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「祭りの果て、郡上八幡」感想レビュー。あらすじ、舞台、登場人物

祭りの果て、郡上八幡小説

初版発行日 2001年2月10日
発行出版社 文藝春秋
スタイル 長編

POINT】
真相究明を目指す十津川警部と、スキャンダルを恐れる警視庁上層部の確執を描く傑作サスペンス!
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あらすじ

ダムの底から発見されたカメラマンとミス・郡上八幡の死体。男性の衣服からは覚醒剤が見つかり、しかも彼は現・警視総監の息子だった。十津川警部の必死の捜査により、事件は4年前の連続女性殺人事件へと繋がってゆく。

小説の目次

  1. 水底の死体
  2. 或る写真集
  3. 漏洩
  4. ビデオの男
  5. 血のDNA
  6. 愛と憎しみと
  7. 血の結末

小説に登場した舞台

  • 御母衣ダム(岐阜県・白川村)
  • 郡上八幡(岐阜県郡上市)
  • 高山(岐阜県高山市)
  • 白川郷(岐阜県・白川村)
  • 明善寺(岐阜県・白川村)
  • 郡上八幡博覧館(岐阜県郡上市)
  • 郡上八幡城(岐阜県郡上市)
  • 宗祇水(岐阜県郡上市)
  • 熱海駅(静岡県熱海市)
  • 龍神温泉(和歌山県田辺市)
  • 十三(大阪市淀川区)
  • 祇園(京都市祇園町)
  • 宇治(京都府宇治市)

登場人物

警視庁捜査一課

  • 十津川省三:
    警視庁捜査一課の警部。主人公。
  • 亀井定雄:
    警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の相棒。
  • 日下淳一:
    警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の部下。
  • 北条早苗:
    警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の部下。
  • 西本明:
    警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の部下。
  • 本多時孝:
    警視庁捜査一課長。十津川警部の上司。
  • 三上刑事部長:
    刑事部長。十津川警部の上司。

岐阜県警

  • 早川:
    岐阜県警の警部。
  • 室井:
    岐阜県警の20代の刑事。

事件関係者

  • 佐野恵一:
    警視総監佐野真太郎の息子。31歳。フリーのカメラマン。御母衣ダムに沈んだ車の中で遺体として発見される。
  • 小倉由美:
    25歳。20歳のときにミス郡上八幡になった美女。佐野恵一と同じクルマの中で遺体として見つかる。
  • 本橋やよい:
    26歳。モデル。最近は映画にも出演している売れっ子。佐野恵一と一緒に郡上八幡へ仕事に向かった先で行方不明になる。
  • 小倉さやか:
    小倉由美の妹。喫茶店「ぐじょう」を営んでいる。
  • 柴田涼子:
    熱海の芸者だった女性。
  • 柴田真介:
    柴田涼子の息子。
  • 伊藤康次:
    殉職した朝井巡査の遺族。
  • 伊藤美奈:
    伊藤康次の妻。

その他の登場人物

  • 土井貢:
    御母衣ダム管理事務所の職員。
  • 青山:
    本橋やよいが所属していた芸能事務所「沢木プロ」のマネージャー。
  • 木村:
    佐野恵一の親友、日本カメラマンズクラブに所属している。
  • 高橋正之:
    30歳。ミュージシャン。郡上八幡ホテルの一人息子。小倉由美と交際していたが、去年の3月に名古屋で交通事故死した。
  • 立花直也:
    沢木プロに所属しているタレント。
  • 田島:
    中央新聞社に務める。十津川警部の友人。
  • 丹羽:
    週刊中央の編集長。
  • 島村徳一:
    柴田真介を養子として引き取る。すでに他界。
  • 島村ふみ:
    島村徳一の妻、すでに他界。
  • 島村綾子:
    島村徳一とふみの娘。龍神温泉の旅館を営んでいる。
  • 小川ゆか:
    田辺市の果実店で働いている。柴田真介の同級生。
  • 大野:
    サラリーマン。柴田真介の同級生。
  • 関谷:
    大阪府警のOB。現在は公益法人で働いている。
  • 野村:
    大阪ライフケアホスピタルの職員。

個人的な推しポイント

  • 十津川警部と亀井刑事が白川郷で食べたヒエ飯、ダイコンのみそ汁、山菜、川魚、氷豆腐の定食。ちょっとしたところに旅情を感じさせるネタが仕込まれている。
  • 郡上八幡、熱海、大阪の十三、宇治。全国各地に十津川警部班が飛び回るスケールの大きな物語。
  • 陰惨かつ冷酷、それでいて虚栄心が強い。犯人の異常な性質に身震いする。
本作の重要な謎は「なぜ佐野恵一は小倉由美と一緒に車の中で死んでいたのか?」「なぜ佐野恵一は連続殺人事件を追っていたのか?」
『祭りの果て、郡上八幡』のキーアイテムは”血”です。

総評

本作は”十津川警部の祭りシリーズ”第一弾である。

十津川警部【祭りシリーズ】おすすめランキング!
今回は十津川警部シリーズを500作以上読んだわたしがおすすめする、祭りシリーズおすすめランキングを紹介します。

犯人の印象をひと言でいうならば、”陰惨”という言葉がもっともふさわしいのではないかと感じる。これまでの十津川警部シリーズに登場する犯人は、「金」、「保身」、「ゆすり」がおもな犯行の動機であった。

しかし、本作の犯人は金でもなく、保身でもなく、ゆすりでもない。動機は復讐であり、自身の怪奇的な性質が反抗をおこしたのだと推察される。

実際、十津川警部は犯人の特徴を次のように述べている。

「男の顔に、何ともいえない暗いかげりがあって、それが、十津川を引きつけるのだ。見続けていると、一層、男の暗さは、底無しのように思えてくる。

<陰惨>

という言葉が、十津川の頭を、よぎる。

<怨念>

という言葉も、浮かんできた。」

十津川警部シリーズの中でトップクラスの陰惨な犯人。8人もの犠牲者を出した大事件。しかも警視総監が関連していることから、警察内部でも大きな問題になってくる。当然、十津川警部たちの捜査にも影響を及ぼすことになる。

クライマックスで、十津川警部は刑事としての信念を貫き通そうとするが、警察上部ではべつの思惑が動く。十津川は警察という巨大な組織の壁にぶち当たる。

最後、十津川警部はどんな思いでこの事件を見届けたのか?自分の目で確かめてほしい。

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