間」感想レビュー。あらすじ、舞台、登場人物

Mの秘密小説

初版発行日 2012年11月30日
発行出版社 角川書店
スタイル 長編

私の評価 2.3

POINT】
古い日記に秘められたMマッカーサーの秘密。戦後史を巡る壮大なドラマが幕開く!十津川が対峙する恐るべき”悪意”。
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あらすじ

作家の吉田孝之はかつてはベストセラーを連発していたが、最近は目立ったヒットが出ない。執筆環境を変えようと武蔵野に木造の洋館を購入する。ところが、売り主の二階堂小枝子は「家の修理はいいが改造してはいけない」という奇妙な条件をつける。知り合いの新聞記者によると、小枝子の母・八重子は、連合軍占領時代に吉田茂首相がマッカーサーのもとに送り込んだスパイだったという。やがて売買を仲介した不動産会社の社員が殺害され、家で奇妙な日記帳を発見したことから、大きな事件に巻き込まれてゆく……。捜査に乗り出した十津川警部が掴んだ驚愕の真相とは?

小説の目次

  1. 東京
  2. 奇妙な日記帳
  3. 調べていく
  4. 一九四五年十月二日
  5. 『小説・愛と裏切りの季節 Mの秘密』
  6. 歴史と記憶
  7. 本当の歴史

冒頭の文

ミステリー作家の吉田孝之は、現在五十歳である。吉田は三十代の頃に、ベストセラーとなる作品を次々に書いて、人気作家の仲間入りをした。

小説に登場した舞台

  • 国会図書館(東京都千代田区)
  • 京都駅(京都府京都市下京区)
  • 渡月橋(京都府京都市右京区)
  • 東京駅(東京都千代田区)
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登場人物

警視庁捜査一課

  • 十津川省三:
    警視庁捜査一課の警部。主人公。
  • 亀井定雄:
    警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の相棒。
  • 三上刑事部長:
    刑事部長。十津川警部の上司。

事件関係者

  • 吉田孝之:
    50歳。ミステリー作家。
  • 今村肇:
    中央新聞のデスク。
  • 原口博:
    38歳。不動産屋の社員。玉川上水で死体となって発見された。
  • 二階堂小枝子:
    50歳。京都・嵐山で料亭を経営している。吉田孝之が購入した木造洋館の持ち主。
  • 二階堂八重子:
    二階堂小枝子の母親。すでに死亡している。

その他の登場人物

  • 藤代:
    50歳。S大学の教授。戦後史を研究している。
  • 大城貴美子:
    父親の大城誠一郎が国務大臣として吉田茂首相の下で働いていたので、吉田茂のことをよく聞かされていた。
  • 沖田正恵:
    22歳。女子大生。吉田孝之の親戚。
  • 加藤:
    アメリカ帰りの医師。記憶障害の権威。

印象に残った名言、名表現

■マッカーサーの3つの顔。

第一の顔は、日本を占領して統治する最高司令官、支配者としての顔である。

二番目の顔は、開拓者として、日本に接したことである。

三番目の顔は、日本国内に対して、保護者として振る舞ったことである。

感想

本作のメインテーマは、戦後の日本、昭和20年代の日本の政治史である。ミステリーは、ある意味、サブストーリーみたいなものである。

だから、十津川警部の活躍や、人間ドラマ、サスペンスを期待している人は、この本は読まないほうがいい。

ミステリーではなく、昭和20年代の戦後日本の政治について、興味がある方は、熱心に読むことができると思う。

戦後日本のこと、吉田茂首相のこと、マッカーサーのこと、吉田茂とマッカーサーの情報戦、朝鮮戦争時代の日本、新憲法などについて、詳細に語られている。

この時代の、とくに政治的な内容は、学校の教科書にはほとんど書かれていない内容なので、勉強になるだろう。

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