初版発行日 1987年11月25日
発行出版社 角川書店
スタイル 長編
私の評価
【POINT】
寝台特急の車内で繰り広げられる”殺人ゲーム”!?十津川と亀井は窮地に追いこまれるが…。
寝台特急の車内で繰り広げられる”殺人ゲーム”!?十津川と亀井は窮地に追いこまれるが…。
あらすじ
捜査一課の十津川警部に「殺人ゲームがしたい」と謎の電話が――。その後〈11月7日、16時40分東京発、寝台特急「さくら」の車内で「ア」で始まる女を殺す〉という挑戦状が届けられた。いたずらか、本気か。もし本気なら人が一人殺される。続いて第二の挑戦状が……。犯人は警察に怨みを持つ者か、あるいは殺人狂か?
小説の目次
- ゲームへの招待
- 第二の挑戦
- 夜明けの死体
- 録音テープ
- 新聞記者
- 犯人の影
- 焦燥
- 目撃者
- 逆挑戦
- 死者のペンネーム
- 最後のゲーム
- 爆破計画
冒頭の文
亀井刑事が、受話器を取ると、「十津川という警部を、呼んでくれ」と、男の声が、いった。
小説に登場した舞台
- 東京駅(東京都千代田区)
- 寝台特急「さくら」
- 寝台特急「出雲4号」
- 湘南ライナー
- 大船駅(神奈川県鎌倉市)
- 上野駅(東京都台東区)
- 特急「谷川1号」
- 新前橋駅(群馬県前橋市)
- 水上駅(群馬県・みなかみ町)
- 高崎駅(群馬県高崎市)
- 府中本町駅(東京都府中市)
登場人物
警視庁捜査一課
- 十津川省三:
警視庁捜査一課の警部。主人公。 - 亀井定雄:
警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の相棒。 - 西本明:
警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の部下。 - 日下淳一:
警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の部下。 - 清水新一:
警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の部下。 - 本橋:
警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の部下。 - 本多時孝:
警視庁捜査一課長。十津川警部の上司。 - 三上刑事部長:
刑事部長。十津川警部の上司。
警察関係者
- 戸田:
長崎県警の警部。 - 平田:
群馬県警の刑事。 - 青山:
警視庁書道捜査班の警部。 - 原口:
科研の技官。 - 江上秀介:
白バイ隊員。1月に車に轢かれて負傷した。 - 田口(通常は田島の名前で登場する):
中央新聞社会部の記者。十津川警部の大学時代の同級生。
事件関係者
- 日野まゆみ:
21歳。新人タレント。本名は青木ゆみ子。港区南青山のマンションに在住。長崎出身。寝台特急「さくら」の車内で死体となって発見された。 - 白石要:
当時35歳。中央化学に勤務。世田谷区成城のマンションに在住。3年前、特急「あずさ39号」の脱線事故で死亡した。 - 金村彗:
大手町に本社のあるM電気営業部第一営業課の社員。寝台特急「出雲4号」の中で死体となって発見された。 - 白井謙:
中央新聞社会部の記者。田口の後輩。大船にあるマンションに在住。湘南ライナーの車内で何者かに殺害された。 - 前田ゆかり:
22歳。高崎市内の会社に勤務。高崎駅のホームで何者かに突き飛ばされて列車に轢かれて死亡した。 - 松山淳:
29歳。ミニコミ雑誌「毒舌・毒舌」を営む。港区南青山のマンションに在住。白石要の大学の後輩。5月中旬に自殺した。 - 竹内隆介:
29歳。品川区荏原のマンションに在住していたが9月に引っ越した。2月に寝台特急「さくら」の森口車掌を殴って逮捕されたことがある。
その他の登場人物
- 中山:
53歳。東京駅の旅客助役。 - 山下:
寝台特急「出雲4号」の車掌長。 - 池田:
特急「谷川9号」の車掌。 - 森口:
寝台特急「さくら」の専務車掌。2月に客に殴られて負傷した。 - 岩田:
府中本町駅の駅長。 - 森下:
42歳。M電気営業部第一営業課の課長。 - 林健一郎:
西新宿にある不動産会社「K産業」の社員。 - 小野洋一:
26歳。日野まゆみの知人。 - 末広誠:
36歳。日野まゆみの知人。 - 中村幸夫:
30歳。日野まゆみの知人。 - 三宅良:
40歳。M電気の社員。金村彗の同僚。 - 平岡明:
31歳。金村彗の知人。 - 白井美保:
白井謙の妻。 - 白石冴子:
白石要の妻。浦和に在住。 - 白石徹:
白石要の弟。アメリカでバイオ研究をしている。 - 牧田:
港区南青山のマンションに在住の男。 - 松山昭正:
松山淳の兄。K生命の渉外部長。 - 三宅明子:
かつて松山淳がアルバイトで雇った女性。
感想
本作は、犯人が十津川警部に<殺人ゲーム>を仕掛けてくるという、何とも奇妙で危険な事件であった。なぜか「ア・カ・サ・タ・ナ」順で、一つ一つゲームのヒントが与えられ、犯人は実際にそのヒントに沿った殺人を犯すという手の混んだものである。
まったくノーヒントでの捜査から、一つ一つトライ・アンド・エラーを繰り返しながら、犯人に迫っていく様が面白い。
最後の舞台が、東京のローカル路線・南武線だったのも良かった。
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